2月16日、2014年分所得税の確定申告が受付開始されました……といっても、それは実際に税務署まで足を運ぶ場合の話。国税電子申告・納税システム「e-Tax」であれば、1月5日から送信が可能です。というわけで、若干遅れ気味に進行していた「Macで確定申告に挑戦」企画、今回で大団円を迎えます。さて、無事に完了したのでしょうか?

ルート証明書のインストール

確定申告の作業を始めるその前に、前回の積み残し案件「ルート証明書のインストール」を片付けねばなりません。国税庁の確定申告特集ページ(リンク)からMac用ルート証明書ディスクイメージをダウンロードし、「KeyImport」としてマウントされたことを確認します。ここにある拡張子「.der」を持つ5つのファイルが、ルート証明書です。

次に、アプリケーションの「ユーティリティ」フォルダにある「キーチェーンアクセス」を起動し、左上のキーチェーンで「システム」を選択した状態で、メニューバーから「ファイル」→「読み込む...」を実行します。最初に「APCA2root.der」を読み込み(ルート証明書を信頼するかの質問には「常に信頼」ボタンをクリックします)、続けて他の4件も読み込めば、ルート証明書のインストールは完了です。

ルート証明書のディスクイメージをマウントします

キーチェーンアクセスを起動し、5つのルート証明書ファイルを「APCA2root.der」から順にインストールしていきます

「証明書」項目を選択すると、インストールが完了したかどうかを確認できます

こんなところに落とし穴が

スマートカードリーダのドライバをインストールしたあと、Safariを開くと「"Safari"がキーチェーン"JPKI-card #2"を使おうとしています」というダイアログが表示されるようになりました。実は、ここで大失敗を……公的個人認証(電子証明書)がロックされてしまったのです。

このダイアログは、カードリーダを接続した状態でSafariを起動すると現れます。通常、キーチェーンへのアクセスを認める場合は、(Macの)管理者のパスワードを入力しますが、ここで入力するパスワードは電子証明書のものです。管理者権限を求めているのだろう、と普段の感覚で管理者のパスワードを入力し、あれ? また表示されるなあと何度か繰り返したところ、5回連続でパスワードを誤入力するとロック、という規定に引っかかってしまったわけです。

ロック解除の手続きは、役所で行わねばなりません。この時期、住基カードを扱う窓口はそれなりに混雑しますから、くれぐれもご注意を。自分の不注意とはいえ、筆者も窓口で1時間待たされるはめになりました。

「JPKI-card」の文字が含まれるダイアログには、電子証明書のパスワードを入力します。Macの管理者のパスワードや住基カードのパスワードを繰り返し入力すると、ロックされて電子証明書が読み取れなくなります

利用者識別番号

電子証明書のロック解除手続きも完了し、いよいよ確定申告の作業スタート! e-TaxのWEBサイトにアクセスし、「個人で利用の方」欄にある「(e-Taxを初めて利用する方の)確定申告書を作成する」をクリック、確定申告特集ページの「パソコンで申告書等を作成される方」というボタンをクリックします。

次の画面にある「申告書・決算書 収支内訳書等 作成開始」という大きなボタンをクリックすると、e-Taxか書面提出かの選択を迫られます。ここでは「e-Tax」を選びますが、実際のところ作業内容はまったく同じです(作成した書類を電子情報として送信するかどうかの違い)。

その次に表示される「e-Taxを行う際の確認事項(準備編)」という画面では、OSやWEBブラウザのバージョンなど、e-Taxに必要な作業環境の最終チェックを行います。筆者が利用しているのはOS X Yosemite(10.10)とSafari 8.0.3、いずれも推奨環境ではありませんが、チェックして先へ進みました。

画面の求めに応じ情報を入力していくと、利用者識別番号(数字16桁のID)と暗証番号が登録されます。この情報は再表示できませんから、スクリーンショットを撮るなり印刷するなりして保存しておきます。

せっかく電子証明書を利用できる環境を用意したのですから、迷わず「e-Tax」を選択します

初めてe-Taxを利用するので、最初に利用者識別番号を登録します

必要な情報を入力すると、利用者識別番号(16桁の数字)と暗証番号が通知されます

Javaのセキュリティ設定

その後、メールの到達など確認作業を行ったあと、e-Taxの作業を進めていきます。しかし、ここでも面倒な設定が。Safari上でJavaコンテンツを実行するときには、セキュリティ設定を変更しなければならないのです。

e-TaxのJavaコンテンツを実行可能にするには、システム環境設定「Java」パネル(Javaランタイムとあわせてインストールされます)を開き、「セキュリティ」タブに例外サイトとしてe-TaxのURL(http://www.keisan.nta.go.jp/)を登録します。その他の設定は初期値のままで構いません。これで、e-TaxのWEBサイトでJavaコンテンツを実行できるようになります。

サイトを信頼するとJavaアプレットの起動が開始されますが、セキュリティの設定変更も必要です

「サイト・リストの編集」ボタンをクリックし、例外サイトの登録を行います

e-TaxのURLを例外サイトとして登録します

セキュリティ警告が表示されますが、これを許可するとe-Taxの処理に必要なJavaアプレットを実行できるようになります

無事、確定申告が完了しました!

ここまでくれば、あとは税務署の窓口で確定申告するときと同じです。源泉徴収票や住宅ローンの残高証明書など必要な書類を用意し、入力作業を進めるだけです。作業はあっけないほど簡単に進み、特になにごともなくデータの送信が完了しました。確定申告それ自体の作業にかかった時間は30分ほどです。

作業を終えた感想ですが……とにかく、タイヘン。カードリーダのセットアップにしても、Javaのセキュリティ設定にしても、あちこちに地雷が隠されていてスムーズに進みません。WEBサイトのつくりも、基本的には丁寧なのですが、各種用語の扱いが画一的なため文字ギッシリで要点がわかりにくい、冗長な印象の画面となってしまいます。どこをどうクリックすれば確定申告は終わるのか、そんな気持ちになったのも一度や二度ではありません。

税務署の窓口へ出向いたほうがよかったのでは? と言われそうですが、それはどうでしょうか。OS XのバージョンアップでICカードリーダが動作しなくなる懸念はあるものの、税務署へ出向くとなるとまる1日近い時間が潰れるわけですから、それよりは負担が軽く済むはずです。また来年も、e-Taxで確定申告するつもりですよ!

確定申告の種類を選択し、作業を進めていきます。筆者の場合、「収入が1か所のみ(年末調整済み)の方」を選びました

無事にデータ送信が完了すると、このような画面が現れます。念のためe-Taxの受付システムにログインし、メッセージボックスの内容を確認しましょう