ふと気がつけば松も明け、おとそ気分もどこへやら。そういえば昨年、この時期から慌ててなにかやっていたような……そうだ、確定申告! というわけで、なんやかやでこれまで実現していなかった「Macで確定申告」に、満を持してトライしてみます。

「Macで確定申告」はMac派最後の難所か?

最近Macを使いはじめた人にはピンとこない話かもしれませんが、かつてのMacには「WindowsにできてMacにできないこと」がたくさんありました。現在も「パソコン」でWindowsが圧倒的なシェアを持つこと自体は変わりませんが、OSに依存しないWEBアプリが増えたこと、iPhone/iPadなどApple製品のヒットが影響してかMac対応ソフトが増えたことがあり、Macだからといってなにかを諦めなければならない場面は減っています。

オンライン確定申告もそうです。e-Taxソフト(電子申告に必要なソフトウェア)にはWEB版と非WEB版があり、申告範囲が広い非WEB版はWindowsのみのサポートですが、WEB版であればMacもサポートされています。Mac用ドライバが配布されているe-Tax対応ICカードリーダーを探すのは手間ですが(市販品の大半はWindows版ドライバのみ)、Macでも電子申告は可能です。

しかし、事はそう容易ではありません。e-Tax(WEB版)の推奨環境には、OS X 10.7以降が国税庁において動作を確認した環境として挙げられていますが、1月7日現在、そこにOS X 10.10(Yosemite)の名はありません。ものは試しとYosemite上で動作するSafariを使いe-Tax(WEB版)にアクセスすると、OS/ブラウザとも推奨環境外と表示されてしまいます。

幸い、我が家にはMavericksやMountain Lionが動作するMacが健在ですから、ここで"試合終了"とはなりませんが、なにやら怪しい雲行きを感じずにはいられません。確定申告期間開始の2月16日まであと少し、無事BootCampや仮想化ソフトを使わない"ネイティブMac"で平成27年の確定申告を完了させることができるのでしょうか……?

メイン機のMacBook Air(OSはYosemite)で環境チェックしてみたところ……OS/ブラウザとも×でした(2015年1月7日時点)

e-Tax用に購入したICカードリーダ「NTT-ME SCR331CL」。Mac用ドライバが配布されている機種は多くありません

住基カードと電子証明書を入手する

実をいうと、筆者はMacはもちろんパソコンで確定申告したことがありません。ふだんの仕事の報酬はすべて筆者が代表の法人に入りますから、これまではすべて税理士任せで確定申告不要だったのですが、2年前からイレギュラーな筆者個人の売上がときどき発生するようになり、確定申告しなければならない状況に陥ったからです。自分でこなせる程度の作業量ですから、昨年は最寄りの税務署まで出向いたものの、アクセスが悪いうえに混雑で1日がかりの作業に……今年はこれをオンラインで完結して時間を節約したい、というわけです。

だからe-Taxはまったくの未経験、電子申告はズブの素人です。まずは必要な機材・環境を揃えることから始めなければなりません。リストを挙げると、以下のとおりです。

  1. e-Taxがサポートするシステム(OS X)
  2. e-Taxがサポートするブラウザ(Safari)
  3. 住民基本カード
  4. 電子証明書
  5. Mac用ドライバが存在し、e-TaxがサポートするICカードリーダ

1と2は手もとにあるもので賄えるとして、問題は3から5。そのうち5については、「NTT-ME SCR331CL」を購入したので、とりあえずクリア。セットアップはこれからですから一抹の不安は残りますが、Mac用ドライバの存在を信じて先へ進むこととします(手順の解説は回を改めて)。

運転免許証と健康保険証を持ち、住民票がある区役所へGO

住基カードと電子証明書の申請書に必要事項を記入します

まずは、住基カードを発行してもらうために住民票がある役所へ。横浜市の場合、本人の身分を証明できる書類 -- 運転免許証、運転経歴証明書(H24/4月以降交付のもの限定)、パスポート、身体障害者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、在留カード、特別永住者証明書のうちいずれか1点 -- と、健康保険証や年金手帳など本人確認できる書類1点が必要ということなので、運転免許証と健康保険証を持参しました。なお、これは「免許証方式(即日お渡し)」の場合で、住基カードが後日私となる文書照会方式はまた別の書類が必要になります。

注意すべきは、ただ住基カードをつくればいいわけではないことです。今回はe-Taxの利用が目的ですから、電子証明書もあわせて取得しなければなりません。電子証明書は住基カードを作成するときあわせて申請すればカードに記録してもらえますが、うっかり忘れると再び役所に出向かねばならなくなります。

必要書類を提出し、待つこと10分。窓口に呼び出され、住基カードの暗証番号(4桁)登録と電子証明書のパスワード(4~16桁、PCのタッチパネルで入力しました)を入力したあと、無事e-Taxで使える住基カードを手に入れることができました。時期と人口にもよるのでしょうが、予想より短時間で終わった印象です。

住基カードの作成に要した金額は500円、電子証明書は500円、あわせて1,000円。ICカードリーダが約3,000円でしたから、いまのところ合計4,000円を「Macで確定申告」の環境づくりに投資したことになります。さて、投資に見合う結果となるかどうか……次回にご期待ください。

無事、電子証明書が記録された住基カードをGET。次回、詰むや詰まざるや?