年に数回は魅力的なMacの新モデルが発売されますが、予算の都合もありそうそう買い換えできません。しかし、手持ちのMacに手を加えて延命を図れるのであれば……今回は、「ThunderboltはあるけれどUSB 3.0非対応なMac」のパワーアップ術を考えます。
使われていない? Thunderboltを生かす
先日、新しいiMacが発売されました。第4世代Coreプロセッサ(Haswell)を搭載、最新・最速の無線LAN規格IEEE802.11acに対応したパワフルなデスクトップ機です。21.5インチと27インチが各2モデルの計4モデル用意され、インタフェースはSDカードスロット(SDXC対応)×1、USB 3.0ポート×4、Thunderbolt×2で共通です。
iMacにThunderboltが初めて採用されたのは、2011年5月のこと。いまやMacBook ProやMac miniにも採用され、Macで利用できる最速のデータ伝送規格として認知されています。外付けディスクの接続だけでなく、Mini DisplayPortとも互換性がありますから、外部ディスプレイの接続にも利用できます。
しかし、Thunderbolt対応の外付けディスクは、いまひとつ普及していません。USB 3.0の2倍近く高速(理論値で最大10GB/秒)なものの、対応機器を製造するためのIC類が高止まりしていること、接続に必要なケーブルも高価なことがネックとなっているのでしょう。Thunderbolt対応機でありながらUSB 3.0の外付けディスクを使っている、というMacユーザも少なくありません。
では、Thunderboltを「拡張バス」として見るとどうでしょう? 2011年発売のMac mini(Mid 2011)など、ThunderboltポートはあるもののUSB 3.0ポートはない、というMacは複数存在します。そんなMacに、Thunderboltドッキングステーション「Belkin Thunderbolt Express Dock」を接続すると、USB 3.0ポートを増設できます。処理速度に大きな不満はないものの、いまどきUSB 2.0では……Thunderboltは手を出しにくいし……という1、2年前に発売されたMacのパワーアップも期待できます。
USB 3.0非対応のMacでUSB 3.0デバイスを使える!
Belkin Thunderbolt Express Dockには、Thunderboltポート2基のほか、USB 3.0ポートが3基、FireWire 800が1基、ギガビットEthernet、音声出力と音声入力が各1基用意されています。2基あるThunderboltポートのうち1基はMacとつなぎ、もう1基は(DVI変換アダプタを使うなどして)ディスプレイを接続するか、外付けディスクを接続するかに使用します。
それら接続ポートは背面にレイアウトされていますが、底面中央の溝にThunderboltケーブルをとおせば、背面を手前に向けて設置することが可能になります。ACコードも溝に通してしまえば、前面と背面を逆に設置したほうが使いやすいかもしれません。
Belkin Thunderbolt Express Dockには、ドライバなどの追加ソフトウェアは必要ありません。ただThunderboltケーブルとMacを接続すれば認識され、背面にあるUSB 3.0などのポートが利用可能になります。ギガビットEthernetポートも「Thunderbolt Etherスロット」として認識されるので、Ethernetケーブrを挿せば使えます。ヘッドフォン端子は、サウンド出力先を「USB PnP Sound Device」に切り替えればOKです。
このように、ThunderboltケーブルとMacをつなぐだけでI/Oポートが増え、USB 3.0デバイスの接続も可能になるBelkin Thunderbolt Express Dockですが、いくつか注意点もあります。ひとつは、USBポートの電源出力が(USB 2.0規格準拠の)500mA止まりということ。近ごろのMacに搭載されているUSBポートは高出力対応のため、iPadやiPhoneを高速充電できますが、本機では「充電していません」と表示されます(実際には低速充電されている)。もうひとつは、USB 3.0デバイスの最大転送速度が2.5GB/秒(規格上は最大5GB/秒)に制限されていることです。この点が気にならなければ、「ThunderboltはあるけれどUSB 3.0非対応なMac」のパワーアップに貢献することでしょう。