iTunesといえば、音楽再生にアプリの管理、iPhoneとの同期……そのとおりですが、映画をオンデマンドで購入/レンタルできることも定番機能のひとつです。今回は、陥りやすい映画レンタルの"罠"や、迫力のオーディオ再生に関するノウハウを伝授します。

iTunesはMacユーザに欠かせない道具

ミュージックプレイヤーとして、iPhone/iPadの管理ツールとして、「iTunes」はMacユーザに欠かせない存在です。Macにプリインストールされた状態で出荷されていますが、OS標準装備のアプリではなく単独ダウンロードすることも可能で、Windows版も提供されています。

そのiTunesには、オンラインストア(iTunes Store/App Store/iBookstore)でコンテンツを購入するという重要な役割があります。音楽、映画、iOSアプリに電子ブックと幅広いジャンルに対応し、iPhone/iPadに転送・同期もiTunesを介して行うしくみです。Macユーザの多くがiPhone/iPadを利用していることを考えれば、iTunesの存在がいかに大きいかがわかると思います。

とはいえ、iTunesのキホンは「再生」。音楽や映画を再生し、楽しむことが本来の役割です。曲の再生順を変化させるシャッフルやリピート、曲に合わせて変化する映像を映し出すビジュアライザは、より再生を楽しむための支援機能です。

映画も、iTunes Storeからダウンロードしたものをただ再生するわけではありません。iPhone/iPadやApple TVとの連携が考慮されていますし、スピーカー/アンプを用意すれば迫力の5.1chサラウンド再生も可能です。今回は、iTunesの映画再生に関連した使いこなし術を紹介します。

iTunes Storeには、映画タイトルが日々追加されています。画質は標準(SD)と高画質(HD)の2種類、それぞれ値段が異なります

iTunes Storeでは、映画をレンタルすることができます。レンタル期間はダウンロード完了から30日以内、ただしいちど再生すると48時間以内に視聴しなければなりません

映画をレンタルするコツ

最初に、映画をダウンロードします。映画によって購入/レンタルを選択できますが、ここでは利用回数が多いと思われるレンタルを前提に話を進めます。値段は作品ごとに異なりますが、旧作であれば高解像度(HD)版で400円、低解像度(SD)版で300円程度でレンタルできます。

レンタルを実行すると、映画のデータはMacのディスク上にダウンロードされます。容量は100分の映画で約3GB、120分で約4GBといったところです。ブロードバンド回線でも十数分以上の時間はみておいたほうがいいでしょう。

ポイントは、「どのマシンでレンタルするか」です。結論からいうと、Macでレンタルしたほうが無難です。ダウンロードした映画データがMacにあれば、iTunesの同期機能を使ってiPhone/iPadに移動できますし、再びMacに戻すことも可能です。レンタル期間内であれば何度でも移動・再生できますから、自宅のMacで途中まで見て続きは通勤電車のiPadで、といった楽しみ方ができるのです。

逆の方法が使えないことには注意が必要です。iPhone/iPadでレンタルした映画は、Macへ転送できないのです。iPhoneでレンタルした映画をiMacの27インチ画面で楽しみたい! と思ったところで、Macに転送できませんから、もういちどレンタルしないかぎりMacでは見ることができません。

MacのiTunesで映画をレンタルすると、期間内であれば何度でもiPhone/iPadに移動できます

Macで最後まで見られなくても、iPhone/iPadへ移動すれば通勤・通学の途中に鑑賞することができます

サラウンドで映画を楽しもう

Mac miniとMac Proを除き、Macにはステレオスピーカーが内蔵されています。音量を上げればそれなりの迫力で映画を楽しめますが、下腹部に響くような低音は期待できません。iMac(Late 2012)の内蔵スピーカーは、それなりの音を聴かせてくれますが、専用のオーディオスピーカーにはかないません。

内蔵スピーカーでは再現不可能なこともあります。それは「サラウンド」。Macにはバーチャルサラウンド再生機能も、そのような再生が可能なスピーカーも搭載されていません。これを解決する方法はひとつ、サラウンド再生に対応したスピーカー(あるいはAVアンプ+スピーカー)を用意することです。

サラウンド再生には、映画にサラウンド(マルチチャンネル)のオーディオデータが収録されていなければなりませんが、iTunes Storeで取り扱いのある映画の多くはサラウンド対応です。映画の説明欄にある「言語」をチェックし、そこに「Dolby 5.1」という記述があれば、5.1chマルチチャンネルのオーディオデータが収録されていることを意味します。

ただし、なにもしないと通常のオーディオデータが再生されてしまいますから、映画を再生するときiTunesのメニューバーで「制御」→「オーディオと字幕」を選択し、現れたサブメニューで「オーディオトラック2」にチェックを入れます。これで、Dolby Digitalの5.1chオーディオデータが、光デジタルまたはUSBケーブル経由で外部オーディオ機器へ直接(パススルー)送信されます。映画の迫力が、まるで違いますよ!

「Dolby 5.1」と記述のある映画には、サラウンドのオーディオデータが収録されています

Dolby 5.1対応のスピーカーがMacに接続されていれば、この操作によりサラウンド音声を楽しむことができます