iMacには、Bluetooth対応のワイヤレスマウス「Magic Mouse」が同梱されています。それをそのまま使い続けているユーザが大半でしょうが、四角い「Magic Trackpad」に置き換えると……OS X Mountain Lionをもっと便利に使いこなすことができますよ。

これからのポインティングデバイス

文字入力はキーボードでGUIはマウス、という操作スタイルが一般的な現在のパソコンですが、最初からそうだったわけではありません。個人向けコンピュータが普及しはじめた1980年代前半、当時のパソコン(「マイコン」とも呼ばれていました)にはGUIがありませんでしたから、キーボードを使い文字入力することで命令を伝えていました。

マウスを標準装備した一般消費者向けパソコンは、1983年にAppleが発売した「Lisa」が最初です。GUIはポインティングデバイスの利用が前提となっていますから、以降世に出たGUIのパソコンには、必ずといっていいほどマウスが付属しています。そう、1984年に初代が発売され、現在に続く「Macintosh」もそこに含まれます。

現在のMacのラインナップでは、iMacとMac Proにマウスが付属しています。このマウス、ただのマウスではなく、甲の部分にタッチセンサーを内蔵した「Magic Mouse」です。カーソルの移動だけでなく、iPhoneやiPadでおなじみのジェスチャー(タップやフリックなど)を可能にすることで、「Launchpad」や「Mission Control」といったMountain Lionならではの機能/操作性を実現しています。

しかし、タップやフリックが主体の操作体系では、マウスは少々"窮屈"です。カーソルを正確に移動させる用途にはベストかもしれませんが、複数の指を滑らせるには面積が狭く感じられます。マルチタッチ対応は、iOSとの統合を進めるOS Xに必須ですが、それをマウスで実現しようとするのは若干無理があるのではないでしょうか。

そこでお勧めしたいのが、「Magic Trackpad」です。ジェスチャーにちょうどいい大きさで、当然ワイヤレス。付属のキーボード(Apple WirelessKeyboard)と並べると継ぎ目を感じさせない、統一されたデザイン性も魅力です。いちど使えば、これからのMacのポインティングデバイスはこれだ、と感じることと思いますよ。

Apple WirelessKeyboardと並べると、統一されたデザイン性を実感できます

Magic Mouseより大きいものの、動かす必要がないため、むしろ机を広く利用できます

Magic Mouseにはできない、あんなこと・こんなこと

Magic Trackpadは、MacとBluetoothで通信を行います。動作に必要なプログラム(ドライバ)はシステムにあらかじめ用意されているので、「ペアリング」を行いシステムに登録するだけで利用可能になります。ペアリングといっても、システム環境設定を起動して「トラックパッド」パネルを開き、Magic Trackpadのパワーボタンを押すだけですから、誰でもかんたんに使いはじめることができます。

その使い方ですが、セットアップ完了後にシステム環境設定の「トラックパッド」パネルを見るといいでしょう。カーソルの移動は、見るまでもなく指1本を動かすだけですが、3本指タップでカーソル位置の単語を調べる(OS Xに付属の「辞書」で単語を引く)、2本指タップでスマートズーム(Safariなど一部アプリで文字/画像を拡大)など、教えてもらわなければ気付かないような便利機能をチェックできます。気になる項目を選択すれば操作のムービーが表示されますから、理解に役立ちます。

Magic Mouseとの最大の違いは、3本指、4本指を使ったジェスチャーに対応することです。Magic Mouseのジェスチャーは、標準セットアップの状態(OS Xに付属のドライバを使う場合)では、認識可能な指は2本が最大ですが、Magic Trackpadでは最大4本を認識します。この違いが、OS Xの操作性を大きく変えるのです。

たとえば、親指と3本指でつまむジェスチャーを行うとLaunchpadを起動できます。反対に、つまんだ親指と3本指を離すジェスチャーを行うと、散らかったウインドウが画面の端に片付けられデスクトップを表示できます。右端から左へ2本指をスワイプさせれば、サッと「通知センター」が現れます。いずれもMagic Mouseにはない機能ですね。

ポインティングデバイスは、マウス以外にもトラックボールやタブレット+ペンなどいろいろ種類がありますが、Mountain Lionに一番しっくりくるのはトラックパッドでしょう。こと操作性に関しては、OS XとiOSは同じ方向に進化すると予想されますから、ひょっとするとMagic TrackpadがMacに標準装備される日がくるかもしれません。Macと長く付き合うつもりなら、そのトレンドを先取りしてもいいのではないでしょうか?

システム環境設定のMagic Mouseの画面(左)と見比べれば、Magic Trackpad(右)のほうが多機能だとわかります

ペアリングはかんたん、システム環境設定を起動して「トラックパッド」パネルを開き、Magic Trackpadのパワーボタンを押すだけです

Magic Trackpadのジェスチャーを使えば、Launchpadの起動などあれやこれやが格段にスピードアップします