筆者の持つASUS ZenWatch 2にようやくAndroid Wear 2.0(以下AW2と略します)が配信されました。今回は、ZenWatch 2上のAW2について見ていこうと思います。

すでにAW2については、あちこちに記事がありますが、大きくまとめると、「Playストア(写真01)の実行と文字入力(写真02)が可能になり、Android 7.xベースになった」といえます。Android Wear 1.5(以下AW1.5)までは、スマートフォンと組合せることが必須の「お友達デバイス」的な性格が残っていましたが、AW2では、単体で動作するウェアラブルコンピュータ的な要素が強くなっています。

写真01: AW2では、Playストアが組み込まれ、時計側で直接アプリをインストールするようになった

写真02: 文字入力は、キーボード、手書き、音声の3つの方法で可能。「Google日本語入力」で日本語の入力も可能

ただし、スマートフォンがまったく不要というわけでもありません。たとえば、Wi-Fiの設定ではまだスマートフォンが必須になっています。

というのも、スマートウォッチの常時Wi-Fi接続や3G/4Gなどのモバイルネットワーク接続はまだバッテリへの負荷が大きすぎ、Bluetoothによるスマートフォン経由でのインターネット接続を利用するのが標準と想定されているようです。やはりこのサイズでは、バッテリ容量に限界があります。

スマートフォンから独立したいという意志は感じられるものの、ハードウェア的にはちょっと難しいというところでしょうか。

ホーム画面のユーザーインタフェースが変わった

AW2の大きな変更点の1つは、文字盤アプリ(ウォッチフェースアプリ)が動作しているホーム画面のユーザーインタフェースです。上下左右から画面中心に向かってのフリック操作に割り当てられている機能が変更になりました(図01)。

図01: AW2のホーム画面(文字盤アプリ)の操作。左右のフリックが文字盤切り替えとなった。論理的には理解できるが、文字盤切り替えをそこまで簡単にする必要があるのかどうか……

上下左右のフリックや文字盤の長押しと操作を組みあわせるという基本的な部分には変更がありませんが、AW1.5とは割り当てられた機能が違っています(図02)。

図02: AW1.5のホーム画面では、横方向のスクロールを使いメニューを切り替える。タッチ精度が高くない場合を想定してボタンを1ページ最大3つ程度に抑えている

特に左右からのフリックで文字盤アプリが変更になるのには、ちょっとした違和感を感じます。文字盤をそれほど簡単に変更する必要があるのかどうか。しかも、左右、2つのフリック操作を割り当てています。たとえば、アプリリストなど、ほかに割り当てるべきものはあるような気がします。あるいは、ユーザーが機能を割り当てられる項目にしても利便性は上がるでしょう。ホーム画面という比較的長時間表示されている画面で、簡単にできる操作なのにムダなような気がします。

AW1.5までは、電源ボタンは必須項目ではなく、初期のLG G Watchのように物理ボタンを持たない機種もありました。しかし、AW2のユーザーインタフェースをみると、アプリリストの表示には電源ボタンのクリック(短押し)に使われており、アプリリストを表示する他の方法がないことから、電源ボタンなどの物理ボタンはほぼ必須になっているといえそうです。たしかに本体右側にリューズがあったほうが時計らしいといえばそうなのですが、デザインの自由度という点からいうと物理ボタンが必須というのはいい選択とはいえません。前述のように左右のフリックがムダに使われているので、ここは物理ボタンを必須としないで、左右フリックのどちらかに割り当てるなどしてほしいところです。

アプリの動作

また、ホーム画面のUIスタイルの変更に伴い、アプリ実行中のGUI操作にも変更が出ています。AW2では、アプリの起動中、上から下へのフリックにアプリのメニューを、「左から」のフリックに「戻る/終了」を割り当てます。また、アプリにより、上から下へのフリックに「Navigation Drawer」を、下からのフリックに「Action Drawer」を割り当てます。ドロアーとは、普段は隠れていて、フリック操作などにより「引き出して」表示させる画面のことで、Android Wearに組み込まれたGUI部品の1つです。

アプリ起動後などページが上の端にあるときにさらに下にスクロールさせようとすると、Navigation Drawerがあることを示すタブ(写真03)が表示され、これをタッチしたり、フリックするとドロアーが表示されます(写真04)。Navigation Drawerは、画面の上に収納されているロールカーテンやシャッターのようなイメージで動作します。Navigation Drawerは、Googleのドキュメントよれば「……users to switch between views in your app」(アンドロイドデベロッパーサイト)のためのものとされています。

写真03: アプリ画面の上部にはNavigation Drawerがあり、上端までスクロールさせると「タブ」が表示される

写真04: タブをタッチ、ドラッグすれば、Navigation Drawerが開く

主に、アプリ内のページ切り替えや設定など画面切り替えに使うドロアーです。ただし、すべてのアプリがNavigation Drawerを持っているわけではありません。

これに対して、画面の下には「Action Drawer」が配置されます。Action Drawerは、各ページで利用できる共通性の高い操作で、「……you provide easy access to common actions in your app」とされています(同)。AndroidスマートフォンのGmail画面で画面右下に表示される「+」ボタンのような機能に相当します。Action Drawerは、画面をスクロールさせているときなどに画面下部にアイコンのついたタブなどで表示されます(写真05)。複数の機能がある場合には、Action Drawerを引き出して指定しますが、単一の機能しかない場合にはタブに直接アイコンが表示されます。

写真05: アプリに対するコマンドは、Action Drawerで指定できる

基本的にはアプリ画面では、右から左へのフリックの利用は自由なようです。たとえば、ページの切り替えや詳細情報の表示に利用するアプリもありますが、まったく利用していないアプリもあります。

常にアプリ内のホームページでは、「左から右」へのフリックは「戻る」あるいは「アプリ終了」であり、「右から左」へのフリックは、機能が存在すれば、さらに詳細な情報などの表示です。この方向関係は、AW1.5までと同じなので、それほど迷うことはないと思われます。