前回は、Android 7.1.1の概要と絵文字対応について解説しましたが、今回は、アプリショートカットとイメージキーボード機能についてです。なお、どちらの機能も、アプリ自体が対応する必要があります。

アプリショートカット

ユーザーに見える変更点で大きく変わったのは、ウィジェットからアプリ内の機能を起動する「アプリショートカット」(App Shortcuts)です(写真01)。アプリショートカットとは、ホーム画面に配置できる、アプリを起動するアイコンです。この機能自体は、以前よりアンドロイドにある機能です。

Android 7.1のアプリショートカットは、長押しでメニューを表示し、これを選択することで、アプリの特定の機能(キーアクションといいます)を直接呼び出せるようになりました。また、直接キーアクションを起動できるアイコンをホーム画面に配置することもできます(写真02)。

写真01: ホーム画面のアプリアイコンを長押しするとキーアクションが表示されるようになった

写真02: 吹き出しのように表示されたキーアクションはそのままドラッグすると特定の機能を実行するアイコンとしてホーム画面に配置できる

たとえば、GMailの場合、ショートカットをタップすればGMailの受信トレイを表示します。従来メールを書く場合には、このあと、画面右下の作成アイコンをタップして作成画面に入っていました。7.1では、Gmailアイコンを長押しすると「作成」キーアクションが表示され、直接メッセージ作成画面に入ることができます。動作としては2ステップで、従来と同じ手数なので手間は同じように思えますが、7.1の場合は、ほとんど指を動かす必要がありません。タブレットなどでは、画面左下の作成アイコンをタップするのに手を動かさねばならず、かなり手間を感じます。

さらに、表示されたキーアクションの右側にある「ハンドル」(グレーの短い3本線)の部分をドラッグすると、ホーム画面に、作成キーアクションを直接実行できるショートカットを配置することもできます。筆者の場合、Gmailなどのメールアプリの場合、メールを読むのは通知シェードから起動することが多く、ホーム画面やアプリ画面のGmailアイコンをタップするのは、メールを作成する場合がほとんどでした。なので、ホーム画面に作成ボタンと同じ働きをするショートカットがあれば、一発で作成画面に入ることができます。これはなかなか便利です。なお、キーアクションのアイコンは、ホーム画面下のお気に入りバーにも配置できるので、利用頻度が高いキーアクションをいつでも起動できるようにできます。

手元にあったNexus 9やNexus 5Xで調べてみたところ、Google標準アプリのうちすでに23個(写真03)がアプリショートカット対応しており、キーアクションを表示できます。また、Evernote(写真04)などのサードパーティアプリでもすでに7.1のキーアクション表示に対応しているものがあります。

写真03: 標準のGoogleアプリのうち、多くのものがアプリショートカットに対応していた

写真04: サードパーティアプリでは、エバーノートがすでにアプリショートカットに対応している

イメージキーボード

この機能は、APIとして提供される機能で、アプリと、タッチキーボードの両方が対応している必要があります。ただしAndroid 7.1の場合、標準のキーボードである「GBoard」と「メッセンジャー」アプリが対応していて、動作を試すことができます。

イメージキーボードとは、テキスト以外にGIFアニメーションや画像ファイルなどを受け付けるアプリに対して、キーボード経由でイメージデータを送る機能です(写真05)。例えば、チャットアプリにテキストを入れたあと、スタンプをキーボードで直接選んで送信できるようにできます。ユーザーは絵文字入力のようにキーボードのモードを切り替えるだけで文字以外のデータも選択でき、アプリ側の操作が不要になります。あまり、便利なように見えませんが、アプリを操作しないで、画面最下行でキーボードのモードを切り替えるだけなので、手間が省ける感じです。もう1つは、アプリの操作に依存しなくなるため、ユーザーはキーボードの操作に慣れれば、同種の他のアプリでも同じように操作できるようになります。

通常、テキストや動画、静止画などを扱うことができるアプリでは、それぞれをアプリ側の操作で個別のUIとして実現しています。たとえば、アプリのテキスト欄をタッチして文字の入力を行い、アプリ内のアイコンをタップして画像や動画を送ります。アプリによっては、送信する対象により、アイコンが分かれている場合もあります。

イメージキーボードは、アプリ側が受け付けることが可能なデータ形式を登録することで、キーボードがそれぞれの入力や指定を行うもので、キーボード側から見れば、モードを変えて入力するものを指定してやれば、入力が完了します。ユーザーインターフェースとしてはあくまでもキーボードのままで、タイミングは自由です。たとえば、テキストを途中まで入力して、GIFファイルを指定してまた残りのテキストを入力するなんていうことも可能になります。

ただし、このためには、アプリ側も、キーボードからテキスト以外の画像や動画などをまとめて受け取る機能が必要なのと、キーボードを開くときに、自分が何を受け付けることができるのかを指定する必要があります。このため、Android 7.1用にアプリを作り直す必要があります。

また、タッチキーボード側も、イメージキーボード機能に対応する必要があります。なお、原稿執筆時点では、英語などの入力に利用できるGboard(バージョン6.0.69.142176780-arm64-v8a)は対応していましたが、Google日本語入力(バージョン2.18.2583.2.130597023-preload-arm64-v8a)はイメージキーボード機能に対応していないようです。

写真05: メッセンジャーアプリとGboard(Google標準キーボード)がすでにイメージキーボードに対応している。メッセージ欄を選択してGboardを表示させ、テキストの入力状態とする

キーボード右下の緑のキーをタップすると絵文字などの入力モードになるので、キーボード下部の「GIF」を選択する

するとキーボードでGIFアニメーションを選択できるようになる

キーボードからGIFアニメーションを選択するとアプリ側がこれを受け付ける。しかし、テキスト部分は以前として入力状態のまま