Nougatこと、Android 7.0がアップデートされてAndroid 7.1になっています。最初に出たのは、昨年11~12月(機種により違いがある)でしたが、年末から年明けにかけて7.1.1が登場しました。7.1には、いくつか新しい機能が搭載されているため、簡単に紹介しておくことにしましょう。

一般的に、アンドロイドのバージョンアップでは、ユーザーから使える新しい機能と、開発者が利用できる新しい機能(APIなど)が追加されます。前者は、見た目で判断できたり、使えばわかる機能ですが、後者は、開発者がその機能を利用するアプリを作って初めてユーザーが利用可能になるため、比較的わかりにくくなっています。ただし、APIに機能が追加されるような場合、アンドロイドのAPI levelと呼ばれる数字が変わります。Android 7.0のAPI levelは24、7.1は25になっています。

7.1で追加された機能には、

  1. 新しい絵文字とスキントーンの変更
  2. アプリショートカット改良
  3. イメージキーボード
  4. 周りが丸いアイコン
  5. 電話機能(事業者向け機能)
  6. VRスレッドのスケジューリング
  7. Retail Demo Modeの検出

などがあります。このうち1~3は、機能としてユーザーが見ることが可能です。4~5は、基本的には開発者でないとわからない機能ですが、開発者がこれらの機能を使ってアプリを作ればユーザーから見ることはできるでしょう。6と7は、対応したアプリがあったとしても、機能としての観察は難しいでしょう。

絵文字の追加とスキントーンの変更

Unicode 9.0などで定義された新しい絵文字や人物を表現する絵文字のスキントーン(Skin tone。肌の色)を変更する機能がAndroid 7.1では利用できるようになりました(写真01)。このため、Googleの標準キーボードとなる「Gboard」(以前のGoogleキーボード)や「Google日本語入力」などでは、新しい絵文字が利用できるようになっています。

写真01: Android 7.1で追加された職業に対応した絵文字。最初の2行は、「工場労働者」の絵文字をスキントーン6種類と男女を切り替えて表示したもの

また、人物を表現する絵文字は、Gboard内で長押しすると、男女やスキントーンを選択するメニューが表示されます(写真02)。注意するのは、アプリ側も新しい絵文字に対応できないと、正しく表示できない点です。

写真02: GBoardの絵文字を長押しすると、スキントーンや男女を選択するメニューが表示される

というのは、スキントーンなどは、新しいコードが割り当てられた新規の「文字」ではなく、複数の絵文字などを組みあわせて表現しているからです(写真03)。このため、Unicode 9.0に対応していないアプリから新しく追加された絵文字を見ると、複数の絵文字に分解されて見えてしまいます。注意してみれば、意味が分からなくもないのですが、知らないと、なんだかよく分からない絵文字のようにしか見えません。

写真03: 新しい絵文字にある「工場労働者」は、男性または女性の「顔」の絵文字とスキントーンを指定する絵文字、そして「スパナ」の絵文字の組合せからできている。対応が不完全なため、キャレット(黒の縦線)が文字と重なっている

たとえば、Android 7.1で動作しているGoogleドキュメントアプリは、新しい絵文字に対応していて、女性の工場労働者を表示でき、さらにスキントーンを変更することができます。しかし、これを非対応のアプリ、たとえば、PC用のChromeブラウザ(バージョン55.0.2883.87 m)で見ると、分解された絵文字「女性の顔」、「スパナ」といった絵文字が並んでいるようにしか見えません(写真04)。これは、ChromeがUnicode 8.0までの対応で、スキントーンの変更には対応しているものの、Unicode 9.0の新しい絵文字には対応していないからです。

写真04: たとえば、Windows上のChromeブラウザでは、Unicode 8.0までの対応なので、スキントーンは処理されるがスパナとの組合せは処理されず2文字になってしまう

また、Android 7.1でなければ、同じGoogleドキュメントアプリでもやはり絵文字を正しく表示できません(写真05)。

写真05: 同じGoogleドキュメントアプリでも、Android 6.0.1上では、文字は分解されて見えてしまう

Android 7.1上のGoogleドキュメントアプリは、新しい絵文字を表示することができるのですが、対応は完全ではなく、バックスペースで組みあわせている文字を1文字づつ消してしまいます。カーソルの動きなどを見ると組合せた文字は表示としては1文字になる(これはおそらくAndroid 7.1側の機能)のに対して、ドキュメントアプリは複数の文字として認識しているからだと思われます。

スキントーンについては、評論を避けますが、新しい絵文字パターンが使えるようになるのは悪くないことだと思われます。ただ、気になるのは、いくつかの絵文字では、男女が別々にリストに表示されるものと、1つの絵文字のバリエーションとして表示されるもののがあり、その区別がちょっとわかりません。たとえば、GBoardでは「工場労働者」は、女性の絵文字が表示され、バリエーションとして男女のスキントーンを選択しますが、裁判官は、最初から男女が別の文字としてリストに表示されています(写真06)。どちらも組合せ絵文字で、工場労働者は男女の顔とスパナ、裁判官は男女の顔と天秤の組合せです。利用頻度なのかもしれませんが、新規に登場した絵文字利用頻度もあったものではないかと思われます。また、組合せという点では、どちらも絵文字を組みあわせて表現されています。訴訟大国と呼ばれる米国なので、裁判官の絵文字の利用頻度が高いと考えたのでしょうか? ちょっとこのあたり、理由は分からず、スッキリしない感じです。

写真06: 2段目左から3つめと4つめは男女の裁判官をあらわしているが、同じ行の右端にある工場労働者は女性のみ表示されて長押しで男女を選択するようになっている

次回は、この続きでアプリショートカットなどの解説を行う予定です。