中国のXiaomi社のスマートフォン「Mi5」を買ってみました。名前は、イギリスの諜報機関みたいですが、特に関係はなさそうです。Xiaomi社のスマートフォンは、一昨年ぐらに急激に中国を中心にシェアを伸ばし、上位に躍り出ました。

Xiaomi Mi5。本体色は白。正面のフォルムや横長のボタンなどにどことなく、著名なスマートフォンを思い出させる部分があるような気がする。液晶の左右の額縁部分は、実際には表示されない黒い部分が2ミリほどある

作りは丁寧な感じで筐体には安っぽいところはありません。現在では、ほとんどのスマートフォンは中国製。中国製だからといって品質がどうこうという時代でもないのです。全体の印象は、「なんとか4によく似たどこかのスマートフォンにそっくり」って感じです。もっとも、正面には、機種を示す「Mi」のロゴがあるので間違えることはないでしょうが、なにもなければ、間違えてしまいそうな感じです。

本体下部。正面から見ると側面は垂直のような感じがするが、実際には、左右側面の背面側がカーブしている。底部には、スピーカーとマイク穴になった通気口のようなものが左右対称にある。中央は、USB Type Cコネクタ

本体上部。ヘッドホン端子(写真左)があり、中央は、赤外線ポートとマイク。側面部分は金属だが、一部に切り込みがありプラスティック様のものが埋め込んである。おそらくアンテナを兼用しているのだと思われる

本体背面。ガラス系の素材だという。右側面(写真下側)にボリュームと電源ボタンがある。反対側はSIMトレーになっている

Mi5には、Google Playストアの無い中国国内版と、Playストアなどが搭載されている通常のアンドロイドが使われているグローバル版の2種類があります。中国国内版でも、あとからPlayストアなどをインストールできるとのことですが、さすがにそこまでやるのは面倒です。なので、ちょっと高くなりましたが米国でグローバル版を入手しました。今回はざっと触った感じをレポートします。

Mi5は今年2月のMWCで発表され4月に出荷が始まりました。CPUには昨年末に発表されたQualcommのSnapdragon 820を採用しており、おそらく、820採用のスマートフォンとしてはごく初期の機種です。スペックとしては、ハイエンド(表01)といっていいでしょう。この領域ではQualcomm社のSoCであるSnapdragonシリーズの採用が多く、多くのメーカーが短期間で製品を開発しているため、どの機種も似たようなスペックになってしまいます。このため、スペック的なアドバンテージを保てるのは、どのメーカーの製品でもごく短期間でしかありません。

■表1 Xiaomi Mi5 スペック
機種名(型番) Xiaomi Mi5 Standard Edition
発売年 2016年2月
CPU Snapdragon 820(4コア) Kryoコア1.8GHz×2、同1.36GHz×2
GPU Adreno 530
RAM 3GBytes
ROM -
ストレージ 32GBytes
画面 5.14インチ 1080×1920ドット IPSカラーLCD
GSM 850/900/1800/1900MHz
UMTS 850/900/1900/2100MHz (B1/2/5/8)
TD-SCDMA 2010/1880MHz(B34/39)
FDD-LTE 2100/1800/2600MHz(B1/3/7)
TDD-LTE 2570/1880/2300/2496MHz (B38/39/40/41)
無線LAN IEEE802.11 a/b/g/n/ac MU-MIMO
Bluetooth Ver.4.2
GPS ○ (A-GPS/Gronoss対応)
NFC
フロントカメラ 400万画素/固定焦点
バックカメラ 1600万画素/4軸光学手ぶれ補正/オートフォーカス/フラッシュ
I/O USB typeC/ヘッドホン端子/赤外線出力ポート
OS MIUI 8.0 (Android 6.01)
バッテリ リチウムポリマ(3000mAh) 取り外し不可
サイズ 14.46×6.92×0.73センチ
重量 129グラム

Mi5の場合、すでに筐体やCPUなど一部ハードウェアが変更された「Mi5s」や「Mi5s Plus」といった製品が登場しており、出荷されて1年もたってないのにもう型落ちといった感じがしないでもありません。とはいえ、上位機種が出た関係で、Mi5の価格は中国国内では価格が1599元に下がっています。国際版を扱う通販サイトでもだんだんと価格が下がりつつあり、ちょっと買ってみるのにはいいタイミングになってきました。平均的にみれば、Mi5のスペックは、まだ上位機種といえる範囲にあります。

前述したように、作りやスペック的な部分には、問題はなく、安いからといって他のスマートフォンに比べても劣るようなところはありません。いわゆるコストパフォーマンスは高いといってもいいでしょう。

ハードウェアとしてちょっと特徴的なのは、液晶下に3つのハードウェアボタンを持っていることです。真ん中のボタンは、指紋リーダーを兼用している横長のメカニカルボタンで、タッチのみで指紋を読み込み、押し込むとホームボタンとして動作します。

左右のボタンには、アイコン表示がなく、単にLEDが点灯するだけです。なので、LEDが消灯していると、パッと見には、ボタンが1つしかないように見えます。このあたりが、何かに似てると思わせる要素の1つです。

標準では、右に「戻る」ボタン、左に「最近」ボタンが割り当てられていて、設定で交換することも可能です。これは、アンドロイドの標準のナビゲーションバーからみると左右反対ですが、持ち手の側に利用頻度の高い「戻る」ボタンを配置できるのは意外に便利です。どちらの手に持っても、親指で簡単にタッチできます。

ホームボタンは、タッチで指紋認識、押し込んで動作が標準ですが、設定によりタッチするだけでホームボタンとして動作させたり、左右のボタンを使わずにホームボタンの「タップ」(押し込まずに短くタッチ。戻るボタンの機能)と「ダブルクリック」(短く2回続けて押し込む。「最近」ボタンと同じ)、「シングルクリック」(ホームボタンとしての動作)、「長押し」(押し込んだままにする。Google Nowの起動やNow on Tapの機能)だけで操作するといった設定が可能です。

このあたりは、ホームボタンが指紋リーダー兼用で、タッチ、押し込みの2つの動作を検出できることをうまく使った感じがあります。

その他、最近の機種としては珍しく赤外線ポートがついてることが挙げられます。付属の「mi remote」を使うことで、mi5を赤外線リモコンとして利用できます。ただし、受光部がないのか、Mi Remoteアプリには、学習機能はなく、機器のタイプを選び、登録済みのパターンの中から選択して設定を行います。このとき、パターンの選択は、相手機器が動作するまで電源ボタンの登録パターンを順番に送信して行います。機種によっては90パターンもあって、筆者は数機種設定したところで挫折しました。

赤外線送信ポートとしては、Androidでは標準的なハードウェアらしく、Playストアにある赤外線リモコンアプリも利用できました。泥臭いハードウェアですが、スマホをもっていれば、リモコンを捜さずに済むので、自宅などでもスマートフォンを肌身離さず持ち歩く人には便利な機能です。とはいえ、最近あまり見かけないのは、利用者が少ないからじゃないか? という気はします。

Mi5は、SIMトレーに2枚のナノSIMを装着でき、2つのラジオ(無線部)で待ち受けが可能です。このあたりについては、次回細かく解説します。なお、Mi5の引き出しトレーは1つしかなく、マイクロSDカードを装着することができません。

Mi5は、2つのラジオがあり、メインラジオは、LTE/UMTS(3G)/GSM対応のトリプルモードなのは当然ですが、サブラジオは、UMTS/GSMのデュアルモードになっています。このため、広い地域で、2つのSIMによる着信待ち受けが可能です。次回は、このあたりについて解説します。