アンドロイドのタブレットをカーナビにする場合、運転の頻度や走行時間によって使い方が変わってきます。筆者宅の場合、車を使うのは一週間に1回あるかどうか、近所への買い物なので、走行時間は30分以下がほとんど、長くても1時間程度というパターンでした。この場合、走行中にバッテリをフル充電することができないため、どうしても自宅に持ち帰って充電を行う必要があります。もう少し乗っている時間が長い、頻度が高いのであれば、ある程度充電できるのですが、筆者宅の利用パターンではどうしようもありません。車から常時電源を供給する方法もありますが、2つの点で問題があります。

1つは、ほとんどのモバイルデバイスは、大半の時間をバッテリで駆動する前提で作られているために、月単位の時間、充電状態にしたときに、劣化などの問題が考えられる点です。

これまでに使ってきたモバイル機器の中には、長期間充電状態にしたときに壊れてしまうものがいくつもありました。さすがに火を噴いたものはありませんでしたが、起動しなくなるものがほとんどでした。何が起こるかは、機器の設計と使われている部品次第です。内蔵バッテリが劣化して電力が出せなくなると、外部から電力を供給しても起動しなくなる機器もあります。

もう1つは、自動車という環境を考えると、夏などは、車内がかなり高い温度になる可能性があります。これだけでもスマホーとフォンやタブレットに対して強いダメージが加わるのに、さらに通電状態だともはや結果が想定できません。こうした理由から、普通のスマホやタブレットを自動車の中で常に通電状態にしておくことはお勧めできません。

とはいえ、毎回取り付け、取り外しするのも結構面倒です。実際、ときどきは持って帰るのを忘れて2~3日放置してしまうことがありました。このとき、スリープ中の消費電力が大きいと、バッテリ残量がなくなってしまい、ナビが必要なときに充電しないと使えない状態になってしまう可能性があります。結局、できる限りスリープ中の消費電力を抑える必要があります。

いろいろとやってみたところ、充電しないでも数日は充電しないでよさそうな程度にまで持っていくことがが可能でした。なので、持ち帰って充電でも、あまり神経質になる必要はありません。

ただ、注意するのは、冬場、気温が下がると、バッテリの出力が小さくなり、一時的にバッテリ残量が低下することがあります。このため、本来はバッテリが残っているのに冬の朝などにバッテリ残量が少なくなって、省電力モードに入ってしまうことがありえます。

写真01: ときどき下がって、また上がっているが、下のバーを見ると充電が行われていない。これは温度でバッテリの出力が低下したことを示す

(写真01)は、寒いときに車にNexus 7を放置したときのバッテリ残量のグラフです。ときどきバッテリ残量が急激にさがり、そのあと回復しているのですが、充電は行われていません。Battery-Widgetのグラフには、バッテリ温度も記録されているのですが、そのグラフを見ると、温度が0度近くまで下がっています(写真02)。

写真02: Battery Widgetではバッテリ温度も記録されるが、グラフ(赤い部分)を見ると、0度以下にまで下がっている

もう1つ注意するのは、Googleのマップアプリは、ナビゲーションを行っている間は、本体をスリープさせないようになっています。ナビゲーションを行わなければ、起動していても、スリープ状態に入ることができます。普通はこれで問題がないのですが、たとえば、ナビゲーションを使って目的地に向かっている途中に食事を取るなどの場合、ナビゲーションが動きっぱなしだと、停車中もスリープになりません。この間、アクセサリ電源だと、本体内のバッテリを消費し続けます。この点には、注意する必要があります。

できる限りアンドロイドのスリープ電力を下げる方法

できるだけ本体の消費電力を下げるため、いろいろと設定をためしてみました。方法の1つは、前回紹介した動作するアプリの数を減らすことです。アプリの中には、同期処理を使い、自身が起動されていなくても、通信を行うものがあり、これが電力を消費し、場合によっては、モバイルネットワークで通信を行ってしまいます。

アプリの数を減らすのが一番有効ですが、アンドロイドの同期設定もできる限りオフにしておく必要があります。標準搭載されているアプリの中には、無効化やアンインストールができないものがあるからです。Nexus 7の場合、標準的な実装ということで、このようなアプリは少ないのですが、他社製品の場合には、メーカーで入れたアプリなどが無効化できないこともあり、同期設定をしておかないと、電力やパケット容量を消費してしまう可能性があります。

また、Playストアアプリは、自身で、アプリのアップデートや自動インストールを行います。これに関しては、アプリ内部でしか設定ができません。Playストアアプリは、「アプリの自動更新」や「通知」の「アプリのアップデート」をオフにしておく必要があります。

バッテリ消費を抑えるには、まず、スリープ状態を数時間程度維持して、「設定」 ⇒ 「電池」で、バッテリの消費具合を調べます。グラフが急激に下がることがあれば、なんらかのアプリが起動して電力を使っている可能性があります。なお、非充電時間内に消費されたアプリごとの電力の割合は、この「電池」設定で調べることができます。開いたときに、消費電力の大きなアプリや機能(Wi-Fiや画面表示など)を順に表示されます(写真03)。また、アプリは、設定や、バージョン、その他の不具合で、スリープに入ることを阻止してしまうことがあります。

写真03: 「設定 ⇒ 電池」では、バッテリ残量のグラフと消費電力の大きなアプリのリストを表示する

また、スリープ中のシステム状態は、「電池」の画面でグラフをタップして表示させることができます(写真04)。グラフが大きく表示され、その下に、モバイルネットワークや無線LAN、画面などの状態が線で表示されます。短い縦線が間隔を空けて並ぶのは問題ありませんが、太い横線がずっと続いているのは、その機能が長時間活動していたことを示します。

写真04: 「設定 ⇒ 電池」でバッテリ残量のグラフをタップすると、システム状態を示すバーのついた大きなグラフが表示される

また、スリープしている時間内に「スリープなし」の項目に線が表示されるのは、なんらかのアプリ(またはシステムモジュール)が起動していることを意味します。

どのアプリがスリープ中に起動しているのかは、完全にはわかりませんが、各アプリの電力消費状態を調べることである程度予想がつきます。

「設定 ⇒ 電池」で消費電力の大きなアプリが表示されているとき、これをタップすると、消費電力などを調べることができます。Android 6.0では、「設定 ⇒ アプリ」でアプリを選択したあと「電池」(写真05)を選んでも同じ情報を表示させることができます。Android 6.0では、すべてのアプリを調べることが可能です。Android 5.xまでは「設定 ⇒ 電池」にリストされたアプリしか調べることができません。

写真05: Android 6.0では、「設定 ⇒ アプリ」のアプリ詳細情報に「電池」の項目がある

ここに「スリープモードにしない」という項目がある場合(写真06/07)、アプリは、動作中にシステムがスリープしないように設定しています。この値は、前回充電してからのバッテリ駆動期間内にスリープを阻止した時間の合計です。これを見ることで、どのアプリ(またはシステムモジュール)がスリープ中に動作しているのかのアタリをつけることができます。このときアプリは、設定を変更したり、アンインストールや無効化で対策が可能なのですが、「Google Play開発者サービス」などのシステムモジュールはどうすることもできません。

写真06/07: アプリやシステムモジュールの「電池」情報は、動作時間や「スリープモードにしない」機能を使った合計時間などを表示できる

(写真08)は、設定が完了し、車に放置した場合のものです。約3日間で45%で、ほぼ6日程度はバッテリがもつ計算になります。このとき、「設定 ⇒ 位置情報」の「モード」は「高精度」になっていたため、Wi-Fiがずっとオンのままになっています。この3日間の消費のうちWi-Fiは35%を消費しており、ちょっと大きいようにも思えますが、あくまでも割合です。「設定 ⇒ 位置情報 ⇒ モード」を「端末のみ」としてGPSでのみ位置測定を行うようにすれば、無線LANは、スリープ中は完全にオフにできます。「端末のみ」にしてGPSだけを使う設定にすると、位置測定が完了するまでに時間がかかるようになり、乗車してすぐにナビができない状態になります(目的地などの設定はできるが、案内が行われない)。使い勝手を優先するなら「高精度」、スリープ時の消費電力を優先するなら「端末のみ」ですが、ナビゲーションという目的を考えると、「高精度」にしておくべきでしょう。

写真08: ひととおり設定を行うと、放置しても6日程度はスリープ状態を維持できるようになった

このような感じで、Nexus 7をカーナビとして利用することができました。最大のメリットは、PCなどで目的地に予めスターをつけるなどしておくことができる点です。また、マイマップ機能などを使って、用途別マップを作ることも可能です。

と、今回の話はここまで。さて、ここでお知らせがあります。本連載、僚誌マイナビニュースへと移籍することになりました。といっても内容は変わらず、次回分から掲載場所がこちら(URLリンク)へ変更になるだけです。引き続きお付き合いいただければ幸いです。

本稿は、2016年2月22日にAndorid情報誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。