【コラム】

塩田紳二のアンドロイドなう

83 Android "L"プレビューとAndroidWareがアップデート

塩田紳二  [2014/10/28]

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「Android 5.0」が正式に発表されましたが、それに伴い、Nexus 5および7(2013Wi-Fi版)用の「Android "L" Technical Preview」がアップデートされました。同時にAndroid 5.0対応のSDKも公開されています。また、Android Wareもアップデートがありました。

Nexus 5用のAndroid 5.0プレビューは、ビルド番号がLPX13Dとなっています。Android "L"プレビューではLPV79となっていました。以前解説したように、ビルド番号の先頭はAndroidのバージョン(LはAndroid 5 Lolipop)で次の「P」はブランチを表しますが、「P」はおそらく「プレビュー」の意味だと思われます。3文字目は次の2つの数字と合わせてビルドが行われた日を示します。Xは10月1日を意味しており、10月13日に作られた4番目のビルドということになります。同様に最初のプレビューであるLPV79は、6月19日に"L"のブランチPとして最初に作られた(最後にアルファベットがついていない)ものという意味になります。

このAndroid 5.0テクニカルプレビュー(長いので以下プレビュー2としておきます)とAndroid "L"テクニカルプレビュー(こちらはプレビュー1とします)の違いですが、まず、Smart Lockが実装されたことが挙げられます。Smart Lockは、従来のパターンやPINといったセキュリティロックの機能を、スマートウォッチなどのBluetoothデバイスで一時的にオフにする機能です。この機能が有効になると、登録したBluetoothデバイスと接続できる状態のときには、ロック画面が表示されず、すぐにアンロック状態になります。

登録できるのは、Bluetoothデバイス、NFCタグ、そして自分の顔です。自分の顔を使うのは、フェイスロックと同じですが、プレビュー2では、従来のフェイスロック機能はなくなり、ロック解除は、「スワイプ」、「パターン」、「PIN」、「パスワード」のみになっています。

Smart Lockは、デバイスに上記のロックのどれかをかけたのち、信頼できるデバイスなどを登録します。

NFCタグは、シール状のものが売られているため、これを車載フォルダなどにつけておくと、取り付けによって自動的にロックがかからないようになり、運転中の操作がラクになります。NFCタグの場合には、アンロック時に読み取り可能になっていればいいようです。また、利用中ずっと読み取り可能な状態にしておいても、問題はないようです。

Bluetoothデバイスは、Android Wareを登録したスマートフォンのほか、BluetoothのステレオヘッドホンなどでもSmart Lockが有効になったので、どんなデバイスでもよさそうです。ただし、アンロックする時点でデバイスとは接続状態になっていないとダメです。

また、複数のデバイスを登録することもできるので、たとえば、自宅ならPC、外出中はヘッドホン、車ならハンズフリーといった使い方も可能になるでしょう。

なお、顔を登録することで、同様のことが可能になります。認識は一瞬で行われるため、以前のフェイスロックのように待たされたり、瞬きを強要されることもありません。ただし、注意書きによれば「似た人でもアンロック」する可能性があるとか。どの程度までが許容範囲なのかは不明ですが、ある程度の精度があるなら、実用になる認識時間といえます。

Smart Lockは、デバイス(信頼できる端末)か自分の顔(トラステッドフェイス)を登録してロックを自動解除する

Smart Lockに登録可能なハードウェアは、BluetoothデバイスまたはNFCタグ

アンドロイド機背面のNFCリーダー部分にタグをかざしてNFCタグを登録する。自分でタグに名前を付けて区別が可能

顔の登録では、リスクがあることの警告がある

また、初期設定で行うグーグルアカウントの設定では、他のアンドロイドマシンとNFCでアカウント情報を転送する「タップ&ゴー」が搭載されました。これを使うと、それまで使っていたアカウント設定をそのまま新しいアンドロイド搭載機に設定でき、以前のようにいちいちGメールアドレスやパスワードを打ち込む必要がなくなりました。アプリなどは、以前と同様に初期化が終わった後にアカウント情報を元にダウンロードが行われますが、少なくとも、アカウント名などの入力をしなくて済むために初期設定が簡素化され、短時間で設定操作を完了できるようになっています。

タップ&ゴーは、NFCで、アカウント情報を転送して、初期設定を簡易化する機能

細かい点としては、設定項目が一部組み替えられているようです。たとえば、モバイルデータ通信のオンオフは、従来は、「設定」 ⇒ 「その他」 ⇒ 「モバイルネットワーク」にありましたが、プレビュー2では、ここに「データ通信を有効にする」という設定項目がなくなっています。しかし、「設定」 ⇒ 「データ使用量」のところにあった「モバイルデータ」のオンオフ機能は残っています。もともと、2カ所に同じ設定項目があったわけですが、歴史的には、モバイルネットワークで設定していた項目が、後から追加された「データ使用量」にも置かれていたわけです。このデータ使用量は、モバイルデータの上限の管理などにも使われる場所であり、こちらでオンオフするほうが適切だということなのでしょうか。

「モバイルネットワーク設定」には、モバイルデータ通信のオンオフの機能がなくなったが、「データ使用量」のページには残っている。階層的には浅い場所にあるため、オンオフの手間が簡単になったとは言える

Android Wareもアップデート

Android WareもAndroid 5.0のリリース直前のこのタイミングでアップデートされました。今アップデートが行われるのは、1つには、11月始めに製品とともに出荷されるAndroid 5.0との組み合わせによる問題に対応するためでしょう。

Googleのブログなどによると、Android Wareは、Android 5.0 Lolipopがベースになる予定なので、このあとさらにアップデートされる可能性があります。直前にAndroid 5.0に合わせてアップデートされたのは、スマートフォン用のAndroid 5.0と同時にAndroid Wareも5.0になるのではなく、少し時間がかかることが予定されているからではないかと思われます。つまり、まずは、スマートフォン、タブレット用のAndroid 5.0を完成させ、その上で、Android Wareの最終開発にとりかかる予定で、そのリリースはすぐにはできないという想定なのでしょう。

こちらは、それほど大きく変化していませんが、設定に「Bluetooth端末」という項目が増え、Android Ware側から接続先になるスマートフォンを選択できるようになっています。ただ、手元にあったNexus 5(プレビュー2)とNexus 4(Kitkat 4.4.4)で順次接続登録して試してみましたが、片方のBluetoothをオフにして接続できないようにしても、2つめのデバイスにはちゃんと接続してくれませんでした。接続を切り替えるためには、Android Ware側のリセットが必要でした。これだと、あまり実用性はなさそうな感じです。

たとえば、自宅などで充電中のスマートフォンからのBluetooth電波が到達できない場所に、アンドロイドのタブレットなどを置いて、接続先を切り替えて使うという使い方ができないからです。切り替えられるものの、毎回リセットが必要では、かなり面倒です。

スマートウオッチ側から簡単に切り替えができるなら、台所や居間はタブレット、自分の部屋や外出先ではスマートフォンといった使い分けができます。Bluetooth 4.0の電波は、見通し15メートルほどが範囲とされていますが、自宅などでは間に壁があると接続できなくなることがあります。そういう場所で、別のアンドロイドマシンと接続できるなら、それなりの使い方ができるでしょう。

筆者は、手が濡れているなどで、スマートフォンやタブレットを素手で直接操作しにくいことがある台所などでスマートウォッチを使っています。食材や調理法の検索、カップ麺やレトルト食品、ゆで卵などの調理時間を知らせるタイマー、台所でのメールやメッセージのチェックなどです。スマートウォッチは、音声で操作ができ、さらに基本的には防水なので、自宅の水回りなど手が濡れるような場所での使い勝手には、かなり便利なものがあります。音声で操作できたり、濡れた手でも操作できるのは、かなり便利です。このとき、スマートウォッチからの操作で画面が開くタブレットなどがそばにあれば、もっと便利に使えるし、電波が届かなくなることもありません。なので、普段はスマートフォンと組み合わせていても、自宅では、別のタブレットと組み合わせて使いたいのですが……。

というわけで、ちょっと残念なAndroid Wareのアップデートでしたが、ちゃんとした評価はAndroid 5.0ベースの「正式版」のリリースを待つことにしましょう。

Android Wareのバージョンは4.4W.2になった

ビルド番号はKNX01Q

Android Wareでは「設定」に「Bluetooth端末」という項目が追加されている

Bluetooth端末では、近隣の機器のスキャンや接続切り替えなどの機能がある

本連載は、2014年10月27日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。

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インデックス

連載目次
第118回 「Android N」プレビュー その2、Nの改良点
第117回 「Android N」プレビュー その1
第116回 「ZenWatch 2」の充電動作を調べて見た
第115回 Android Wearのバッテリ関連機能を検証してみる
第114回 Android Wearを再評価してみる
第113回 Nexus 7をカーナビにしてみた(その3)
第112回 Nexus 7をカーナビにしてみた(その2)
第111回 Nexus 7をカーナビにしてみた(その1)
第110回 画面キャプチャに便利なシステムUI調整ツール
第109回 2016年の注目はタブレット
第108回 「Nexus 5X」と「USB Type-C」
第107回 「Nexus 5X」と「LTE」
第106回 Android 6.0 ストアとアプリ
第105回 Nexus 5XでみるAndroid 6.0 Marshmallow
第104回 「Nexus 5X」を買いました
第103回 「Android Mのプレビュー3」を試す(前編)
第102回 Android M プレビュー2 (準備編)
第101回 「LG G Watch」のその後
第100回 「Zenefone 2」買いました
第99回 ちいさくてかわいい「LG L20」、イギリスで買ってみました
第98回 「Google日本語入力」アップデートで何が変わった?
第97回 どのアプリで開く? 「インテント」の仕組み
第96回 「OneNote」をつかってみた
第95回 ロリポップのマテリアルデザインをまとめてみる
第94回 「Email Markup」って何?
第93回 Outlookは来たけれど
第92回 Office Previewつかってみた
第91回 Google INBOXを使ってみる
第90回 AndroidWareの文字盤を自作する
第89回 Android Ware Lollipop版
第88回 「Nexus Player」を試す - ソフトウェア編
第87回 「Nexus Player」を試す - ハードウェア編
第86回 「Nexus 9」ファーストインプレッション - ソフトウェア(Lollipop)編
第85回 「Nexus 9」ファーストインプレッション - ハードウェア編
第84回 充電しながらUSBデバイスが使えるホストケーブル
第83回 Android "L"プレビューとAndroidWareがアップデート
第82回 ちょっとイケてる「Kyocera Hydro Vibe」
第81回 Android "L" バッテリ消費を監視する
第80回 アクセスポイントの基本を知る
第79回 OneDriveとGoogleドライブ
第78回 シェルのネットワーク関連コマンド
第77回 "L"の中身
第76回 アンドロイドウェア(Android Wear)は暫定バージョン?
第75回 LGのスマートウォッチ「G Watch」
第74回 "L"がくる
第73回 次は「Lollipop」か? その前にKitKatが4.4.3に
第72回 VPNを使う その3 「VPNをアンドロイドから使う」
第71回 「Chromecast」とは?
第70回 VPNを使う その2 「VPNサーバーを立てる」
第69回 VPNを使う その1 「基礎編」
第68回 アンドロイドのストレージ
第67回 「NVIDA SHIELD」のソフトウェア
第66回 「NVIDA SHIELD」のハードウェア
第65回 HDMIとMHL、SlimPort - ディスプレイ接続端子を整理してみる
第64回 「LG L1 II」を買ってみた
第63回 アンドロイドに音楽を「聞かせる」
第62回 住所録の秘密
第61回 Outlook.comをカレンダーに表示する
第60回 ソースコードはどこにある?
第59回 AndroidのBluetoothテザリングとWindows 8.1
第58回 NFCでマニュアル参照を簡単に
第57回 あらためて「ポータブルアクセスポイント」をきちんと試してみる
第56回 「ビルド番号」ってなに?
第55回 画面キャプチャをバッチファイルで実行
第54回 adbコマンドをちょっと解説
第53回 「android 4.4 "Kit Kat"」で画面を録画する
第52回 「android 4.4 "Kit Kat"」の内部的な変更点
第51回 「android 4.4 "Kit Kat"」を解説
第50回 「Nexus 5」を買ってみた
第49回 Google Keepはリマインダーだった
第48回 android 4.2からサポートされた「ワイヤレスディスプレイ」
第47回 画面キャプチャー
第46回 ヘッドセットの秘密
第45回 Nexus 7のLTEモデル
第44回 Nexus 4買いました。アメリカで。
第43回 ブートローダーとfastboot
第42回 Jelly Beans 4.3 Returns
第41回 Chromecast、テレビに刺さる
第40回 デバイスマネージャでAndroidの位置を確認
第39回 新しいNexus 7を買ってみた
第38回 Jelly Beans 4.3
第37回 レノボ「K900」を国際版化
第36回 NFCで遊ぶ
第35回 自宅で簡単ファイル転送
第34回 レノボ「K900」のカスタマイズされたJelly Beansを見てみる
第33回 CloverTrail+のスマートフォン、レノボ「K900」を買ってみた
第32回 AndroidがBluetooth 4.0を正式サポート
第31回 ARMの次世代CPU「Cortex-A12」
第30回 SDKをインストールしよう
第29回 ウィジェットを活用
第28回 QRコードでお手軽設定
第27回 XPERIA Tipoとロンドンアンロック屋事情
第26回 diNovoキーボードを使う
第25回 キーボードをカスタマイズする
第24回 Androidキーボードのしくみ
第23回 2段階認証を使おう
第22回 いらないプリインストールアプリを削除
第21回 64bitなんて必要なのかしら?
第20回 アメリカでアンドロイドの読書端末を買ってみた
第19回 Android 4.2の新機能
第18回 Android Beamって何だ?
第17回 NFCで何ができる?
第16回 Nexus 7をアメリカで買ってみた
第15回 AndroidをPCにつなぐと
第14回 Androidの記憶領域
第13回 Google Nowを使ってみる
第12回 AndroidのUSBホスト機能
第11回 デュアルSIMを使ってみる
第10回 キーボード一体縦型Androidマシン
第9回 Androidの言語設定
第8回 アンドロイドに道を聞く
第7回 Google Playはどうやってアプリの公開を制御しているのか?
第6回 「Acer A100」がICSになった
第5回 つながっているのはACアダプタ、それともUSB端子
第4回 スマートフォンを普通の電話としてつかってみた
第3回 Androidからの通知を表示可能な腕時計
第2回 アームを誤解してませんか?
第1回 MWCで見たAndroid

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