さて、こうしたプリペイドユーザーのために、安価な端末も販売されています。ためしに買ってみたのが、ソニーのXPERIA TIPOです。価格はSIM込みで109ユーロ。1年以上継続して使ったユーザーはもう少し安く購入できるようです。筆者は、先にSIMを買ってしまってそれから気がついたのですが、端末とSIMのセット販売なので、先にSIMを買ってしまうと無駄になってしまうのです。しかも、端末価格には10ユーロ分のプリペイド料金が含まれています。もし、これからスペインなどに行って、プリペイドのSIMを購入しようという場合、プリペイド向けの端末を一通り見て、気に入った端末があれば、SIMと一緒に買うようにしたほうがいいでしょう。

先週からMWCの取材でヨーロッパに来ています。先週はバルセロナ、今週はロンドンです。さて、こうした海外の取材では、いまやスマートフォンというよりも、各種の地図サービスなどが不可欠といまえす。かつては、旅行ガイド片手に駅などでいろいろと質問して目的地へ行く方法を探したものですが、いまでは、Google Mapsが電車やバスなどの公共交通機関を使った行き方を教えてくれます。

しかし、そのためには通信を行わねばなりませんが、日本の事業者のローミングは、どれも高価で、どうしようもないとき以外にはあまり使いたくありません。

日本では少数派ですが、海外では、プリペイド方式で利用するユーザーが多数派です。なので、スマートフォンでも利用できるプリペイドのSIMが簡単に入手可能です。

スペインでは「Vodafone」、イギリスでは「3」という事業者のSIMを選択しました。スペインのVodafoneのプリペイドは、16ユーロで通話、SMSが一定量ついてきて、さらにデータ通信も可能です。データ通信は、1ギガバイトまでは3Gの最大速度が可能ですが、それ以上になると速度制限がかかるものの、利用ができなくなるわけではありません。この下に、通話時間やSMS、データ通信の上限が違う2つのプランがあります。1週間程度の滞在でしたが、どうなるかわからないので一番制限の緩いタイプを選びましたが、実際に使った通信量などを見ると、ひとつ下のタイプでもよかったかもしれません。

さて、こうしたプリペイドユーザーのために、安価な端末も販売されています。ためしに買ってみたのが、ソニーのXPERIA TIPOです。価格はSIM込みで109ユーロ。1年以上継続して使ったユーザーはもう少し安く購入できるようです。筆者は、先にSIMを買ってしまってそれから気がついたのですが、端末とSIMのセット販売なので、先にSIMを買ってしまうと無駄になってしまうのです。しかも、端末価格には10ユーロ分のプリペイド料金が含まれています。もし、これからスペインなどに行って、プリペイドのSIMを購入しようという場合、プリペイド向けの端末を一通り見て、気に入った端末があれば、SIMと一緒に買うようにしたほうがいいでしょう。

購入したXPERIA Tipo。Vodafon.ES(ボーダフォンスペイン)のSIMロックがかかっているが、Vodafineロゴなどは特になく、販売していた箱も、中にTipoの箱がそのままとSIMカードキットが入っていただけのものだった

ロンドンでアンロック屋に行ってみた

XPERA TIPOは、GSMと3G(HSDPA)対応で、ST21iという機種です。XPERIA TIPOには、3Gの周波数が違うST21iとST21aがあり、同じ筐体でSIMが2枚入るST22こと「Tipo Dual」があります。

Android 4.0(入っていたのは4.0.4)ことIce Cream Sandwitchで、CPUは800MHzのMSM7225AA(Qualcomm)です。コアは、Cortex-A5なので、最近のデバイスと比較すると少し劣りますが、昨年ぐらいの低価格スマートフォンが採用していたARM 11よりは同クロックでも高速です。なお、メインメモリは512メガバイトです。

液晶は、3.2インチで、320×480ドットです。少し小さいのですが、その分本体も小さく扱いやすいところにメリットを感じます。

本体の内蔵ストレージは2.5ギガバイト程度ですが、MicroSDカードが利用できます。

カタログスペック的には、これといった特徴がないのですが、実際に使ってみると、筆者は意外に気に入りました。まず、軽く小さい点です。重さは100グラム以下、縦横が10センチ×6センチなので、ネックストラップで首からかけても重さが気になりません(ストラップホールがあります)。厚さは13ミリと少しあるのですが、背面側の四辺にはカーブがつけてあって、手になじみやすい形です。

Vodafoneで売っているTipoには色は赤しかないのですが、つや消しで合成樹脂製の表面はべたべたしないような加工がしててあります。カメラは、3.2メガピクセルで背面のみですが、割といい感じで写ります。

残念なから、SIMロックなので、スペインのVodafone以外では利用できません。そこで、ロンドンに来たついでに、何カ所か携帯電話のアンロックを行う店を回ってみることにしました。この手の店は、ロンドン市内では、チャイナタウン(Piccadilly Circus駅かLeicester Square駅)か、トッテナムコート(Tottenham Court Road駅)のあたりに集まっています。だいたいは、端末やケースなどを並べて、Unlockと書いた看板があります。中には、一見土産物屋にしか見えないところもあります。

事前にインターネットで調べて40~45ユーロぐらいだったので、それ以下ならやってもいいかとアタリはつけておきました。

しかし、どこも35ポンド(ユーロが日本円換算120円、ポンドが140円ぐらいなのでポンド表記のほうが小さくなる)で2~3日という返事。中にはもっと高いところもありました。どうも、インターネットのアンロックサービスを利用していて、自分たちでアンロックするのではないようです。事前に調べたアンロックサービスと条件が同じで、どこもその価格を下回ることがありません。

何軒かは、うちではできないが、向かいの××ならできるかもと他の店を教えてくれたのですが、結局できませんでした。しかし、こういうときに他の店を推薦するというのも不思議な感じがしますが、基本的に親切なのでしょう。経営が同じ店同士ならわからなくもありませんが、店舗を見た感じ、そうでもないようです。ただ、Tottenhamの店員さんの多くは、アラブ系な感じだったし、チャイナタウンはもちろん中国系だったので、近所なので助け合うコミュニティなのかもしれません。

このTipoは、昨年の秋に登場した機種なので、発売からあまり時間がたっておらず、アンロックできるところも2カ所程度しかなく、まだまだ高価な感じがします。109ユーロで買った端末に40ユーロもかけるのはちょっとばからしい感じもします。

ロンドンには、数年行ってなかったのと、オリンピックで大きく変わった感じがありました。それよりも、アンロック屋がみんなインターネットのアンロックサービスの下請けみたいになっているのにはちょっとびっくりしました。

スペインには、毎年行ってることだし、アンロックはあきらめて来年、またVodafoneのSIMを買ったら使うかと、あきらめることにしました。

編集部注: 本稿は、2013年3月8日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。