【コラム】

塩田紳二のアンドロイドなう

18 Android Beamって何だ?

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Android 4.0から装備された機能の1つにアンドロイド・ビーム(Android Beam)があります。ヒーローの必殺技みたいな名前ですが、前回紹介したNFCを使うもので、2つのNFC対応アンドロイドマシンの間でデータを交換するためのものです。他の方法と違い、対応アプリケーションで転送対象などを選択している状態で、2つのデバイスのNFCアンテナ部分(機器背面などに必ずマークがある)を向かい合わせるだけで転送が完了します。

設定の「無線とネットワーク」→「その他」に「Androidビーム」の項目があれば、アンドロイド・ビームは利用可能

他の方法、たとえば、無線LANやWifiダイレクト、Bleutoothなどでは、相手が信頼できる場合にのみ相手機器を登録し、実際の転送処理などは、信頼済みの相手に対して(無線LANの場合には、信頼できるアクセスポイントに接続しているネットワーク機器)に対してのみ通信を行います。

このため、通信に先立って、ペアリングのような作業を行う必要があります。自分が所有している機器や自宅のアクセスポイントなどと利用する場合には問題はないのですが、たとえば、他人にファイルを送るといった場合には、少し面倒な作業です。

こうした登録が必要なのは、無線では、有線のように通信可能な相手を特定できないため、隠れている信頼できない端末などと間違って接続してしまい、セキュリティ上の問題を起こさないようにしてあるのです。

しかし、NFCの場合、前回解説したように、近距離の通信しかできないため、実質、向かい合わせた相手以外と間違って通信してしまう可能性もなければ、通信を盗聴されたり、成りすましが行われる可能性もありません。このため、他の通信方式のようにあらかじめ相手を登録しておくという必要がないわけです。

アンドロイド・ビームの場合、こうした手軽さを生かすために、ユーザーインタフェースにも工夫が必要です。つまり、他の通信方式のように、転送するデータを選択して、相手を指定してといった面倒なやり方では、せっかくのNFCの簡便さが損なわれてしまいます。

たとえば、写真を表示するギャラリーは、写真を選択して表示しているときに、他のNFC対応アンドロイドと向かい合わせにするだけで、転送の確認状態となり、画像をタップするだけで転送が開始されます。

ギャラリーで画像を選択した状態で、アンドロイド機のNFCアンテナ部分を向かい合わせるとアンドロイドビームによる転送待ち状態となる

また、受信はシステム側が行うため、特に転送されるデータに関連したアプリケーションを起動する必要も、受信を確認する必要もありません。

送信側、受信側とも通知領域に転送中であるとの項目が表示され、これを使えば、転送を途中で中断することもできます。

転送したデータは、ダウンロードフォルダにデータが入り、写真ならば、ギャラリーを開けば、画像を表示できるようになります。転送中の通知が転送終了の通知となり、これをタップすることで、受信画像を見ることも可能です。

受信側では操作は必要なく、アンドロイドビームで転送された画像はbeamフォルダに入り、ギャラリーからアクセス可能になる

「連絡先」アプリでは、転送したい連絡先を表示させているときに、アンドロイド同士を向かい合わせれば、送信確認が行われ、受信側では、自動的に「連絡先」アプリが起動します。アンドロイドビームには、受信側でアプリケーションを起動を要求する機能があり、このように特定のアプリケーションで受信データを扱わせることもできます。

4.1で改良されたアンドロイド・ビーム

Android 4.0から装備されたアンドロイドビームですが、4.0と4.1では、動作が少し違っています。NFCの欠点は、400kbps程度と転送速度がはやくないことです。もともと小容量のデータの転送しか想定していないことに加え、利用する周波数も13.56MHzとあまり高くありません。無線を使う通信では、送信周波数(搬送波周波数)が高いほど高速な転送が可能になるという原理があります。このため、逆に周波数が低いと高速な転送ができないのです。

400kbpsでは、1メガバイトの画像を送るのに20秒以上かかってしまいます。これでは、スマートフォン用といえども実用性が低くなってしまいます。アドレス帳データやURLなどの数10キロバイト程度のデータであれば、実用的な時間なのですが、画像データなどのやりとりには向きません。

そこで、Android 4.1では、データの転送にBluetoothを併用するようになっています。NFCの標準化を進めるNFC Forumと、Bluetoothの仕様策定団体であるBluetooth SIGは、共同で、「Bluetooth Secure Simple Pairing Using NFC」という仕様を作りました(BTSSPなどと呼ばれます)。これは、NFCとBluetoothを併用するためのものです。この仕様を利用すると、以下のようなことが可能になります。

  1. デバイスの選択
  2. セキュリティの高い接続(通信)
  3. アプリケーションの起動

ペアリングの動作そのものは定義せず、そのために必要な機能のみを定義しています。このため、実際の動作は、実装にまかされています。アンドロイドの場合、こうした仕組みを使って、ファイル転送時に大きなファイルを直接NFCでは送らずに、Bluetooth側に転送を任せてしまいます。こうした動作を「Handover」といい、そのための仕様(NFC Connection Handover)も定められています。

NFCで転送が開始されるものの、実際の転送はBluetoothで行われるため、アンドロイドマシン同士をずっと向かい合わせておく必要はありません。ただし、現在の実装では、Bluetooth側で転送が始まったことを表示してはくれないので、機器同士を離すときには、転送を開始してちょっとまってから行う必要があるようです。タイミングが悪いとときどき転送が失敗することがあります。

Bluetoothの転送範囲は10メートル程度なので、少しぐらいは離しても問題はありません。ただ、電波なので、なにかに遮られる可能性はあり、転送が終了するまではカバンなどにしまわないほうがいいでしょう。

カメラで撮った写真をその場で相手に渡すなんてときにアンドロイドビームはすごく便利です。Android 4.0以上でNFC対応というとまだ、それほど多くないとおもわれがちですが、今年出た「おサイフ」機能付きの機種は、ほとんどがNFC機能を持っているので、日本国内に限っていえば、それほど少数派というわけでもありません。設定の「無線とネットワーク」→「その他」にAndroidビームの項目があれば、利用可能です。

編集部注: 本稿は、2012年10月22日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。

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インデックス

連載目次
第125回 大陸でウワサのスマホ、ソフトウェア編
第124回 大陸でウワサのスマホ、デュアルSIM編
第123回 大陸でウワサのスマホを買ってみた
第122回 Androidでコルタナを使う
第121回 Android N、「通知」の表示形式が変更に
第120回 「Android N」の新プレビュー版、Developer Preview 4が登場
第119回 「Android N」プレビュー その3
第118回 「Android N」プレビュー その2、Nの改良点
第117回 「Android N」プレビュー その1
第116回 「ZenWatch 2」の充電動作を調べて見た
第115回 Android Wearのバッテリ関連機能を検証してみる
第114回 Android Wearを再評価してみる
第113回 Nexus 7をカーナビにしてみた(その3)
第112回 Nexus 7をカーナビにしてみた(その2)
第111回 Nexus 7をカーナビにしてみた(その1)
第110回 画面キャプチャに便利なシステムUI調整ツール
第109回 2016年の注目はタブレット
第108回 「Nexus 5X」と「USB Type-C」
第107回 「Nexus 5X」と「LTE」
第106回 Android 6.0 ストアとアプリ
第105回 Nexus 5XでみるAndroid 6.0 Marshmallow
第104回 「Nexus 5X」を買いました
第103回 「Android Mのプレビュー3」を試す(前編)
第102回 Android M プレビュー2 (準備編)
第101回 「LG G Watch」のその後
第100回 「Zenefone 2」買いました
第99回 ちいさくてかわいい「LG L20」、イギリスで買ってみました
第98回 「Google日本語入力」アップデートで何が変わった?
第97回 どのアプリで開く? 「インテント」の仕組み
第96回 「OneNote」をつかってみた
第95回 ロリポップのマテリアルデザインをまとめてみる
第94回 「Email Markup」って何?
第93回 Outlookは来たけれど
第92回 Office Previewつかってみた
第91回 Google INBOXを使ってみる
第90回 AndroidWareの文字盤を自作する
第89回 Android Ware Lollipop版
第88回 「Nexus Player」を試す - ソフトウェア編
第87回 「Nexus Player」を試す - ハードウェア編
第86回 「Nexus 9」ファーストインプレッション - ソフトウェア(Lollipop)編
第85回 「Nexus 9」ファーストインプレッション - ハードウェア編
第84回 充電しながらUSBデバイスが使えるホストケーブル
第83回 Android "L"プレビューとAndroidWareがアップデート
第82回 ちょっとイケてる「Kyocera Hydro Vibe」
第81回 Android "L" バッテリ消費を監視する
第80回 アクセスポイントの基本を知る
第79回 OneDriveとGoogleドライブ
第78回 シェルのネットワーク関連コマンド
第77回 "L"の中身
第76回 アンドロイドウェア(Android Wear)は暫定バージョン?
第75回 LGのスマートウォッチ「G Watch」
第74回 "L"がくる
第73回 次は「Lollipop」か? その前にKitKatが4.4.3に
第72回 VPNを使う その3 「VPNをアンドロイドから使う」
第71回 「Chromecast」とは?
第70回 VPNを使う その2 「VPNサーバーを立てる」
第69回 VPNを使う その1 「基礎編」
第68回 アンドロイドのストレージ
第67回 「NVIDA SHIELD」のソフトウェア
第66回 「NVIDA SHIELD」のハードウェア
第65回 HDMIとMHL、SlimPort - ディスプレイ接続端子を整理してみる
第64回 「LG L1 II」を買ってみた
第63回 アンドロイドに音楽を「聞かせる」
第62回 住所録の秘密
第61回 Outlook.comをカレンダーに表示する
第60回 ソースコードはどこにある?
第59回 AndroidのBluetoothテザリングとWindows 8.1
第58回 NFCでマニュアル参照を簡単に
第57回 あらためて「ポータブルアクセスポイント」をきちんと試してみる
第56回 「ビルド番号」ってなに?
第55回 画面キャプチャをバッチファイルで実行
第54回 adbコマンドをちょっと解説
第53回 「android 4.4 "Kit Kat"」で画面を録画する
第52回 「android 4.4 "Kit Kat"」の内部的な変更点
第51回 「android 4.4 "Kit Kat"」を解説
第50回 「Nexus 5」を買ってみた
第49回 Google Keepはリマインダーだった
第48回 android 4.2からサポートされた「ワイヤレスディスプレイ」
第47回 画面キャプチャー
第46回 ヘッドセットの秘密
第45回 Nexus 7のLTEモデル
第44回 Nexus 4買いました。アメリカで。
第43回 ブートローダーとfastboot
第42回 Jelly Beans 4.3 Returns
第41回 Chromecast、テレビに刺さる
第40回 デバイスマネージャでAndroidの位置を確認
第39回 新しいNexus 7を買ってみた
第38回 Jelly Beans 4.3
第37回 レノボ「K900」を国際版化
第36回 NFCで遊ぶ
第35回 自宅で簡単ファイル転送
第34回 レノボ「K900」のカスタマイズされたJelly Beansを見てみる
第33回 CloverTrail+のスマートフォン、レノボ「K900」を買ってみた
第32回 AndroidがBluetooth 4.0を正式サポート
第31回 ARMの次世代CPU「Cortex-A12」
第30回 SDKをインストールしよう
第29回 ウィジェットを活用
第28回 QRコードでお手軽設定
第27回 XPERIA Tipoとロンドンアンロック屋事情
第26回 diNovoキーボードを使う
第25回 キーボードをカスタマイズする
第24回 Androidキーボードのしくみ
第23回 2段階認証を使おう
第22回 いらないプリインストールアプリを削除
第21回 64bitなんて必要なのかしら?
第20回 アメリカでアンドロイドの読書端末を買ってみた
第19回 Android 4.2の新機能
第18回 Android Beamって何だ?
第17回 NFCで何ができる?
第16回 Nexus 7をアメリカで買ってみた
第15回 AndroidをPCにつなぐと
第14回 Androidの記憶領域
第13回 Google Nowを使ってみる
第12回 AndroidのUSBホスト機能
第11回 デュアルSIMを使ってみる
第10回 キーボード一体縦型Androidマシン
第9回 Androidの言語設定
第8回 アンドロイドに道を聞く
第7回 Google Playはどうやってアプリの公開を制御しているのか?
第6回 「Acer A100」がICSになった
第5回 つながっているのはACアダプタ、それともUSB端子
第4回 スマートフォンを普通の電話としてつかってみた
第3回 Androidからの通知を表示可能な腕時計
第2回 アームを誤解してませんか?
第1回 MWCで見たAndroid

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