前回、前々回とご紹介したブライス・キャニオン国立公園はいかがでしたか? ラスベガスからもそんなに遠くないですし、ぜひ一度足を運んでみてください。グランド・サークルエリアの最後となる今回は、キャピトル・リーフ国立公園とゴブリン・バレー州立公園を紹介します。

簡単観光! キャピトル・リーフ国立公園

キャピトル・リーフ国立公園は、前回紹介したブライス・キャニオン国立公園から、車で約3時間、第10回第11回で紹介したアーチーズ国立公園から、約3時間のところに位置している。南北に長い公園だが、一般的な観光スポットはメイン道路UT24沿いに集中しているので、特にアドベンチャーを求めない限り、数時間で観光は終了する。

入り口の看板はあるが、特に公園ゲートはなく入園も無料。西側からビューポイントを見ていくと、まずは、グースネック・ポイントがある。細い川が蛇行する様子を見ることができるポイントだが、私たちが行った2007年3月には川の水がなく、ちょっぴりがっかりした。同じ名前のついた、モニュメントバレー近くのグースネック州立公園の方が、ダイナミックで見ごたえがある。また、グースネック・ポイントと同じパーキングから行けるところに、夕日の当たる岩が美しいサンセット・ポイントもあるので、このエリアには夕方の時間に来るといいだろう。

キャピトル・リーフ国立公園、東側の入り口です。ゲートはなく看板だけです

次は、ビジターセンター。公園の入園が無料の割に、ビジターセンターはしっかりとしていて、キャピトル・リーフ国立公園の成り立ちを分かりやすく説明したビデオを上映するシアターや展示物もある。レンジャー(自然保護官)が常駐しているので、もし公園内でハイキングをしたり、未舗装の道路をドライブしたりする予定のある人は、ここでいろいろ尋ねてから行くといいだろう。また、ビジターセンター前に堂々とそびえたつ「The Castle」と呼ばれる岩も必見。「The Castle(砦)」の名前にふさわしく、大きな切り立った岩で、キャピトル・リー フのダイナミック感を間近で感じることができる。

ビジターセンターの前にそびえる「The Castle」という名の岩です

しかし、なんと言ってもキャピトル・リーフ一番の見所は、フルータ。フルータとは、19世紀から20世紀前半の家や学校、果樹園が残っているエリアのことで、ビジターセンターから東に数分運転すると現れる。現在、そのエリアに住んでいる人はいないが、果樹園に植えられている2,600本の木は、国立公園により管理されていて、果樹園のゲートが開いていれば、誰もが自由にフルーツを採ることができる。収穫はなんと無料。収穫できるフルーツの種類は、6~7月がチェリーとアプリコット、8~9月が桃と梨、9~10月がりんごだという(公式サイトより)。私たちが行った3月下旬、木には雪の花が咲いていた。それも綺麗だったが、次回は、果物の収穫時期に行きたいと思っている。

3月なのに、果樹園はこんなに真っ白でした

もし時間がある人は、ビジターセンター付近から、南に伸びている片道約10マイルの道、シーニック・ドライブも見てみるといいだろう。狭い道だが、地層や奇岩を見ることができる。また、キャピトル・リーフには未舗装の道も多く、アドベンチャーを楽しみたい人は、そちらの道も挑戦してみるといいだろう。

夜、岩が遊んでいるのではと思わせる、ゴブリン・バレー州立公園

ゴブリン・バレー州立公園は、キャピトル・リーフ国立公園から約1時間、アーチーズ国立公園から約2時間の場所に位置する州立公園。見学には1時間もかからないので、移動の途中にちょっと立ち寄るのがおススメだ。

ゴブリン・バレーの看板です

不思議な形をした岩がたくさんあります

ゴブリン(Goblin)とは、日本語で「小鬼」という意味。この場所に来て、頭でっかちなキノコのような奇岩をみると、そのような名前がつけられた理由がすごく良く分かる。このゴブリン・バレーの周りに町はなく、近くのUT24からも約12マイル離れている。そんな人間を寄せ付けない場所にあるので、ここの展望台から岩々を見ていると、岩たちが夜、勝手に動き出して遊んでいるんだろうなぁ、なんてことも考えてしまう。

写真だと小さい岩がゴロゴロ転がっているように見えるのだが、実際の岩はかなり大きい。近くに行くと、私たちの身長よりはるかに高くて圧倒されてしまう。決められたトレイルもなく、かくれんぼ気分で中を自由に歩くことができる。歩いていると童心に返り、すごくワクワクする。

中はまるで迷路のよう

もしグランドサークルを車で回ることがあったら、アーチーズとブライス・キャニオンの間のこの2つの公園もお忘れなく訪ねてみてほしい。

さて、今回でラスベガスを拠点としたグランドサークルの旅は終わりです。夏休みでラスベガスに行く方も多いと思いますので、次回は一旦ラスベガスに戻って、ラスベガスのショッピング・スポットのご紹介をします。お楽しみに~。

ちょうど写真の中央に人が歩いているのが分かりますか? 岩はとても巨大です

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:ガソリンはこまめに給油するほうが賢い
実際、私たちはこのコラムとは、逆回りで、アーチーズ国立公園を出発して、ゴブリン・バレー州立公園、キャピトル・リーフ国立公園を経て、ブライス・キャニオン国立公園までドライブした。その時、一番心配したのがガソリン。もちろん、アーチーズを出る際、モアブの町で満タンにしていた。地図を見ても、地名が書かれている町のような場所がいくつかあるので、どこかにガソリンスタンドがあるだろうと思って運転していたのだが、そのうち地図上に地名があっても、家が数軒しかない集落が多いのに気がついた。なので、町といっても、ガソリンスタンドなんてない所も多く、必要な際にガソリンスタンドがなかなか見つからなかった。みなさんもこのルートを運転する際には、ガソリンが少々残っていてもスタンドがあったら、止まって、少しでも給油しておくことをおススメする。ちなみに、このルート上のガソリンは法外な値段だったが。
アクセス情報
最寄りの国際空港:ソルトレイクシティ国際空港。日本からの直行便はないのでアメリカ西海岸乗り継ぎで約1時間半。同空港からキャピタル・リーフ国立公園やゴブリン・バレー州立公園までは、レンタカーで行くのが一般的。所要時間は、両方とも約4時間。キャピトル・リーフ国立公園へ車でアクセスする場合:ソルトレイクシティから、I-15 South→I-70 East→Salinaの手前でUT24へ入ると、キャピタル・リーフに到着する。ゴブリン・バレー州立公園へ車でアクセスする場合:ソルトレイクシティから、I-15 South→I-70 East→Green Riverの手前でUT24へ入り、約30マイル行ったところにある、「Goblin Valley State Park」の看板で右折。そこから12マイルで公園に到着する。
※I-70とUT24は2箇所で合流する。ソルトレイクシティ方面(西側)からアクセ スすると、キャピトル・リーフに行く場合は、最初の交差でUT24に入り、ゴブリン・バレーに行く場合は、2回目の交差でUT24に入る方がいい。ちなみに、1回目で入ればキャピトル・リーフ国立公園内を抜けて、ゴブリン・バレーまで行くことができるし、2回目で入れば、ゴブリン・バレーに立ち寄って、キャピトル・リーフに行くことができる。
周辺観光地
ブライス・キャニオン国立公園、アーチーズ国立公園、キャニオンランズ国立公園、デッド・ホース・ポイント州立公園