皆さん、こんにちは。暑くなってきましたね。そろそろ夏休みの旅行計画を立てる頃ではないでしょうか? 今まで第1回目のラスベガスから出発し、グランドサークルを反時計回りに紹介してきましたが、夏休みも迫ってきたので、ラスベガスから気軽に行けるスポットを紹介しようと思い、今回からは時計回りに紹介していきます。その第1回目は、ラスベガスから車で約3時間のところにあるザイオン国立公園です。

時間がない人はシーニック・ドライブを行こう!

ラスベガスから車で北に約3時間のところに、ザイオン国立公園はある。ラスベガスからのツアーといえばグランド・キャニオン国立公園が定番だが、ザイオンはグランド・キャニオンよりもはるかに近いため、これまでアメリカでの運転経験がなくても、レンタカーを借りて出かけていく人が多い。ザイオン国立公園は、緑が豊かで川もあり、乾いた大地ばかりのグランドサークル内にある唯一のオアシスという感じの場所である。

ザイオンの最寄りはスプリングデールという町。かわいいロッジやホテル、モーテルが立ち並び、まさしくザイオンビジターのための町である。ザイオン内のザイオン・キャニオン・シーニック・ドライブという道は4月~10月の間、一般車の乗り入れが禁止されている。園内まで車で入っても、園内の入り口付近にあるビジターセンター近くのパーキング、またはミュージアム近くのパーキングに駐車し、無料シャトルバスでシーニック・ドライブを回らなければいけない。スプリングデールに宿泊する場合は、そこから出発する無料シャトルを利用し、ビジターセンターまでアクセスするといいだろう。

最寄りのスプリングデールは、こんな町

ザイオン滞在が数時間から1日程度なら、無料シャトルに乗ってシーニック・ドライブの終点となるテンプル・オブ・シナワバまで行くといいだろう。バスの中では、ドライバーがビューポイントの解説をしてくれるので、ザイオンの概要を掴むことができる。シーニック・ドライブは、バージン川という小川に沿って走っているので、テンプル・オブ・シナワバでシャトルを降りたら、そのバージン川沿いの遊歩道または小川の中を歩きながら、来た道を戻るといいだろう。私たちも小川の中を歩きながら、来た道をしばらく戻ろうと歩いていたのだが、途中で雨が降り出したため、15分ほど歩いた後でシャトルバスに乗ることになった。しかし、これ以上歩くとバージン川とシーニック・ドライブの高低差がだんだん大きくなり、小川の中を歩くことも困難になるので、この辺でやめて良かったのかもしれない。

シーニック・ドライブのちょうど中間あたりには、公園内唯一の宿泊施設ザイオン・ロッジがあり、カフェテリアやダイニングルームなどもある。この周辺はバージン川との距離が近く、気軽に川で遊ぶことができる。またロッジを出て川を渡り、少し歩くとロウアー・エメラルド・プールと呼ばれる池がある。実際はエメラルドではないが、ちょっとしたハイキング感覚で行けるのでオススメ。そこからさらに歩くと、ミドル・エメラルド・プール、アッパー・エメラルド・プールもある。

ザイオンの入り口の看板。国立公園には必ず看板があるので、 写真を撮るのを忘れずに

ビジターセンターと山々。 ザイオンにはこの様な切り立った岩がたくさんあります

ザイオンはロッククライミング&トレッキングのメッカ

ザイオンは、アメリカではヨセミテ国立公園と一二を争うほどのロッククライミングのメッカ。ロッククライミングを趣味にしている人とザイオンの話をしたら、すぐに「一度登りたいんですよね~」なんて言葉が返ってくる。シーニック・ドライブからも、岩のはるか上の方に、たくさんのクライマー達を見ることができ、「何日かかって、あそこまで上ったんだろう?」「寝る時はどうするんだろう?」なんて、考えてしまう。

実はこのザイオン国立公園は、シーニック・ドライブを見てまわるだけでは、"堪能した"とは言えない。ここには、数多くのトレイルがあり、それを歩くこと=ザイオンを堪能することだと言われている。私たちも行く前に、「ザイオンは1週間いても飽きないよ」なんて言われていて、かなり期待して行った。しかし1回目の訪問ではシーニック・ドライブを回って「1日で十分だったな」と思ってしまった。その後「ザイオンは歩かなきゃ、ぜんぜん良さが分からないよ」と言われ、「なるほど。そうだったのかぁ」と納得。

ザイオンの中で一番有名な場所が、"ナローズ"と呼ばれる川の中を歩くトレイル。前述のテンプル・オブ・シナワバからは、リバーサイド・ウォークという舗装されたトレイルを約1.6km歩き、そこからは道らしい道はなく、バージン川の中を進んで行く。ここがナローズの始まりで、"Narrow"とは英語で"狭い"を意味する単語で、この辺は、川の両側から壁が迫って来ていて、川幅が細いことからこの名前が付けられた。ナローズを歩く時に、気をつけなければ行けないのが、服装と水の量。服はもちろん、Tシャツや短パンなどの濡れてもいい格好で。雨が降ったりするとすぐに水嵩が増すので、雨の後はできるだけ入らないようにした方が良いし、雨が降り出したらすぐに引き返すことをオススメする。

"ナローズ"だけではなく、 ドライブルートでもこんな狭い道があり、冒険気分になります

東口にもご注目

ラスベガスから来た場合、通常は南口から園内に入るのだが、ザイオン国立公園からブライス・キャニオン国立公園やアンテロープ・キャニオンに行く人に必ず立ち寄って欲しいのが、東口のところにあるチェッカーボード・メサ。名前のごとく、碁盤の目状に筋の入った岩のことで、広大なザイオン国立公園の中でも東口周辺でしか見ることができず、大変面白い。ラスベガスからツアーで来てしまうと、シーニック・ドライブのみの見学がほとんどだが、車がある人は、こちらまで来るといいだろう。

次回は、私たち2人のお気に入りランキング1位の国立公園、ブライス・キャニオン国立公園をご紹介します。お楽しみに~。

南口から東口へ向かう途中にあるトンネル

東口近くにあるチェッカーボードメサ

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:見てみたい? コロブアーチ
コロブアーチは、前回ご紹介したアーチーズ国立公園のランドスケープ・アーチに次ぐ、世界2位の長さのアーチである。ザイオン国立公園の中にあるのだが、上でご紹介したシーニックドライブなどのエリアからはアクセスできず、一旦I-15まで戻ってから北上して向かう。コロブアーチのあるエリアはコロブセクションと呼ばれていて、実はあまり見所がない。しかも、コロブアーチには、徒歩でしかアクセスできず、トレイルの出発点からアーチまでは往復約22km。つまり、往復すると8時間から10時間かかってしまうので、自分の体力と相談して訪れることをオススメする。
アクセス情報
最寄りの国際空港:ラスベガスマッキャラン国際空港または、フェニックス国際空港。いずれも日本からの直行便はないので、アメリカ西海岸で乗り継ぎ後約1時間。車の場合:ラスベガスからはI-15North→UT9で約3時間。 ラスベガスからの日帰りツアーあり。
周辺観光地
グランド・キャニオン国立公園、アンテロープ・キャニオン&レイク・パウエル、バレー・オブ・ファイヤー州立公園、ブライス・キャニオン国立公園など