こんにちは。暑くなってきましたね。アメリカはもう夏休み。かなり暑いので、国立公園を旅される方は、お体に気をつけてくださいね。最近、写真展を開いたのですが、私たちの旅や生き方の話を聞いて、今日からセドナ、グランド・キャニオン、モニュメント・バレーの旅に出かけた方がいます。その方たちの人生、少しでもいい影響を与えられたことをすごくうれしく思いました。さて、今回のコラムはかなりマイナーですが、とても素敵な場所をご紹介します。皆さんの旅の参考になさってください。

大自然を体感できるキャニオン・デ・シェリー国定公園

キャニオン・デ・シェリー国定公園は、モニュメント・バレーの南東約3時間のところに位置し、前回前々回のコラムのモニュメント・バレーやその周辺の見所と同じ、ナバホ・ネイションの中にある。最寄りの町はチンリー。ナバホ・ネイションの中では結構大きな町のようで、アメリカ大手ハンバーガーチェーンのショップを見かけた(ナバホ・ネイションの中では、あまり大手ハンバーガーチェーンは見かけなかった)。

キャニオン・デ・シェリー国定公園は、2つのパートに分かれており、北側がノース・リム、南側がサウス・リムと呼ばれている。キャニオン・デ・シェリーで一番有名なスパイダー・ロックがサウス・リムのドライブルートの終点にあるので、観光のメインはサウス・リム。チンリーの町から入ってすぐのところに、ビジターセンターとサンダーバードロッジ、キャンプ場がある。

本来なら、国立公園(National Park)や国定公園(National Monument)に指定されているエリアに人が住んでいることはないのだが、ここは昔からネイティブ・アメリカンの聖地として崇められていたところなので、国定公園に指定されている今でも、ナバホの人々が住んでいる。スーパーなどはないものの、普通の家が建っていたり、牧場があったり、観光客相手のショップの看板が出ていたりするのが、すごくおもしろい。

牛や鶏が道路わきで寝ていて、車が通っても無視。さらに、羊が道を横切る場面にも遭遇した。それだけでも驚きなのに、なんと、犬が羊をうまく追って車の前から羊達を遠ざけた。犬は私たちの方をちらちら見て、"来るなよ"というメッセージを送りながら。私たちはその様子に、「犬は本当に羊を追うんだ!」と大騒ぎ。

羊Crossing。犬がこっちを見てにらんでいます

そんな風景を見ながら約30分でサウス・リムの終点、スパイダー・ロックに到着。約244mの岩を私たちは上から見下ろす。一瞬でここが聖地として昔から人々に崇められてきた場所だと理解できるほど、神聖という言葉がぴったりであり、その景色や空気などに引き込まれてしまった。ガイドブックにもあまり取り上げられていないスポットなので、大したことないのかと思いきや、なんだか地球の宝物を見つけた気分になった。

スパイダー・ロック。これぞ聖地。なんとも不思議な景色

谷底には、家があり、車が通っているのも見えた。毎日催行されているツアーに参加すると、谷の中に入ることができ、スパイダー・ロックを下から見上げることができる。上から見るだけでもかなり感動したのに、下から見ると、ここにずっと住んでいるネイティブ・アメリカンの魂まで感じることができるのではないだろうかと思ってしまった。

時間があればホワイトハウス遺跡へ下りてみよう

キャニオン・デ・シェイには、いくつかの遺跡が残っているが、ほとんどのものが対岸から遠目でしか見ることができない。しかし、ホワイトハウスと呼ばれる遺跡へは、徒歩でアクセスできる。といっても谷底にあるためトレイルを約30分は下らなければいけない。でも、第5回目のコラムで紹介したグランド・キャニオンのトレイルように谷底まで下りるのに何時間もかかるという訳ではないので、気軽に下りてみるといいだろう。私たちは、グランド・キャニオンのサウス・カイバブ・トレイルを歩いた1週間後ぐらいにこのトレイルを歩いたが、はるかに楽だと感じた。また、目的地を上から確認してから下りることができるというのも、楽と感じた理由の一つかもしれない。

トレイルは、最初はしばらくスイッチバックで下りて行く。思ったよりどんどん標高がさがって行き、風景が変わっていく。最初は岩ばかりだが、次第に空がどんどん遠くなり、緑がどんどん増えていく。奇妙にゆがんだ地層を横に見ると、地球が歩んできた歴史をつい考えてしまう。途中に石でできたベンチが置かれているが、周りと一体化していて、すぐ近くまで行かないとそれが人工的に作られたベンチだと分からない。

たった30分のトレイルなのに、表情がどんどん変わるのが面白い

最後に20mほどのトンネルを抜けると、谷底に到着。間近に迫る岩壁を見上げてみたが、私たちがスタートした場所は全く見えず、本当に自分の足で下ってきたのかと驚いた。谷底についてすぐ民家と牧場があった。今まで、数多くの国立公園を巡ってきた私たちだが、こんな光景は見たことがない。自然との共存。それを見たときに、人は昔からこうやって自然に守られながら生きてきたのだろうと感じた。

遺跡はそこからさらに5分ほど歩いたところにある。壁の中に作られた家だが、壁の手前15mぐらいのところにフェンスがあり、触ったり、入ったりすることはできない。正直、遺跡自体からは先ほどのような感動は得られなかったが、人間の生き方を見ることができ、自然の素晴らしさを感じ、歩いて良かったと思った。

ホワイトハウスと呼ばれる遺跡。近寄れないのが残念

次回は、ユタ州のシンボルでもあるデリケート・アーチのあるアーチーズ国立公園をご紹介します。お楽しみに~。

冒険心を掻き立てる垂直の壁と、それに挟まれた緑の大地

道を行き、絶壁の陰を見たいと思わせる風景

(写真:フォトアーティスト飯富崇生)

芦刈いづみ&飯富崇生のミニコラム:ビジターセンター活用のススメ
アメリカは車があれば、ロサンゼルスからニューヨークまで移動することができる。そのため、州境には、必ずその州のビジターセンターが設置されている。州の地図の他、観光地紹介マガジンやクーポンブックなど、膨大な量の情報を手に入れることができる。しかも、係の人も常駐していて、ルートや宿泊など、何でも相談に乗ってくれる。また無料のコーヒーが置かれているところも多い。こんなお得度120%のビジターセンター。長距離ドライブの際には、絶対に立ち寄ろう!
アクセス情報
キャニオン・デ・シェィまでの最寄りの国際空港:フェニックス国際空港または、アルバカーキ国際空港。いずれも直行便はないので、アメリカ西海岸で乗り継ぎ、フェニックスまでは約1時間。アルバカーキまでは約2時間。かなりマイナーな場所なので、ツアーはほとんどなく、ドライブでアクセスするのが一般的。 車の場合:フェニックスからI-15 North→I-40East→US191Northで、約5時間。 アルバカーキからI-4West→US191Northで、約4時間。
周辺情報
モニュメント・バレー、化石の森国立公園、メテオ・クレーター・ナショナルランドマーク、チャコ・カルチャー・ナショナルヒストリックパーク(世界遺産)、メサ・ベルデ国立公園(世界遺産)、アコマ・スカイシティなど