【コラム】

サラリーマンの不動産錬金術

1 自宅用のワンルーム(1R)から始めよう

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ニュースやSNSなどから、若い世代はひそかに不動産投資に興味を持っているのではないかと感じます。個人的には、基本的な部分さえ間違わなければ、不動産投資は一般のサラリーマンにも扱いやすい対象ではないかと考えています。

私はファイナンシャルプランナーの勉強会で不動産を中心に勉強するグループに所属していますが、それもあって別に不動産関係でなくても、メンバーには若い世代でも不動産に投資している方が多くいます。現物投資は相当な資金が必要に思われがちですが、市場性さえ高い物件であれば、比較的安全な投資先なのです。

危険なワンルーム(1R)マンション経営

ワンルーム(1R)マンションは、頭金が不要なケースもあり、毎月のローン返済額と家賃収入がほぼ同額に設定可能であれば、一般的なサラリーマンでも手掛けやすい対象です。そのためにバブル期は盛んに建設され、どこでどう調べるのか、一般サラリーマンにもセールス活動がされてきました。我が家にもしつこく電話がかかってきました。当時住宅ローンを組んだ銀行が系列会社の不動産会社へ無断で名簿を流し、社会問題になりましたので、そのためかもしれません。

しかし、安易なワンルーム(1R)マンション経営は、大いに問題です。不動産経営は最低4世帯欲しいものです。ワンルーム(1R)マンション1世帯では、仮に空室になれば、ローンが重くのしかかります。家賃収入が月々のローン返済額より多くても、入れ替え時期は一定期間空室になり、その月の家賃収入は見込めず、ローンは全額持ち出しです。

特に家賃収入がローン返済額を下回る場合は、一層負担が大きくなります。通常土地を所有していてアパートを経営する場合、投資金額を回収する期間は建物の構造にも寄りますが10年が目安です。3階建などで重量鉄骨造になると15年程度になります。

しかしワンルーム(1R)マンションの場合は、それよりも長くなります。土地代の分も回収しなければならず、1室では空室比率が高くなるので、リスクも高いのです。1室のみの不動産投資は、入れ替え時期は別として、常時満室が期待できる立地が大前提です。

「家賃収入8万円/月=ローン返済額」とすると…… 金利4%、20年返済の場合、借り入れ可能金額は1,320万円です。この金額で購入できる立地の良いワンルーム(1R)マンションはあるでしょうか。かなり古いマンションでも難しい気がします。まして元を取るまで20年もかかります。空室や管理費・修繕費の負担等も考えればもっとかかるでしょう。

家賃保証はリスクが大きい

セールスの文言に「家賃保証がつけられます」があります。不動産を購入する場合は家賃保証が必要ない、絶対に空室にならない立地の物件が絶対条件です。つまり家賃保証は意味がありません。家賃保証が必要な物件は購入してはならないのです。

また、家賃保証は2年ごとに見直すのが原則です。当初はまずまずの金額の家賃設定でも2年後には設定金額が大幅に下がらないとは言い切れません。折り合わなければ、そこで家賃保証は打ち切りになります。「数十年家賃を保証します」とうたっていても、それは一定期間ごとに見直す前提なのです。

家賃保証は最低家賃の10%は保証会社に支払わなくてはなりません。実質手に入る家賃は90%以下なのです。まして家賃が下がって、果たして採算に合うでしょうか。

不動産投資はマイホームを活用しよう

唯一、マンションを活用した蓄財が可能なケースは、マイホームとして利用するケースのみです。アパートローンは金利が高くなりますので、上記の設定を住宅ローンの金利1.5%で計算すると約1,660万円借りられます。

低金利の住宅ローンが利用できますし、家賃を支払っているのであれば、同額の住宅ローンの返済は無理がないはずで、ローン完済後はマンションが資産として残ります。結婚して手狭になれば、その段階で初めて賃貸すればよいのです。新たに購入するマンションに住宅ローンを設定するには、現在のローンをアパートローン等に借り換える必要がありますが、新たに住宅ローンを借り入れる銀行に相談すれば、家賃収入に問題がなければ可能でしょう。自宅として活用しているときに繰り上げ返済等を行えば、空室リスクにも対処しやすくなります。

日々暮らしながら、使いやすく収納内部を工夫したり、自分のためにワンポイントでちょっと贅沢したりと、日々の暮らしの中で勉強しながら、資産価値を高める工夫をしてみましょう。賃貸するときに家賃設定が高く設定できたり、相場よりも高く売却できたりするかもしれません。日々暮らしながら学べる点が不動産投資のメリットなのです。近隣の同等マンションの家賃等を調査してみましょう。

投資物件に転用したマンションのローンが完済できたら、もう1件購入する、売却して手ごろなアパートを1棟買いするなど、室数を増やしてリスクを徐々に少なくしていきましょう。

不動産のリスクを知ろう

不動産のリスクは以下のようなものがあります。これらのリスクは不動産のプロでなくても比較的わかりやすいものであり、保険を掛ける、施工ミスがないとわかっている中古物件を購入する、立地条件の良い物件を購入する等である程度対処ができます。

そもそも自分が住む自宅を選ぶ場合、生命の安全に直結しかねないリスクを避け、大きな資産である住まいの価値を下げないためにもこれらの不動産リスクをよく考えて物件を選ぶことはとても重要なことです。

(1) 物件が災害等で失われる (2) 施工ミスで利用できなくなる、または補修にお金が係る (3) 市場性の低い物件であれば、資産として活用範囲が狭くなる。収益性が低くなる (4) 市場の変化でニーズが低下する

※参照記事:『土地がなくてもサラリーマンでもアパート経営は可能?

「有利な住宅ローンを活用する」「立地の良い物件選びが重要」「暮らしの中で不動産を勉強する」「災害の少ないエリアを選ぶ」、など、ごく当たり前の項目さえ守れば、不動産投資は身近なものになります。まずは自宅選びからスタートするのはいかがでしょうか?

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

※画像と本文は関係ありません

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インデックス

連載目次
第5回 老後の生活を見据えた不動産活用
第4回 リノベーションの達人になろう
第3回 親の住まいの活用
第2回 友人との共同経営でリスク軽減
第1回 自宅用のワンルーム(1R)から始めよう

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