前回までのあらすじ

超マイペース且つ大雑把なB型男子である僕の彼女は、あろうことか超几帳面なA型女子だった――。このエッセイは独身B型作家・山田隆道が気ままに綴る、A型彼女・チーとの愛と喧嘩のウェディングロードです。

近年、日本人の婚姻率は著しく低下した。厚生労働省が毎年発表している「人口動態統計の年間推計」というデータから抽出された婚姻率によると、戦後直後の1947年が約1.20%だったのに対して、2007年はその半分の0・60%を切っている。

そして、その一方で上昇しているのが離婚率だ。こちらは前述の1947年が0・10%前後だったのに対して、2007年はその倍となる0・20%前後。もっとも、結婚件数そのものが減少しているわけだから、「結婚件数に対する離婚件数の割合」という意味ではもっと深刻だ。2000年以降、1947年から約4倍~5倍に膨れ上がっているのだ。

もちろん、夫婦には他人が干渉できないような、それぞれの深い事情があるわけだから、一方的な論理で「離婚は良くない」と万事断罪するのはいささか了見が狭い考え方だろう。しかし、もし二人の間にまだ幼い子供がいたなら、やはり事情はどうあれ、離婚はあまり望ましくないとも思う。子供の情操教育に、両親は不可欠だ。

では、去る4月29日に結婚式を挙げたばかりの僕らの場合はどうか。まだ超新婚の身分で大それた説を垂れても何の説得力もないかもしれないが、現段階では間違いなく離婚はしない、いや正確には「できないだろう」と思っている。

なぜなら結婚式にあたって、僕らは本当に多くの友人・知人の方々を巻き込み、「お祝い事」という言葉を理由に、彼らに多大な協力を仰いでしまったからだ。

みなさんご存知だとは思うが、結婚式及び披露宴は一般的なレベルのものであっても、想像以上に金がかかるものだ。したがって、多くの新郎新婦は財布の中身が心配になるところだが、だからといって簡単に安く抑えられるものでもない。

例えば料理のレベルを下げることでコストダウンを図ったら、それはそれでゲストの皆様からいただく祝儀に対して、罪悪感が湧いてしまう。生々しい話で申し訳ないが、一般的に一人当たり3万円以上の祝儀をいただく以上、やはりその金額に見合った「おもてなし」をしないと、良心が痛み、寝つきが悪くなるというものだ。

かくして、僕の場合は結婚式及び披露宴のレベルを下げないどころか、むしろ充実させて、それでもコストは抑えるという、ともすれば無謀な計画を企てた。

そこで前述の友人・知人たちをフル活用した。普通に発注すれば大金がかかるものを、様々な業界で働く友人・知人たちを巻き込み、彼らの技術や人脈に甘えまくることで、ことごとく無料か、あるいは無料に近い金額にしてもらった。

具体的には披露宴の司会を、僕とラジオ番組で共演している毎日放送アナウンサーの亀井希生さんにお祝い価格(交通費のみ)でお願いした。さらにウェルカムボードも友人の漫画家・カネシゲタカシさんにこちらもお祝い価格で描いてもらい、披露宴で使用する各種VTRも友人のテレビディレクターにこれまたお祝い価格で製作してもらった。披露宴で配布した新郎新婦のプロフィールパンフレットもそうだ。チーの会社の同僚に頼み込んで、同じくお祝い価格でデザインしてもらった。

一応断っておくが、僕は別に金のことだけをどうこうと、せせこましく言いたいわけではない。それよりも重要なのは、こうやって多くの人を巻き込んで結婚式を挙げることで、自分自身に強いプレッシャーがかかるということだ。要するに、「協力してくれた方々のためにも、絶対別れることはできないぞ」という決意と覚悟。それが自ずと芽生えるということが、この「巻き込み型結婚式」の一番の効能だと思うのだ。

実際、結婚式終了後、僕側の友人の一人にこんなことを言われた。

「山田さん、ここまでのことをしておいて、この先もし奥さんを泣かすようなことがあったら、みんなに袋叩きにされますよ!」

もちろん笑顔の叱咤激励だったが、それでも充分プレッシャーを感じた。また別の友人には「奥さんを末永く幸せにすることが、みんなに対する一番の恩返しだ」と言われた。なるほど、おっしゃる通りだ。僕は返す言葉が見つからず、ただただ頭を下げた。「絶対に大丈夫です!」そう何度繰り返したことか。結婚式とは、「男に二言はない」ということを多くの人の前で公約するための儀式でもあるのだ。

そう考えると、この「巻き込み型結婚式」は現代日本における離婚率の上昇に歯止めをかける効果があるのではないか。最近は結婚式の簡略化が著しく、書類ひとつで気軽に結婚してしまう男女が増えているらしいが、もしかするとそれが結婚に対する決意と覚悟を薄れさせ、ひいては離婚に繋がっているのかもしれない。

簡単な結婚は、簡単な離婚を生む――。だとしたら、僕はますます「巻き込み型結婚式」を推奨したいと思う。大切なのは「金」をかけることではなく、「人」をかけることだ。人間同士が育んできた情と絆に甘えることだ。それが離婚防止に繋がる「巻き込み型結婚式」の最大のポイントなのだ。

山田隆道最新刊発売中! 「野球バカは実はクレバー」(講談社)

現役選手、監督、解説者……ブログに綴られた球界のスターたちの意外な素顔を気鋭の「野球好きコラムニスト」山田隆道が痛快に斬る!

作 : 山田隆道
定価 : 1,300円

好評発売中! 「雑草女に敵無し~女性ADから教わったたくましく生きる極意~」(朝日新聞出版)

不況、不況と言われ、元気がない人が多い昨今。どうしたら楽しく明るく日々過ごせるでしょうか。本書で取り上げる、テレビ制作会社で働く女性ADこと、"雑草女"は、そんな不況なんてどこ吹く風。たくましく生きます。

  • 我慢できるうちは病気じゃない
  • 世の中、下には下がいる
  • お金がないならおごってもらう
  • 体型が気になるならあえて太ってみる
  • 嫌なことがあったら仕事をさぼる……
など、笑えてちょっぴりためになる珠玉の極意がたくさんつまった一冊になります。みんな元気のない時代に、この本を読めば、元気と勇気を取り戻せることうけあいです。
作 : 山田隆道
定価 : 1,300円(税抜)