先日、関西圏で放送中のMBS(毎日放送)ラジオ「いざゆけ八木裕」という生番組にゲスト出演させてもらった。その番組はその名の通り、元阪神タイガースの八木裕さんを冠にした野球情報番組で、当然阪神の話題が中心。もちろん、僕がゲストとして呼ばれたのも生粋の阪神ファンだからである。

しかし、いざ生放送が始まると、一番盛り上がったのはなんとこの「恋するB型男子」について。出演者一同、僕が恋愛エッセイを書いていることに触れ、「山田さんは恋愛マスターなんですねぇ」と少し間違った方向で興味津々になったのだ。

いや、あの、その……恋愛エッセイって言ってもですね、僕の場合は恋愛マスターでも何でもないし、「恋とはチョコレートの箱のようなものである」みたいなウィットに富んだことは一切書いてないし、超ダメダメ~な三十路独身男子の恋愛事情をただ明け透けに綴っているだけなんですけど……。

というわけで、僕は誤解を解くべく、このエッセイで書いているような"本当のこと"をきっちり公共の電波に乗せた。幸いにも番組はそれなりに盛り上がり、めでたしめでたしと思ったのだが、放送後、関西に住む僕の親戚連中から怒涛のメール攻撃を受けたのだ。

「この山田家の恥さらし! 茶碗ぐらい洗え! 」「B型が話題だからって、なんでも許されると思うな! 」「話題があっちこっちに飛びすぎ! 落ち着きがない! 」

いや、あの、その……大変失礼しました。まさかみんな聴いているなんて思わなかったのよ。恥さらしな長男坊ですね、ほんと。

落ち着きがないのも認めます。確かに一つの話題にずっと集中できない。みんなと話していても頭のどっかで他のことを考えていて、気づいたらそっちに夢中になっちゃって、話があっちこっちに飛ぶなんてことはしょっちゅうだもん。

そう言えば、そんな"落ち着きのなさ"のせいで付き合っていた彼女に迷惑をかけたことも多々あった。例えば彼女を助手席に乗せて高速道路をドライブしていたときのこと。彼女がトイレに行きたいと言い出したため、僕は「次のサービスエリアに入るね」と宣言して車を運転していたのだが、不覚にも途中で他の話に夢中になってしまった。

「オニクって名前の野菜があるの知ってる? 高山植物の一種なんあけど薬草でもあんねん。野菜やのにオニクって楽しくない? 」

……そんなわけのわからない話を延々としているうちにトイレのことを忘れてしまい、サービスエリアを三つぐらいスルーしてしまったのだ。

「も、漏れるううううう!!!」(本当にごめんなさい)

また、彼女にお使いを頼まれてコンビニに出かけたとき、頼まれた商品をちゃんと買ってレジで会計も済ませたというのに、そのまま商品をレジに置いて帰ってきてしまったこともあった。

「あんた、何しに行ってきたの!? コンビニに金落としてきただけじゃん! 」

……はい、すいません。店員さんが商品を袋に詰めている間に、つい外を見たら大事MANブラザースバンドのボーカルに似ている人が歩いていて、本人かなって思って追いかけちゃったの。で、気づいたら頭の中でずっと『それが大事』が流れちゃって、そのまま買い物のこと忘れちゃったわけよ。

そんな僕だから彼女とテレビを観ていて、ドラマのクライマックスの直前で「そう言えば明日は晴れかな? 」と思って勝手にチャンネルを変えたこともしょっちゅうだし、彼女にプレゼントしてもらったブランド物の傘をわずか三日後にどこかに置いてきたまま失くしたこともあった。多分、途中で晴れたからだ。

「落ち着きがなさすぎる!」

それは家族親戚のみならず、今まで付き合ってきた彼女全員に指摘されてきた僕の性分である。小学校の通信簿にもよく「授業中いつもちょっとだけ体が動いているのはなぜか?」って書かれてたなぁ。

『芸能界 超ウルトラ おバカ名鑑』好評発売中!

「有名人のおバカ発言ってカタログにしたらいいのに。そしたら誰がおバカか一目瞭然になるからテレビ局もキャスティングしやすいでしょ」という山田隆道の一言から始まったこの企画。とうとう一冊の本になってしまいました!! ガッツ石松から内田裕也、木村カエラまでおバカエピソードや山田隆道渾身の書き下ろしおバカエッセイも満載のおバカブームのバイブル、遂に発売です!! 関係者の方々すいません! いやむしろこの本のおかげで仕事が増えるかも!?

出版社 : ぶんか社
著者 : 山田隆道
発売日 : 2009年2月3日
定価 : 880円