【コラム】

3分で納得! 社会人のためのマネー力UP講座

2 "親孝行"するくらいなら飲み食いすべき理由

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「運勢を占ってきますね。お誕生日を教えてください」と言われて名前と生年月日を伝えると、次の日にはメッセージ付きの占いを持ってきてくれたり、お誕生日にはカードをくれたり、お昼休みには"出待ち"をしてくれたり……。

社会の荒波をひしひしと感じている新入社員にとって、保険会社の女性の笑顔はいやしの一つになるそう。そして生命保険のパンフレットをもらって詳細を教えてもらうと、「一つくらい入っていた方がいいかな」と思って生命保険に加入する方も多いとか。

男女とも、20歳代では半数以上が、30歳代では80%以上の方が生命保険に加入しています。

生命保険加入率(性別・年齢別)

生命保険を親孝行に使える確率

「どうしてこの生命保険に加入したんですか?」と聞くと「死んだときに少しくらいお金を残してあげたいじゃないですか。親孝行っていうか」という返答をする独身の方が本当に多いのです。気持ちは分かります。

ですが、例えば25歳の男性の死亡数を確認すると、1年間で1万人あたり5.1人が亡くなっています。つまり、1万人中の約5人に該当しないと親孝行できないということです。親孝行のために保険に加入するよりも、その保険料分のお金で両親と食事に行った方が、確実に喜んでもらえるのではないかと老婆心ながら感じています。

男女別・年齢別の1万人あたりの死亡率

生命保険を検討すべき人

一方で、生命保険に加入すべき人も当然います。 生命保険(死亡保険)は、「あなたが亡くなったら受取人にお金をあげます」というもの。例えば「家族を養っています。もし自分が死んで収入が途絶えると家族が食べていけなくなる」という場合のための保険です。

ポイントは「養っている人がいるか」ということ。専業主婦(夫)の奥様やご主人がいたり子供がいたりする場合はもちろん、独身であってもご両親を養っている場合は加入を検討する余地があります。ただし、会社員が亡くなった場合には、死亡退職金や遺族年金が支給されるので、その受取額でも不足する場合には生命保険でまかなうことを検討してみてください。

保険は若いうちに加入した方が安いという説の検証

毎月支払う保険料は、若いうちに加入した方が安いというのも事実ですが、毎月の出費から視点を変えて、長い目で見てみるとどうでしょうか。トータルの保険料を試算してみました。

【例】Aさん(男性)が大手保険会社の死亡保険に加入する場合

・パターン1
25歳で加入した場合……加入期間55年(80歳-25歳)
保険料月額4,866円×12カ月×55年=321万1,560円

・パターン2
35歳で加入した場合……加入期間45年(80歳-35歳)
保険料月額6,033円×12カ月×45年=325万7,820円

・パターン3
45歳で加入した場合……加入期間35年(80歳-45歳)
保険料月額7,773円×12カ月×35年=326万4,660円

※保険の種類は保障が一生続く終身保険とし、保険料の支払いは毎月で終身払い
※Aさんは男性の平均寿命である約80歳まで生きるものとする

【例】Aさん(男性)が大手保険会社の死亡保険に加入する場合

細く長く支払うか、太く短く支払うか、というイメージでしょうか。試算結果を見ても、たしかに若いうちに加入した方がトータルの保険料も安くなります。25歳で加入したパターン1と45歳で加入したパターン3の差は5万3,100円。この差を大きいと考えるか小さいと考えるか……。

"5万3,100円"の考え方

確実に必要な保険で加入し続けるのであれば、若いうちに加入して差額を浮かせた方が得です。

一方で、「加入してみたけど、やっぱりいらないかも……」と数年で解約したという話が多いのも事実。加入してから数年で解約すると、解約返戻金はほとんど戻りません。それまでに支払った保険料は水の泡となります(もちろん亡くなった場合には大きなお金となって遺族に戻りますが)。そして、結婚したり子供ができたりしたときに「今度こそ保険が必要だ」と再び加入している方がとても多いのです。

結論

本を正せば、「万が一亡くなった場合、残された家族が金銭的に困るのを防ぐため」に加入するのが生命保険です。つまり、あなたが亡くなっても金銭的に困る人がいないのであれば生命保険は不要ということ。

私個人としては、扶養している家族がいないのであれば、特に社会人になったばかりの頃は、生命保険よりも貯蓄を増やすことに専念した方がいいと考えています。なぜなら、保険は「万が一」の場合にお金を受け取れるのに対して、貯蓄はいつでも自由に生かすことができるから。生命保険には生命保険料控除による節税効果など、保障以外にも魅力がたくさんあるので、まず貯蓄を増やして自由度を上げつつお金の勉強をしてから保険の検討をしても遅くないのではないかと思います。月々の保険料はそれほど大きくなくても、トータルで考えると高額になるのが保険。"取りあえず"と気軽に加入せず、よく考えてみてくださいね。

執筆者プロフィール : 国分さやか


お金の教室 おさいふほんわか心もほんわか 代表
創価大学教育学部を卒業後、旧日本興業銀行の保険代理店や政府系金融機関に従事。"得をする方法を知りたい!"という一般生活者が多いものの、実は金融知識の不足から損をしている場面、しかも損をしていることにすら気付かない場面があまりに多い現実に問題意識を抱く。これを解消することを決意し、金融教育に携わる仕事を希望してFPの資格を取得。金融資産が増やすことだけでなく、幸福度数も増えることを大切にしている。現在、個人相談業務と並行して、金融の基礎知識を学ぶためのセミナーやFP資格講座、高校・大学、企業への出張講義などで活動中。


2013年
・第4回日本一のマネー講師決定戦E1グランプリにてグランプリ受賞
・第4回FP向上のための小論文コンクールにて奨励賞受賞
2014年 
・三省堂より初めての出版(その後、学研出版等より計5冊の出版)
・日本FP協会電話相談員
・資格の学校TAC専任講師
2015年 
・NHKラジオ「午後のまりやーじゅ」「ごごラジ!」お金のコーナー担当
2016年 
・日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター

<保有資格>:CFP、FP技能士1級、相続アドバイザー2級、小学校教諭第一種、幼稚園教諭第一種

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インデックス

連載目次
第8回 学生の頃の年金をほったらかしている場合の3つの対策
第7回 昔からの保険をバカにしたらバカを見る件
第6回 深く考えず、取りあえず入るべき保険
第5回 「知らないうちに"ブラックリスト"入り」を回避せよ!
第4回 ヤッチマッタ時に財布を開かずに弁償する方法
第3回 "ヤンチャ"な親が亡くなったら絶対やるべきただ一つのこと
第2回 "親孝行"するくらいなら飲み食いすべき理由
第1回 「こんな会社辞めてやる!」と思ったらやるべき3つのこと

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