こんにちは。東京都大田区の3Dプリンタメーカ スマイルリンク(株)の大林万利子です。先月のホビーショー(静岡)や中小企業総合展(大阪)では多くの方に当社の3Dプリンタが動いて造形しているところを見てもらうことができました。特に中小企業展では3Dプリンタのコーナーが設けてありましたので、ハイエンドから当社の様なパーソナル機まで一同に集まり、お客様の視点も「精度」「速さ」「素材」など様々でした。ご自分をスキャンしたモデルをお持ちになる方がいたり、すでに3台3Dプリンタをお持ちであるという方もいらっしゃいました。3Dプリンタへの期待を改めて実感すると同時に普及スピードがかなりアップしていることを感じました。

さて、今回は3Dプリンタによる造形の2回目です。前々回でも造形をおこないましたが、今回は「サポートを使った造形」をご紹介したいと思います。これまでどおり弊社の3Dプリンタ「DS.1000」を例にお話しをすすめます。

「サポート」が必要なカタチとは

読者の方にはおなじみの説明となりますが、パーソナル3Dプリンタの大半で使用されているのはFDM方式(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層法)です。ソフトクリームの様に細いプラスチックの層を積み上げて形をつくります。例えばピラミッドの様な形で(図1:土台が上部よりも大きい)あればサポートは不要です。

図1 土台から上部にかけて徐々に小さくなっていくようなものであればサポートは不要です

サポートが必要なものはいわゆるオーバーハング。たとえば図2のようなものを造形する場合です。家でいうと「柱」のようなものを付けて造形することになります。この「柱」のようなものを「サポート」と呼んでいます。

図2 サポートは下部の方が上部よりも小さい、いわゆるオーバーハングのものを造形する際に必要となります

「サポート」をつけた造形

サポートが必要な形状の場合、スライスソフトで設定をします。連載第4回の「2.スライスをする」の部分です。スライスソフト上で「サポートを生成」をチェックします(図3)。ここにチェックを入れるだけで、ソフトが自動でサポートをいれた動きを生成してくれて、造形されます。

図3 「サポート」の項目にある「サポートを生成」にチェックを入れます

サポートをつけて造形したものが図4です(形状はしっかりできますが、サポートを除去するので後処理の必要があります。後処理をしたものが図5です(ハイヒール処理済)。実際サポートを取り除く作業は手間と時間がかかります。当社の3DプリンタDS1000の場合オーバーハングがあっても、サポート無しでいける場合があるので(図6)形状確認だけの場合はサポート無しを選択して後処理をしないで済むようにしています。

図4 サポートをつけて造形したものです。後でサポートの除去が必要になります

図5 処理済みのハイヒール

図6 オーバーハングがあっても、サポート無しでいける場合もあります

またダウンロードサイトにあるデータの中には最初から「サポ―トを付けたカタチ」で設計されているものもでてきました。今後は「最終形状の設計」だけでなく、サポート除去も考慮して設計するという流れも出てくるかもしれませんね。

図7 「サポ―トを付けたカタチ」で設計されているものも手軽に入手できるようになってきました。

サポートの除去とは

形状によってニッパーやカッターなどで除去します。表面はやすりをかけたり、アセトンなどで表面処理をすることもあります。当社でサポート除去に使っている道具を紹介します。

  • ニッパー:3Dプリンタ「DS.1000」にも簡易的なニッパー(図8)は同梱していますが、太いサポート材などを取り除くにはもう少し本格的なモノが必要です。

図8 DS.1000に同梱されているニッパー

  • 超音波カッター(図9):力を入れずに切れるので便利です。当社ストアでも取り扱っています。

図9 超音波カッター ZO-41。ストアでの価格は4万435円(税込)

  • やすり(図10):形状によってつかっています。

図10 やすり。さまざまな形状に応じて使い分けます

その他必要に応じて道具を揃えることをお勧めします。

当社は6月も展示会に出展します。6月10日にビジネスフェア(大田区産業プラザ)、13日に大田区加工技術商談会(大田区産業プラザ)、25日~27日に機械要素技術展(東京ビッグサイト 東53-22大田区ブース)にて3Dプリンタとそれを使った作品例を紹介する予定です。

前回もお話ししましたが3Dプリンタは仕様の数字だけで比較するのではなく、ぜひご自分の目で動いているところをご覧頂きたいと考えております。

次回は展示会でも質問が多かった「3Dプリンタで使える"素材"」についてご紹介したいと思います。