中東シリアの内戦の影に「ロシア製武器」

  [2012/07/05]


中東シリアの内戦の影に「ロシア製武器」

中東のシリアでも内戦が勃発

中東のシリアが内戦状態になっている。戦っているのは、シリア政府と反体制派勢力である。チュニジアやエジプトで市民が声をあげ、民主化が進んでいった様子は記憶に新しい。この中東民主化の流れにのって、シリアの市民も昨年1月から政府に対して反発するようになった。

デモや抗議行動が活発に行われるようになる中、政府に対立する組織がいくつかできていった。それが反体制勢力である。内戦の当初は、圧倒的な軍事力を持つ政府軍が優位な情勢であったが、いくつかの国から反体制勢力に対する武器の供与が行われるようになり、国内は泥沼の内戦状態と化すことになった。

世界情勢の流れから言えば、シリア政府がアル=アサド大統領による独裁体制をやめ、民主化を受け入れるのが筋であろう。いまやインターネットによって、政府の不正はいとも簡単に世界へ発信され、一声あげれば多くの市民が結集する。チュニジアやエジプトの前例に学べば、シリア政府が選ぶ道は限られている。

そして、国連やEUをはじめとする国際社会の多くは、民主化の流れを支持している。にもかかわらず、シリア政府が反体制勢力に「抵抗」し続けているのはなぜか。ロシアと中国、そしてイランを味方につけているからである。とりわけ、ロシアは冷戦時代から軍事顧問を派遣するなど、シリアと太いパイプでつながっている。

シリアと武器でつながるロシア

シリア政府軍は、おもにロシア製の武器を使い、反体制勢力と戦っている。武器を売る側(それが国であれ、企業であれ)は、戦争や内戦、紛争といった戦闘状態がなければ、商売にならない。逆に、戦闘状態が激しくなればなるほど儲かる。ロシアとシリアが武器の売買のみでつながっているとは言わないが、ロシアがシリア政府を支持し続けている大きな理由が、武器であることは言うまでもない。

政府の武装化が進めば、武器を売る側と反体制勢力との関係も築かれる。武器の売買は企業単位で行うことが難しいことから、ロシア以外のどこかの国が反体制勢力に武器を売っている。こうして武器を売る側は儲かり、武器を買う側の兵士や市民がバタバタと死んでいくような状況が作られていく。

ポルポト政権時代のカンボジアがそうであったように、同胞が国内で殺し合いをしている場合、内政干渉になってしまうので諸外国はなかなか手が出せない。だが、手を出さなければ、とりかえしのつかない人数の死者が出てしまう。そして、シリアの内戦は、国内問題として解決するのがほぼ不可能な情勢に陥っている。

諸外国がシリアへの干渉をためらえば、ためらった分の死者が増える。シリアにおける殺し合いのシステムを止めるためには、「武器」をはじめとする「暴力」を排除したかたちで、諸外国が干渉せざるをえないと筆者は考えている。それも、できるだけ早く。


(谷川 茂)

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