相互監視社会の恐怖【テレンス・リーのニュースを斬る!】

  [2012/06/21]



相互監視社会の恐怖【テレンス・リーのニュースを斬る!】
オウム特別指名手配犯の菊地直子に続き、高橋克也も逮捕された。
昨年の大晦日に出頭した平田信は、その出頭により麻原彰晃こと松本智津夫の死刑執行を遅らせることが目的ではないかとの憶測が飛び交い、約半年後に菊地直子、高橋克也が逮捕されたことも、やはり同様の理由からではないかと巷間を賑わせている。
だが、平田信の出頭が仮にそうであったとしても、菊地直子、高橋克也の逮捕について私はまったく別の見解を持っている。
逮捕に至るまで実に長い年月を要したが、確かにこれは地道な捜査による警察権力の勝利なのだ。
しかし、そこには市民による相互監視社会の強化が背後に隠されている。いまや先進各国の警察権力は、監視カメラなどのあらゆるシステムを総動員して、市井の人々の動向に隈なく目を光らせている。
かつて、ジョージ・オーウェルが小説『1984年』で警告を発した、「ビッグブラザー」の世界が具現化されようとしているのだ。
もちろん、それにより凶悪犯が野放しとならないことはいい。当然に歓迎すべきことではあるのだが、多くの国民が「人間監視カメラ」になるような戦々恐々とした社会は如何なものであろうか?
いま我々は高度な監視社会に暮らしている。それは前述したように最新技術を駆使したものだが、一番怖ろしいのはこうした「人対人による相互監視」である。相互監視は相互不信を生み、やがて憎悪が冤罪や殺戮に発展する可能性もある。
凶悪犯が逮捕されることは喜ばしいことだが、その裏側にはプライバシーも何もない、背筋も凍る高度な監視システムが存在することを忘れてはならない。
そして、高度な監視社会の末路は、相互不信渦巻く暗黒社会であることも覚悟しておくべきだろう。
昨今、居酒屋でも「1000万円の懸賞金」というワードを耳にしない日はない。欲望と結びついた相互監視社会は北朝鮮と何も変わらないのだ。このことは、しっかり肝に銘じておこう。
(テレンス・リー)

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