※2010/10/14掲載記事の再掲です

前回メールで彼女から別れを告げられ、一旦は「分かった」と返信したものの、気持ちがおさまらず、直接彼女に会いに行った私の恋の顛末をご紹介します。

「まだ努力すれば、自分の本気を見せれば、どうにかなるかもしれない」という諦めきれない想いと、「彼女はまだ自分のことを好きでいれてくれているだろう」という妄信が止まず、彼女に会いに行きましたが、もはや彼女とその気持ちを分かち合うことはできませんでした。

結論から言うと、彼女は私とは会うことすら受け入れず、なんとかその日の夜に電話で話す機会を設けてくれましたが、彼女の気持ちは冷めていて、ただあのメールと同じように、別れたいという変わらぬ想いを語ってくれただけでした。ここまでして、ようやく私のなかで「もうこれは本当に別れるしかないんだな」と、諦めざるをえないよう現実を突きつけられました。

復縁を模索しつづける日々

私は、プライドもありましたが、付き合った想い出を無様なものにしないためにも、すがることなく、別れを受け入れました。こうして、お互い、別々の道を歩くことになったわけですが、結局私は彼女のことを忘れることができませんでした。 失恋のショックというよりも、まずは別れを受け入れなければいけないと分かっていても、まだ直視したくないという気持ち。チャンスさえあればやり直したい。復縁を模索しつづける日々が始まったのです。

いつか必ずまた彼女に会える日が来るにちがいない。私のなかには、確信に近い予感がつねに芽生えていました。それはしっかりとした根拠があったのですが、もしかしたら、彼女が離れてみて、自分のことを思い直してくれるかもしれないという妄想もありました。 自己研鑽を重ねることで、成長した自分を見て、彼女とまた付き合えるかもしれないという目標もあったため、孤独に絶望することなく、その日がくるまでそれなりの行動を重ねて行きました。

想いは必ず実現する。一度好きになって付き合えた仲だ、復縁できる可能性はおおいにあるんだ。めげそうになったときは、彼女と交際できるようになった過去の事実と、付き合っていたときの幸福な映像を思いだして、自分を鼓舞していました。 月日の流れるのは早いもので、別れてから9カ月が経っていましたが、待ち望んだその瞬間が本当に到来しました。

彼女との念願の再会

あることをきっかけに、彼女と再会することができたのです。別れてから再会するまで、一度も連絡をしたりすることはありませんでした。彼女は自分が想像していたよりも、やつれていて、肌も荒れており、付き合っていた当時のような精彩に欠けているような印象を受けました。 自分のなかでは、自分を別れたことによって、楽しい生活を過ごしているのにちがいないと想像している点もあったので、意外な展開でもありました。

私はこの日のために、修行を重ねてきたこともあって(大げさに聞こえるかもしれませんが)、久しぶりに話しかけることに勇気が要りましたが、自信がある様を装って彼女に話しかけました。「元気だった?」。しかし、彼女の反応は、私が想像していた以上に、冷たいものでした。「ええ、元気でしたよ」と。

まず、こちら側の第一声に敬語で返されたことで、赤の他人同士であるということを痛いほど感じました。彼女と初めて出会ったときですら、ここまでよそよそしくなかったのに、この機械的な反応は、想定外のショックでした。 彼女と会うまでは、「彼女はきっとまた自分のことを受け入れてくれるかもしれない」という根拠のない希望をモットーに、なんとか乗り越えていたからです。

目の前にいる彼女は、もはや私と付き合っていたころの女性ではありませんでした。まるで別人なのです。その後も気まずい空気が流れていましたが、ブランクを埋めるためにも、KYかもしれませんが、自分から話しかけました。 「学校生活はどうなのか(彼女は当時大学生でした)」。「将来の夢は変わったか」。「今は何に夢中になっているか」。

聴きたいことは山のようにあったのですが、彼女のそっけない態度を目の当たりにすると、矢継ぎ早に問いかけることはできず、3問くらいを投げかけるのがやっとでした。相変わらず彼女は、社交辞令的な対応でしたが、一問一答ではありますが、自分の問いには真摯に答えてくれました。

この再会をなんとかいかそうともがいた結果……

そこで分かったことは、彼女は大学生活は勉強に追われていて、ほとんど遊んでいなく、仲の良い友人にも恵まれていないということでした。長い間孤独の最中にいた自分にとって、彼女の意外すぎる境遇を聴いて、共鳴を覚えると同時に、「また付き合って彼女を幸せにしたい」という欲望がにわか然強くなりました。 実は心のどこかに邪悪な妄想があって、「彼女はこんな自分を振ったのだから、自分だけ苦しんでいるのではなく、彼女も独りになって、苦労しているかもしれないな。そしてこんな自分をまた必要とするときがくるかもしれない」なんて自分にとって都合の良い希望を抱いている部分もあったのです。

「彼女にまた会えるはずだ」と信じていたことによって、願望が実現したのだから、諦めずに、努力すればまた付き合えるのではないかと妄信が止みませんでした。彼女は自分を嫌ってはいないはずだ。別れてしばらく経っているのだから、振った手前気まずくてクールな態度をとっていて当たり前だ。 目の前の現実をなんとか自分にとってプラスに考えられるよう、自分に言い聞かせました。ここで諦めて身を引いてしまったら、もう二度と自分の気持ちを伝えられるチャンスはないかもしれない。数カ月努力して変わった自分を見てもらえることもないまま、本当に会うことができなくなってしまうのだけは嫌だったのです。

数カ月の僕と彼女の再会の場面を読んで、皆さんは何を感じましたか。同じような境遇で別れを体験したことがある方は、共感いただいたかもしれません。私は恋愛や人間関係のコミュニケーションに自信があるわけではなく、むしろ不器用だと自覚している分、失敗や上手くいかない場面が多いのです。

文●TAKA氏 写真●ペイレスイメージCopyright(C)2010 paylessimages,Inc.All Right Reserved.

筆者プロフィール:TAKA氏
地方公務員として勤務する傍ら、ストレス発散や心の悩みを和らげるための憩い場を提供するリラクゼーションサイト「ラブステ」を運営中。恋愛に不器用な方や、孤独や不安に苛まれて明日を見失っている方を対象に、サイト内の相談所やメールを通じて、相談も受け付けている。自身の経験と傾聴のスタンスをもとに、6年間で約500名の相談者と対話した実績を持つ。