山口県下関駅で1999年に発生した無差別殺傷事件について、最高裁判所は7月11日、犯人に死刑判決を言い渡した。車で人ごみに突っ込んだあと、刃物でまわりの人を無差別に切りつけて計5人を殺害。この手口、奇しくも6月に東京・秋葉原で起きた通り魔事件と酷似しており、事件の重大さと、それに対する量刑について、また議論が高まることになりそうだ。
死刑の判決や執行が行われるたびに、日本では死刑可否の議論が高まる。そこでは、死刑を容認する「存置派」が被害者感情を前面に出すのに対して、「廃止派」が主張するのは、死刑が犯罪抑止力になっていないこと、そして世界の多くの国では死刑が廃止、もしくは実施されていないという実情だ。
死刑廃止を訴えるアムネスティ・インターナショナル日本によると、死刑を完全に廃止している国は92、通常犯罪での死刑を廃止している国(軍法下の犯罪、特異な状況における犯罪など例外的な犯罪にのみ死刑を規定している国)が11、過去10年間死刑が執行されておらず、事実上死刑が廃止されている国が34。これらを合計すると、137国が死刑を廃止している。これに対し、死刑存置国は60である。
※数字はアムネスティ・インターナショナル日本が把握している数に基づいています
さらに、これら存置国の中で、いわゆる「先進国」に属するのは、日本のほかアメリカ、シンガポールなど数えるほどしかない。ヨーロッパ諸国はこぞって死刑を廃止している。このような世界的な状況の中で、存置国としてあり続けるのはいかがなものか、というのが廃止派からの意見である。
このような流れがあるにもかかわらず、日本では存置派の声がいまだに高い。被害者感情によることはもちろんであるが、殺人の被害者が複数であったり、手段が極めて残虐であったりなど、死刑の適用は例外的ともいえる日本。「死刑以外には考えられない」というほどの罪に対して課されるのであれば、それもやむを得ないという意見が主流である。
もっとも、犯罪が国を越える時代にあって、死刑のない国からやってきた加害者が祖国に逃亡した場合など、日本国内の議論だけで死刑の是非を考えることは難しくなっている。死刑に替わる終身刑の創設などを含めて、日本がこの問題に対してどう答えを出していくのか、世界が注目している。
文●秋山岳志(エフスタイル)
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