離婚調停ホントの話

 

日本の年間離婚件数は全国で251,136件(厚生省の平成21年度の統計)。ここ数年件数自体は横ばいですが、その質はここ数年で変化しているそうです。弁護士法人アディーレ法律事務所の篠田恵里香弁護士にお話を伺いました。



離婚でもめた場合に、弁護士さんにお願いするという人は多いでしょう。弁護士さんにお願いすると、本人の代理人となって相手との折衝に当たってくれます。あなたが相手に会いたくない場合は、弁護士さんがその代わりをしてくれるので大変助かります。ただ、離婚問題というのは弁護士さんにとっても大変な仕事で「離婚が一番厄介」と言われているそうです。

■離婚問題を弁護士に依頼する人のプロファイル

――離婚調停を依頼する人は増えているでしょうか。

篠田弁護士 相談は増加傾向にあると思います。アディーレ法律事務所でも1カ月に1,000件以上のご相談が寄せられています。その理由として、女性の社会進出や社会福祉の充実から、以前であれば、経済的不安から離婚を踏みとどまるような案件であっても、離婚後の生活に見通しがつき、離婚に踏み切られる方もいらっしゃいます。といっても、実は離婚総数は減少傾向にあるんです。ただ、昨年は23万5千件ほどあり、約2分に1件離婚しているということになるんです。

――離婚調停を依頼する人のプロファイルですが、何歳ぐらいの人が多いでしょうか?

篠田弁護士 ボリュームゾーンでいうと30~40歳前後の方が多いと思います。

――依頼に来られる人の男女の比率はどうでしょうか?

篠田弁護士 アディーレ法律事務所の場合は圧倒的に女性が多いですね。

――年齢は30~40歳の女性。結婚何年目の人が多いですか?

篠田弁護士 私のイメージで言うと、結婚5~10年の人が多いように思います。これを超えると結婚25年目とか、そういう熟年の方がまた増えるように思いますね。熟年の方の離婚調停も増えていますが、それには1つ明瞭(めいりょう)な理由があると思います。

――と言いますと?

篠田弁護士 年金分割です。平成16年の法改正によって、専業主婦の方が離婚した場合に、今までは夫に一括で支払われていた年金が、奥さんにも分けてもらえるようになりました。これで「離婚後の生活どうしよう。それを考えると離婚できない」とった方たちが離婚に踏み出すようになったんですね。ただし、この離婚による年金分割はよく計算しないといけません。夫の年金をぽんと半分もらえるわけではありませんので。

――半分もらえるわけじゃないんですか?

篠田弁護士 そう思って誤解している方が多いかもしれませんが……。夫がどのくらいの期間年金を支払い続けたか、妻が専業主婦だった期間などを考慮して、夫の「報酬比例分」を分けます。なので単純に半分もらえるというものではないんです。

――では、「アテが外れて困った」という人もいそうですね。

篠田弁護士 おられますね。ですから決断する前にぜひ弁護士に相談されて、計算してみることをお薦めします。離婚後の生活を冷静に考えることはとても大切です。

■離婚問題を依頼する人、その理由!

――離婚問題を依頼する人はどんな理由の人が多いのでしょうか。

篠田弁護士 「散々相手方と交渉してきて、交渉することが疲れた」とか「相手方の話をしたくない。顔も見たくない」といった人が多いでしょうか。

ほかにも以下のような理由が挙がりました。

●DV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラを受けており、相手方が怖い。

●こちらが電話・メール等をしても相手方が全く返答をしてくれない。

●相手にそれなりの知識があり、口もたつので自分では言いくるめられてしまう。

●財産分与でもめていて法的に交渉してほしい。

●相手方がどうしても離婚に応じてくれない。

●相手方に代理人がついたので自分もつけたい。

■養育費を支払わない人はたくさんいる!

――30~40歳というと子育て真っ最中の人が多いと思うのですが。

篠田弁護士 そうなんです。離婚問題が厄介なのは、お子さんが重要なファクターだからですね。親権の問題、養育費の問題がありますから。

――養育費はいくらぐらいという基準はあるのでしょうか?

篠田弁護士 「養育費算定表」というのがありまして、権利者(子供と同居している方の親)の年収、義務者(子供を同居していない方の親)の年収、給与所得者なのか、自営業者なのか、未成熟子(社会人として独立していない子)の人数・年齢といったデータを入れると算定できるんです。金額には幅があって、月々3万~5万円程度から月々10万円を超える場合もあります。月額1万円違うだけでも10年見れば120万円変わってくるのでとても大きいですよね。

――養育費の不払いといった問題も起こっていると聞きますが。

篠田弁護士 そうなんです。養育費をきちんと支払っているのは10%の人しかいないというデータもあります。養育費は子供の将来に大事な、最も確保されるべきお金なんですが、悲しいことに不払いが多いという現実があります。

■慰謝料はいくらぐらいか!?

――慰謝料について知りたいんですが。慰謝料には相場というのがあるのでしょうか?

篠田弁護士 みなさん、その金額はお知りになりたいようです。結論から言いますと、350万~500万円ぐらいが多いと思います。350万円ぐらいが一番多いのではないでしょうか。もちろん相場といったことではなく、持っている財産、不動産や貯金、また保険、離婚の原因となった行為(例えば、不貞行為、モラハラ等)の態様・程度、婚姻期間など、色んなデータをかんがみて算出されますが。

■離婚調停の段取り

――あらためてお伺いしますが、離婚でもめた時の「段取り」はどうなっているんでしょうか。

篠田弁護士 まずは当然ですが2人で話し合いますよね。で、折り合いがつかないと弁護士に相談しますね。そこで話し合いをします。片方が弁護士をたてると、もう一方も、ということになりますので、弁護士を間に立てた話し合いをすることになります。これで片付けばOKです。ですが、もめると裁判ざたをする前に「調停」となります。裁判所に「夫婦関係調整事件」申し立てを行います。それから「調停」作業を始めます。

――調停はどんな形で行われるのでしょうか?

篠田弁護士 夫婦が同じ日に裁判所に呼び出されます。代理人がついている場合は代理人も同行します。本人が出席できない場合は代理人のみが裁判所に行き、本人の代弁をします。まず、申立人(調停を申し立てた方)が先に調停室という小部屋に入り2名の調停委員に要求を聞いてもらいます。その後、申立人と交代で相手方(調停を申し立てられた方)が調停室に入り、調停員から申立人の要求を聞き、調停委員に、その要求に対する返答・反論、及び申立人に対して要求したいこと等を伝えます。1回の調停でこのやり取りが2回ほど繰り返されます。

――どのくらいの頻度で調停は行われるのでしょうか?

篠田弁護士 ほぼ1カ月に1回です。

――1カ月に1回だけですか。

篠田弁護士 ほぼそうです。ですから話し合いがまとまらないと1カ月、2カ月とどんどん時間がたっていきます。

――調停がまとまったら、離婚届に押印、まとまった条件を調停調書にしてそれで終了ですよね?

篠田弁護士 そうですね。

――調停でまとまらない場合はどうなるんでしょうか?

篠田弁護士 裁判になりますね。ただ裁判所も「なんとか裁判にしないで済まないか」、「和解を成立させられないか」をしつこく聞いてきます。というのは、裁判所は「離婚」に関しては非常に慎重な姿勢なんです。

――そうなんですか?

篠田弁護士 みなさん誤解されているかもしれませんが、裁判所というのはそう簡単に「離婚」という結論を出してくれるところではないんです。

――それは意外です。

篠田弁護士 裁判所が離婚という判断をする場合は、婚姻関係が破たんし、回復の見込みがない場合に限られます。民法上では、その例として浮気などの「不貞行為」があるとき、勝手に自宅を出て行ってしまい、生活費を入れなくなった場合などの「悪意の遺棄」があるとき、「3年以上の生死不明」、「強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」、が挙げられています。

――いずれも難しいですね。

篠田弁護士 そうなんです。裁判所までもつれた場合には「離婚」という結論を得るためのハードルは非常に高いんです。また証人喚問を行ったりと時間もかかります。ですからもつれるにしても「調停」でなんとかするのが良いと思います。

■離婚調停の難しさ!

――離婚調停は難しいとお聞きしましたが、どんな点が困難なのでしょうか。

篠田弁護士 調停は、当事者の合意によって初めて成立するものです。そのため、いかに相手から譲歩を引き出すか、いかに相手方を説得するかが重要になり、かつ難しいところでもあります。

――裁判みたいにバンと結論が出るものでじゃないということですね。

篠田弁護士 そうです。どうやって合意するかなんです。相手方から譲歩を引き出すためには、それなりの交渉力が必要となります。例えば、交渉カードを多く持ち、相手の出方を見ながら交渉カードを切っていったり、損得計算をして譲歩できるところは譲歩し、他方で相手方も譲歩せざるを得ないような心理にさせたりといったことが必要となります。また、相手方を説得するためには、説得材料としてどのような材料を収集するのか、そして収集した説得材料をどのように効果的に相手に示すかも重要です。また、調停では調停員がお2人入っていただけるのですが、調停員との相性の問題も離婚調停の難しいところと思います。

■当事者の両親が参戦する傾向あり

――最近の傾向として顕著な特徴は何かありますか?

篠田弁護士 当事者の両親が参加してくることですね。

――調停の現場にですか?

篠田弁護士 いえ実際の部屋には入れないんですが、電話をかけてきたりとかですね。「うちの娘はこう言っている」とか「息子にも言い分が」とか。両親が介入してくる事案は本当に増えています。

――原因はあるのでしょうか。

篠田弁護士 お金の問題はあると思います。というのは本人が慰謝料を支払えないといったことになると、まず頼りにするのが親ですから。親が出すということになると黙ってられないのでしょう。

■弁護士に離婚調停を依頼した際のコスト

――弁護士さんに離婚調停をお願いした場合のコストを教えてください。

篠田弁護士 必要なコストは着手金、実費、成功報酬ですね。着手金についてはアディーレ法律事務所の場合は21万円[税込]になります。相談に来られるだけでしたら無料ですよ。

――ネットで調べたら着手金50万円からなんてとこが多いようですが。

篠田弁護士 うちは「できるだけ安くに」という方針なのでこういう金額になっています(笑)。

――成功報酬というのは何でしょうか。

篠田弁護士 慰謝料などの話がまとまった際にその10%を「成功報酬」としていただくといったことですね。ただし、養育費の場合は別計算になっています。というのは、養育費ってものすごく高価になります。例えば1カ月5万円でも1年で60万円。4歳のお子さんだとして、20歳までの16年では960万円にもなります。その10%というと96万円と非常に高価な「成功報酬」になってしまいます。ですから、アディーレ法律事務所では「1年分の10%でいいです」としております。

――良心的じゃないですか。何かウラはないんですか(笑)。

篠田弁護士 何もないですよ。頑張ってるんです(笑)。

■離婚を考えてる人へ!

――離婚を考えている人にアドバイスがあったら聞かせてください。

篠田弁護士 「急いで妥協しないこと」がとても大事です。その時は「もうとにかく楽になりたい。もう条件なんて何でもいい」と思っていても、後になって冷静に考えたら「私は損をした」なんてことが往々にしてあります。ですから、焦っていても冷静になること。これが重要です。その後の生活があるんですから。変な言葉かもしれませんが、長い人生を考えて「いい離婚」をしましょう。

「いい離婚」を目指して最大限に努力することが大事なようです。アディーレ法律事務所さんでは、初回だけではなく何回でも相談は無料だそうで。でもそのために相談の予約が1~2週間先まで一杯とのこと。それだけ離婚問題に悩んでいる人が多いということなのでしょう。

(高橋モータース@dcp)

アディーレ法律事務所
http://www.adire.jp/

厚生省発表の離婚統計発表資料
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/rikon10/01.html

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