Applied Materials(AMAT)は11月16日(米国時間)、2017年度第4四半期(2017年8-10月期)、ならびに通期の決算概要を発表した。それによると、同社が「創業50年でもっとも良い年となった」と表現するように、通期業績は、売上高が前年度比34%増の145億4000万ドル、GAAPベースの粗利益率は44.9%、営業利益は38億7000万ドルとなった。

好調な半導体市場を支えた半導体メモリへの設備投資

説明を行ったアプライド マテリアルズ ジャパン代表取締役社長の中尾均氏

同社の日本法人であるアプライド マテリアルズ ジャパンで代表取締役社長を務める中尾均氏は、「今年度はすべての四半期で記録を更新してきたほか、すべての事業セグメント、装置ごとでも記録を塗り替える状況となった」と、売り上げが伸びた背景を説明。日本市場も、半導体産業の好景気を背景に、製造装置の立ち上げやプロセスエンジニアを中心に人員の拡充が進んだと説明する。

2017年度でもっとも好調となり、4半期別では過去最高となった第4四半期の業績は、売上高が前年同期比20%増の39億7000万ドルで、GAAPベースの営業利益は11億ドルとなった。同社の3つの事業セグメント(「Semiconductor Systems(半導体システムズ)」、「AGS(アプライド・グローバル・サービス)、「Display and Other(ディスプレイ・アジェイセントマーケット)」)別に売上高を見ると、半導体が24億3100万ドル、AGSが8億3100万ドル、ディスプレイが6億7700万ドルとなる。また、地域別で見ると、韓国が30%、台湾が18%、中国が15%、日本が13%、SEA(東南アジア)が8%と、アジア地域全般で8割強を占める(残りは米国10%、欧州6%)。2017年度はメモリ分野の投資が積極的に行われたことから、通期でも韓国が28%、台湾が23%、中国が19%、日本が10%、SEA4%とアジアで8割のシェア(米国10%、欧州6%)となっており、「全世界を通じて中国の投資の伸びが高い。そのため、日本地域も過去最高の業績を達成したが、地域シェアは抑えられた結果となった」(同)という。

2017年度第4四半期のAMATの業績

2017年度通期のAMATの業績

2017年に大きく伸びたメモリ分野ならびに中国での投資だが、中尾氏は2018年もいずれもまだ成長が続くとみている。「中国で建設が進んでいる半導体工場のすべてが一気に稼動するということはないと見ているが、それでも一桁台の伸びは期待できる状況」とするほか、「2017年度の売り上げの半数がDRAMとNAND(DRAMが16%、NANDが34%)だが、この傾向は2018年度も変わらないと見ている。ただし、ファウンドリの投資が2017年度よりも行われると見ており、半導体装置産業としては、2018年も期待できる年になる」との見方を示す。実際、AMATが2018年度第1四半期(2017年11月-2018年1月)の業績見通しは、売上高が40億~42億ドルと、2017年度第4四半期を越える見通しを示している。

AMATの半導体システムズにおける業績

AMATのAGSにおける業績

AMATのディスプレイ・アジェイセントマーケットにおける業績

ディスプレイ市場も有機EL市場の拡大で設備投資が増大

一方のディスプレイ関連だが、こちらについても、「2018年はモバイル向け有機ELのパネルが、Samsung Display以外のメーカーでも本格量産が開始される見通し」とするほか、「55型以上の大型パネル向けの第10.5世代が立ち上がる見通しで、4Kから8Kへと高解像度化に向けた動きと併せて、大型パネルとモバイルで別々の方向性の需要が生じている」と、2018年度も成長が期待できるとの見通しを示す。

2017年、価格の高騰で半導体市場の成長率を引き上げたメモリ分野だが、この背景について、「ビッグデータやAIに代表されるように、多くのデータを処理して保存するという流れができ、ロジック以上に需要が増している」とするほか、「エッジノードにインテリジェンスを持たせようという動きが加速しており、これが進むと、今以上に需要に対しての供給が追いつかない可能性があるため、メモリへの投資が進み、それに合わせる形でロジックも投資が進む」ともしており、今後もメモリが半導体市場を牽引していく形で成長が期待できるとする。また、EUVの量産適用が目前に迫っているが、すべてのロジック製造における微細配線に適用されるのではなく、「2割程度が置き換わる。残りの8割は既存ソリューションをベースとして、よりファインなパターニングを実現するソリューションがしばらく活用されることが予想される」としており、そうしたニーズに対応するソリューションの開発、提供を継続して行っていくことで、今後も成長を続けていけるとする。

なお、中尾氏は、「2018年は半導体、ディスプレイ、製造装置のいずれの市場も明るい年となる」との見通しを示しており、半導体市場に対するポジティブな話題が日本でも広がることが期待できるのではないか、としていた。

半導体の市場を牽引するアプリケーションは時代ごとに変化してきており、現在はビッグデータやAIといった分野が中心となりつつある。それに併せてAMATも売り上げの15-20%程度を研究開発費として継続的に充てて、5年先、10年先を見据えた技術開発を進めているという