2017年11月15日から17日にかけて、パシフィコ横浜にて開催されている最先端の組込技術/IoT技術にフォーカスした総合技術展「ET 2017」「IoT Technology 2017」において、STマイクロエレクトロニクスは、自社の半導体やMEMS47個を組み込んだヒト型ロボットの実働デモなどを行っている。

同ロボットは、韓国ロボティズの「ROBTIS OP2」をベースに、内部の基板を自社のデバイスによるものに換装したもの。ロボットの制御マイコンとしてはSTM32F446を搭載したアスラテックの「V-Sido CONNECT」を採用しているほか、胸部、耳部、手の5か所にToFセンサ(VL53L0X)、頭部にSTM32F765を搭載した光学カメラモジュールならびに、MEMSマイクロミラーとASICを搭載したMicroVision製ピコプロジェクタを搭載。このほか、胸部にマイコンのほか、6軸モーションセンサや大気圧センサなどを搭載したセンサ開発ボード「SensorTile」とマイコン開発ボード「NUCLEO-F303K8」、頭部に同じくセンサ開発ボード「BlueCoin」をそれぞれ搭載。各サーボモータのコントローラマイコン18個と併せて47個の同社製品が用いられている。

STの製品47個を活用したヒト型ロボット。搭載されているハードウェアの機能にソフトウェア側の処理が間に合っておらず、今後も地道にできることを増やしていく予定とのことである

会場でのデモでは、ToFセンサを用いた衝突防止や、温度センサ、大気圧センサによる状況把握、ピコプロジェクタによる映像の投射などを見ることができる。また、同ロボットにはMEMSマイクなども搭載されており、来年にはSTの製品の魅力を伝えるツールとして、オーディオ、ビデオ、AIといった機能対応も進めて進化させていくことも予定されているという。

実際にヒト型ロボットの動作デモの際の状態モニタ。リアルタイムで数値が変化していく様子を見ることが出来る

スマートウォッチのバッテリー寿命を延ばすマイコン

また、同社ブースでは、同日発表したばかりの32ビットマイコン「STM32L4+シリーズ」の実機デモも見ることができる。同マイコンは、従来の「SRM32L4」から、動作周波数を120MHz(従来は80MHz)に引き上げられ、処理性能の向上が図られたほか、STM32ファミリのハイパフォーマンスシリーズに適用されていた「Chrom-ARTグラフィックハードウェアアクセラレータ」の搭載と、2MBフラッシュと640KBのSRAMにより、外付けバッファを用いずにグラフィックス処理をCPUに負荷をかけずに行うことを可能とした。

また、四角ではなく、円形ディスプレイ使用時の余分な部分の画像(本来の四角から円形に変更した際に余る部分)をそぎ落とすことで、画像バッファサイズや処理の負荷を約20%削減できる「Chrom-GRCグラフィックメモリマネジメントユニット」も新たに搭載。これにより、スマートウォッチの意匠性を向上させつつ、バッテリー寿命の延長が可能になるとしている。

意匠性の高いスマートウォッチの開発を可能にするSTM32L4+のデモ。チップ自体は一番右側の正方形のパッケージのものとなっている

10気圧防水に対応したMEMS大気圧センサ

このほか同社ブースでは、10気圧防水に対応したMEMS大気圧センサ「LPS33HW」のデモとして、実際に水の中に使っている様子をみることができる。

デバイスの構造が非常にユニークで、ASICの上にMEMSセンサが配置されるところまでは良くある話だが、それを天井部が開放されている円筒形モジュールに入れ、その内部を特殊なジェルで満たすことで10気圧の防水を実現したものとなっている。ジェルは塩素や臭素、塩水などの化学物質に対しても10年以上の耐性を備えており、プールのほか、海でも利用が可能となっているため、無機物を利用したものと推測されるが、詳細は不明。なお、この10気圧は防水性(空気中であれば20気圧まで故障ゼロ保証)の話であり、実際のデータとしては2気圧までデジタルデータとして出力する仕様になっている。

銀色の円筒形部分が10気圧防水のMEMS大気圧センサ。他のモジュール部分もデモでは液体に使っているが、スーパーコンピュータ系で流行りの液浸用のフッ素系液体ではなく水。そういった防水処理を施してくれるメーカーに依頼し、他のチップや基板も防水コーティングを施したという

「LPS33HW」の構造イメージと、モジュールから送られてきている計測データの様子。しっかりとデータを取得できていることがわかる