【レポート】

「フルMVNO」ならApple Watchを使えるのか? - IIJが解説

1 MVNOがおかれている現状とは

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インターネットイニシアティブ(IIJ)は11月8日~10日の日程で、インターネットの最新技術動向を演題とした講演会「IIJ Technical WEEK 2017」を開催した。ここでは最終日に行われた講演「IIJの目指すフルMVNOとは」について紹介しよう。

講演はIIJのMVNO事業部・事業統括室の佐々木太志部長によって行われた。佐々木氏はIIJのモバイル事業の立ち上げから関わっており、TwitterのIIJmio公式アカウント「@iijmio」の「中の人」としてユーザーイベントなどに登場する機会も多い

「フルMVNO」という言葉は、昨年あたりから話題に上ることが多くなってきた単語だが、昨年8月29日にIIJがNTTドコモに加入者管理機能の連携を申し込み、2017年度下期(3月予定)にフルMVNOサービスの提供開始予定、と発表したことで一気に定着した感がある。

それでは「フルMVNO」とはそもそも何なのだろうか。IIJの佐々木氏は「フルMVNO」に対して、従来型のMVNOを「ライトMVNO」と位置付ける。

噛み砕いて説明しよう。MVNOとは、回線設備を持つMNO(キャリア)から設備の一部を借り受けてサービスを提供する事業形態だ。当初、MNOにとって自社の商売敵にもなるMVNOへの回線貸与はなかなか受け入れられなかったが、MVNO事業を推進する総務省が策定したガイドラインによってMNOがMVNO側からの接続要求を断れないような状況になっており、料金についても細かく規定されている。

総務省がMVNOを制度化したことにより、MNOはMVNOとの契約を断ることができないようになり、結果として価格も明確な契約ができるようになった

MNOが持つ設備は多彩だが、基本的にMVNOは「顧客管理システム」と「通信制御用のサーバー」、それに「インターネットとの接続回線(ゲートウェイ)」だけを受け持ち、それ以外はMNOから借り受ける、というのが「ライトMVNO」(レイヤー2接続)だ。

ライトMVNOではMVNOが用意する設備への投資が少なくて済む反面、MVNO側の特色を出すことが難しくなっている

この、MNOが受け持つ部分(コアネットワーク)の中には、基地局などに加え、他の事業者(NTTドコモであればKDDIやソフトバンク、固定網も含む)の電話網との接続であったり、回線を利用しようとする加入者管理のためのサーバーなどが含まれる「シグナリングネットワーク」がある。また、SIMカードもMNOから貸与という契約形態であり、MVNOはMNOからSIMカードを卸してもらい、それを顧客に販売(貸与)するだけで、独自にSIMカードを発行することができない。

総務省によってMVNOは事業参入しやすくなったのだが、MVNO側が保有する設備の割合が小さいため、結果としてMVNO間のサービス競争の前提となる設備競争が難しくなり、価格も含めて横並びになってしまい、通信サービス以外の部分での競争に頼っている、というのが現在のMVNO市場の現状になっているわけだ。

そこでIIJは、NTTドコモとの2年にわたる協議を経て、接続約款や卸標準プランにはない接続形態として、SIMカードの発行・管理と、独自のシグナリングネットワーク、すなわち加入者管理機能である「HLR/HSS」と他の網からの呼制御信号を中継するゲートウェイ「STP/DEA」を自社のコアネットワークに持つかたちで管理することで合意に達した。これがIIJのいう「フルMVNO」だ。

フルMVNOではコアネットワーク部分もMVNOが準備する必要がある

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インデックス

目次
(1) MVNOがおかれている現状とは
(2) フルMVNO化してもユーザーのメリットは少ない?

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