ドラマ化された『アオイホノオ』の原作や、映画『シン・ゴジラ』の応援上映に現れて場を持っていくことでも有名な漫画家・島本和彦の『炎の転校生』が、映像配信サービス・Netflixによるオリジナルドラマ『炎の転校生REBORN』として、世界190カ国に配信された。

アイドルグループ・ジャニーズWESTの重岡大毅、桐山照史、中間淳太、神山智洋、藤井流星、濱田崇裕(濱は異体字)、小瀧望が主演を務める同作。原作の主人公・滝沢昇が校長を務める「種火学園」に集められた7人の"駆(カケル)" たちが、校長の指示のもと様々な学園に転校し、学校の問題を解決していく。それぞれが個性的なキャラクターを演じる突き抜けたコメディとなったが、李闘士男監督に話を聞くと、注目して欲しいのは7人の「かわいさ」だという。

■李闘士男
1964年5月13日生まれ、大阪府出身。日本大学藝術学部文芸学科在学中にドキュメンタリー番組の制作プロダクションに所属し、ディレクターデビュー。『とんねるずのみなさんのおかげです』『タモリのジャポニカロゴス』演出、『まごまご嵐』プロデューサーなどを務める。ドラマ作品に『明日があるさ』(01)、『熱中時代』(11)、『アゲイン!!』(14)、映画監督作品に『デトロイト・メタル・シティ』(08)、『幕末高校生』(14)など。

1番難しかったのはシゲオカ駆

――毎回、いろんな学園ものパロディのような作りになっているかと思いましたが、各回のテーマはどうやって決めていったんですか?

『炎の転校生』の原作の世界観とキャラクターで何ができるか模索しながら決めていきました。今、思い出せないくらい色々考えました(笑)。ヤンキーの回や女子校の回はあった方がいいよねとか、だったら誰が合ってるかなとか。プロレスやバレーボールは、『炎の転校生』だからスポーツものがいいよね、とか。方向性と、キャラクターにできそうなことと、設定の面白さ、三方向から考えましたね。でも実は、僕は特に学園ものを見ていたわけじゃないんですよ。だから「学園ものっぽくするなら」というイメージから作っている感覚が強いかもしれないですね。

でもキャラクターが、なかなか難しいんですよ。衣装合わせのときにメンバーと会って、決めていきました。例えば濱田君は最初あまり面白くなくて、「もっとやってみ」と作っていったら、「お前、昔の中井貴一さんみたいな男前やれるんちゃうか! ならルール守るカチッとしたキャラクターにしよう!」という感じで進めていきました。小瀧君のヤンキーは最初からイメージがあったんだけど、中間君、神山君、濱田君は、割と衣装合わせで探りながら作っていってます。

――1番難しかったのはどのキャラクターですか?

難しかったのは重岡君でした。普通というのはストーリー作るのにフックがないから、一番難しいんです。例えばフジイ駆だったらおもてなし設定の学園が面白いかな? と決まっていったけど、シゲオカ駆は普通の子だからなんでもいいし、なんでも合う。だから1話と最終話、最初と最後を担ってもらうことになりました。

――もともと藤井さんとは『アゲイン!!』でご一緒されてますが、他の6人についてもイメージはありましたか?

舞台やライブを見させてもらっていました。彼らは大阪の子だから、喜ばせようという気持ちが半端ないというのがわかるんです。年齢は僕よりはるかに若いけど、そこはリスペクトしました。あんまりブサイクな格好って嫌がる人もいるけど「全然いいですよ」って。かっこ悪いよりも、楽しんでもらえるなら「やる」という1点において僕は彼らをリスペクトしてたし、思い切って頑張ろう、中途半端なものはつまらないと思ってやっていました。

ただ「面白い」というのは主観だから、面白いと思ってもらえるかはわからない。だから1番大事なのは、彼らのかわいさですね。お前アホやろ! って言いたくなるかわいさでしょ? ツッコミながら見たら、楽しいと思いますよ。

――撮影中もつっこまれてましたか?

つっこんでました! どうやるのかも当日決めてたから、中間君にツッコミをさせて。

――中間さん、重要ですね。

あいつ、うまいんですよ。クールに、低いところからバシっと抑揚なくいくからいいの。ボケてる場合もありますけどね。