発表会でソニー 代表執行役 社長 兼 CEOの平井 一夫氏のもとに近寄るaibo

ソニーがペットロボット「aibo」を復活させた。前モデルから12年ぶりの再挑戦であり、ソニー 代表執行役 社長 兼 CEOの平井 一夫氏も「AIとロボティクスを組み合わせることで、新たな提案ができる。そのひとつがこの商品」と期待をのぞかせている。

では、過去の「AIBO」と今回の「aibo」は、どう違うのだろうか? 発表内容だけではまだ具体的になっていない部分も多いのだが、少し解説を試みてみたい。

新aiboは魂と個性をネットに記録する

過去のAIBOと最新モデルの違いについて、多くの人がまず気づくのは「外観」の違いだろう。AIBOは「犬型」と言われるが、実はこれまで、明確に「犬」と定義されたことはない。初代の「ERS-110」から世代を経るに従い、次第に犬っぽくなってはいったものの、あくまで「ロボット」という扱いだった。

それが復活したaiboは明確に「犬」とされている。その是非はともかく、狙うところは明確だ。ペットロボットとして「何かよくわからないもの」ではなく、「犬を模したもの」として扱われることを想定しているのだ。だが、もっとも大きな違いは「内側」にある。

aiboは現在のデジタルガジェットらしく、通信を内蔵する。無線LANはもちろん、SIMカードスロットも備え、LTE網に直接接続する。本体購入と同時にネットワークサービスである「aiboベーシックプラン」に加入して利用する。常時ネットワークに接続することが前提の商品であり、クラウド上のソフトウェアとaibo内のソフトウェアが連携し、ペットとしての特質や知性を実現することになる。

aiboの開発リーダーである、ソニー 執行役員 ビジネスエグゼクティブ AIロボティクスビジネスグループ長の川西 泉氏は、「aiboの本体はクラウド側にある」と話す。aiboの個性を含むすべての情報はクラウド上に保管されており、それが逐次「メカとしてのaibo」にもダウンロードされて使われている。

クラウドと協調してaiboが育つ。そのデータはクラウド上でほかのaiboのデータと組み合わされ、さらに次の進化の"糧"となる構想も持つ

スマホの中からaiboに触れるアプリも提供されるのだが、この中で動くのはクラウド上にある「aiboそのもの」と同じデータだ。だから、スマートフォンやWebの画面を介して触れるaibo、そして自宅で触れる「モノのaibo」も、個性や存在としては同じものである。

仮にaiboというハードウエアが故障したり、新しいモデルが登場したりしても、ネットワーク上に保存されたaiboをダウンロードすれば、ふたたび「自分が暮らしたaibo」が戻ってくる。どこかSFめいているが、新aiboは「魂と個性をネットワーク側に持つ」存在なのだ。

アプリ上でも家のaiboと同じ「私だけのaibo」と触れ合える