男性声優によるラップソングプロジェクト『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』1st LIVEが、11月4日、東京・池袋サンシャインシティ噴水広場にて行われた。本イベントは、11月3日から2日間にわたり開催された「アニメイトガールズフェスティバル2017」内で行われたもの。記念すべき初ライブの模様をお届けする。

『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』

『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』は、12人の男性声優によるラップソングプロジェクトだ。

登場人物は4つのディビジョンに分かれており、1st LIVEにはイケブクロ・ディビジョンから山田一郎役の木村昴、山田二郎役の石谷春貴、山田三郎役の天﨑滉平、ヨコハマ・ディビジョンから碧棺左馬刻(アオヒツギ サマトキ)役の浅沼晋太郎、シンジュク・ディビジョンから神宮寺寂雷(ジングウジ ジャクライ)役の速水奨、シブヤ・ディビジョンから飴村乱数(アメムラ ラムダ)役の白井悠介が登場した。

ターンテーブルが中央に設置されたステージには、開演前から多くの人が集まっており、早くも熱気に満ちていた。大音量で流れる本作のアンセムソング『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』へ、客席から自然とコールが発生する様子からは、ファンの期待の高さが伺えた。

DJがレゲエホーンを鳴らすと、スクリーンに登場したのはラッパーのUZI。昨今の日本語ラップブームを牽引するテレビ番組『フリースタイルダンジョン』に出演する彼から、番組でおなじみのフレーズ「かませー!」が繰り出され、キャスト6名が歓声の中ステージに登場する。

まずは名刺代わりの1曲、「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」を6人のマイクリレーで披露。ひとりひとりのパートにそれぞれ大歓声が響き、1st LIVEとは思えない熱狂が巻き起こった。オープニングトークでは、今までラップをやった経験は? という話題に対し、速水が「してましたよ。ご飯を炊いて…」と低音ボイスでちゃめっけたっぷりの回答。

また、『ヒプノシスマイク』の印象について、木村は「小学校のころからラップが好きだったので、僕としても、きたーって感じです!」と作品に関われたことの喜びを叫ぶ。『フリースタイルダンジョン』ファンであることを公言する天﨑は、オープニングに登場したUZIのVTRに、「あの、”かませー!”が聞けて嬉しかったです!」と興奮した様子だ。

最初のコーナーは、「初めてのヒプノシスマイク」として、作品世界の紹介が行われた。武力が完全に排除された世界で、『ヒプノシスマイク』を通したラップで領土をかけたバトルが行われる本作。「武力ではなくてスキルを磨いて競い合うというのは、リアルなヒップホップの歴史をそのまま作品にしているようなところもありますね」と、木村は解説する。

また、浅沼の提案によりヒップホップカルチャーで用いられる「ウェストサイド」や「イーストサイド」のハンドサインを、ファンへレクチャーすることに。指でWをつくり会場全体で「ウェッサーイ!」と叫ぶと、木村は「お客さんにこんなことをレクチャーする日がくるとは思わなかった!」と笑った。

各ディビジョンを紹介するパートでは、イケブクロ・ディビジョンの3人が兄弟のように息ぴったりであることを主張。しかし、浅沼から「じゃあ試してみよう。ラーメンといえば何味?」と問われると、全員ばらばらの回答をしてしまう。会場からは笑いが巻き起こった。

速水によればシンジュク・ディビジョンはイケブクロとは正反対に「チームワークがない!」とのこと。また、ホストのキャラクターである伊弉冉一二三(イザナミ ヒフミ)(CV.木島隆一)は、ホストのコスチュームを身にまとっていない時は気弱な性格をしているという設定も明かされ、ギャップの大きさにファンからは悲鳴が。

続いてコーナーは、ラップバトルが盛り込まれた朗読劇へ。浅沼は左馬刻としてドスの効いたラップで相手を圧倒し、白井は乱数としてキュートな高速ラップを披露。また、乱数は「めっ!」とかわいく一郎と左馬刻の争いを制したりと、シナリオの部分でもファンの黄色い声をさらっていった。

朗読劇はイケブクロ・ディビジョンのファーストライブへの流れを生み出し、満を持して3兄弟のライブがスタート。まず、石谷が「センセンフコク」で力の限りがなり、タイトル通り観客を挑発。

続いて天﨑が「New star」で、石谷とは対照的な静のグルーヴを作り出す。二人がライブをしている間、後ろにいる木村も「プチャヘンザ!」と客席を煽り、弟たちへのアシストを見せる。

最後に木村が「とりあえずワケわかんなくてもブチあがっとけ!」と客席に吠え、「俺が一郎」を熱くパフォーマンス。

一郎のハンドサインとして人差し指を立てるポーズを見せると、ファンもペンライトを振ることをやめ、それに呼応する。広場の4階までびっしりの観客が、みな天井へ向かって人差し指を掲げて揺れる光景は圧巻であった。

ライブ終了後は、今後の『ヒプノシスマイク』を盛り上げるクリエイター陣がVTRで登場。ラッパーのサイプレス上野、HOME MADE家族のKURO、そしてUZI、さらにオリエンタルラジオの藤森慎吾までもが参加するという。

サイプレス上野は11月15日にリリースされるヨコハマ・ディビジョンの左馬刻の楽曲「G anthem of Y-CITY」の作詞として参加。「声優さんのラップは声の演技力がやっぱりあるので、それがラップに乗ったときのパワーがすごい。ラッパーではない方がやったほうが新しいものが生まれる可能性があるので、型にはまらずかましていって欲しいです」とコメントした。

また、KUROは同じくヨコハマの入間銃兎(イルマ ジュウト)(CV.駒田航)「ベイサイド・スモーキングブルース」の作詞作曲を担当するという。「銃兎は”私”と”俺”を使い分ける二面性のあるキャラクター。歌詞の一人称も1番と2番で分けてみました。キャラクターに乗って自分が普段やらないフロウやリリックを盛り込めたのが楽しかったですね」と制作を振り返る。

藤森は作詞としてシンジュク・ディビジョンの伊弉冉一二三の楽曲に参加。「プロのラッパーではないので、技術云々よりもノリ、聴き心地のよさを重視しました。非常にチャラく、でも熱い部分もあるものになっています」と、自信をのぞかせた。

エンディングでは、キャストそれぞれが作品の今後の展開に思いを馳せたコメントを残す。石谷は、なんとこれが初ライブであったことを明かしていた。

これで終了と思いきや、最後に再び『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』を披露。木村は自パートで歌詞が飛んでしまったようだが、その場で「楽しんでるやつはとりあえず手みせてくれよ」即興のラップ。まさにフリースタイルが生まれた瞬間に、ファンも熱狂の声を上げた。

大盛り上がりのうちにイベントは終了。まだ、誰も見たことがなかった男性声優のラップによるライブに、集ったファンも興奮さめやらぬ様子だった。

2018年1月21日にはリリース記念イベントも決定した『ヒプノシスマイク』。前代未聞のプロジェクトに、これからも目が離せない。