「第45回 東京モーターショー2017」が開幕し、10月28日から11月5日まで一般公開される。計153社・団体が参加した今年の東京モーターショーでは、国内・海外主要メーカーのコンセプトカーや最新モデルに目が行きがちだが、バスだってすごい! 当レポートでは東京モーターショーの会場で見た、バスの展示車両について紹介したい。

東京モーターショーのトヨタブースに展示された「SORA」

トヨタ「SORA」は2020年までに100台以上導入予定

まずはトヨタの燃料電池バス(FCバス)のコンセプトモデル「SORA」から。「受け継がれていく街のアイコン」をコンセプトに開発された同車は、燃料電池「トヨタフューエルセルシステム」を採用。水素と酸素の化学反応によって発電し、走行時に二酸化炭素や環境負荷物質を出さない設計となっている。車両後方の上部に設置された燃料電池は大容量外部給電システムを搭載しており、災害時に電源として利用することも可能(供給電力量は約235kWh)。体育館1つの避難所に対して、4~5日分の電力を供給できるという。

燃料電池「トヨタフューエルセルシステム」を採用

バス上部に水素タンクが積まれている

バス後方の上部で発電する

約600L分の水素をストックできる

バス後方部には供給用のプラグがある

車両の全長は10.525m、全幅は2.49m、全高は3.34m。従来の路線バスに見られる箱形から脱却するべく、大きく異なる立体的な造形としている。車内もステップを減らすなど、多くの人が利用できる車両をめざしたとのこと。ベビーカー・車いすスペースに自動格納機構付き横向きシートも新設。普段は映画館の席のように折りたたまれており、ベビーカー・車いす利用者がいない場合は一般利用者も座ることができる。定員は乗務員含めて79人で、座席数は22席とされている。

従来の箱型から脱却したというデザイン

段差を低くし、誰でも乗り降りしやすくやすくなった

ベビーカーや車いすのスペースに自動格納機構付き横向きシートが新設されている

走行時の安全にも配慮し、変速ショックのないモーター走行と、急加速を抑制して穏やかに発進できる加速制御機能を採用。車内で立っている乗客のことも考えている。ドライバーの死角にはカメラを設置し、バス周囲の歩行者や自転車を検知して、音と画像で知らせてくれる。ゆくゆくはバス停への自動正着機能によって、バス停とバスの隙間を約3~6cm、バス停車位置から前後約10cmの精度で停車可能になるそうだ。

ドライバーの死角となる前後左右にカメラが設置されている

2020年東京五輪をイメージしたバス停も特別に用意された

「SORA」の市販型は2018年から販売開始を予定しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上を導入するという。モーターショーの会場には「SORA」に合わせたバス停もあり、五輪開催中をイメージした映像が半透明ディスプレイに写されていた。

トヨタ「SORA」の外観・車内など