乳幼児のうちから子どもに習い事をさせる親は増えているよう。さまざまな選択肢の中から、どんな習い事を選ぶべきか悩んでいるママ・パパは多いかもしれません。

そこで今回は、小児科医で1人の女の子のママでもある竹中美恵子先生に、乳幼児期にお勧めの習い事を教えていただきました。

乳幼児期にお勧めの習い事って?(画像はイメージ)

Q.乳児期に習い事をさせるとしたら、先生はどんな習い事をお勧めしたいですか?

乳児は言葉で自分の意思を伝えられないので、どのような習い事が向いているのか、見極めるのは難しいですよね。私としては、親と子どもがたくさん触れ合える習い事をお勧めしたいと思います。

スキンシップをたくさんとってもらった子どもは、愛情をしっかりと受け取っている分、自己肯定感が強くなりその自信から身体能力や知能が発達しやすくなることが分かっています。またスキンシップをとることは、情緒の安定にも効果があります。

例えばですが、赤ちゃんを抱っこして親子で参加できるベビースイミングや、ママ・パパの習い事にはなりますが、赤ちゃんとの肌の触れ合いがあるベビーマッサージなどはお勧めできると思います。

Q.そもそも、この時期に習い事をさせることに意味はあるのでしょうか?

赤ちゃんの頃から習い事を始めると、さまざまな物事に早く慣れることができます。例えばベビースイミングに通えば、学校などで習うより早くプールでの活動に親しめますよね。

またママ・パパにとっても、習い事の教室で新たな人間関係ができる、居場所が増えるなどメリットがたくさんあります。親子で楽しみながら通うことが大切だと思います。

Q.幼児期ではどんな習い事がお勧めですか?

運動神経は9歳までにおおよそ決まると言われているので、運動神経を伸ばせるような習い事をすると良いかもしれません。

その点で、マット運動や平均台などを使って全身を鍛える体操、持久力を高めて肺を鍛える水泳はお勧めです。

また、手指を動かすと脳が活性化するという点から、ピアノもお勧めしたい習い事の1つです。想像力や音感も鍛えられるので、子どもにとってはとても良い効果があると思います。

Q.習い事を選ぶ際、子どもの希望は大切にした方がいいでしょうか?

子どもの「やってみたい」という気持ちを最優先して良いと思います。笑うことが多いと、精神の発達にも良い影響があることが分かってきています。ですから、子ども自身が楽しんでできると良いですよね。

ただ、習い事のやりすぎには注意が必要です。予定を詰め込みすぎると、心身ともに未熟な乳幼児が疲れてしまう可能性があります。精神的に負担がかかることも懸念されるので、子どもの様子をしっかり見てあげましょう。

Q.喘息の子には水泳を習わせるといいと聞いたことがあるのですが、本当ですか?

「息を吸って、一旦止めて、吐く」という正しい呼吸法が身に付けられる点でメリットがあると思います。

私たちはこの呼吸法を何気なく日々の生活で行っていますが、喘息を持っていると、気管支が収縮してうまく吸ったり吐いたりすることができなくなり、特に"吐けない"悪循環が起こってきます。それを解消するためには、吐く前に"息を止める"という行為が非常に大切になります。息を止めることで肺の内圧が十分に上がり、吐く行為が楽にできるようになるからです。

水中から顔を出したタイミングでしか呼吸ができない水泳は、正しい呼吸のタイミングを教えてくれるだけでなく、しっかりと息を吸い込み肺にためこむ時間を作ることもできます。その結果、気道が広がり呼吸が楽になることも期待されます。

Q.アトピー持ちの子でも、水泳は習って大丈夫でしょうか?

アトピー性皮膚炎は、汗が長時間にわたって肌に滞留することで悪化する傾向にあります。普通の運動では汗をかいてもなかなかすぐに拭き取りきれず、かゆみが出てきてしまう可能性がありますが、プールの中では汗が流されるので、その点ではお勧めできると思います。

ただ、プールの水に含まれている塩素が皮膚のかゆみの原因になってしまうケースがあるので注意が必要です。そのため、プールを使うとしても皮膚の弱い子にも対応しているようなプールを選ぶこと、そしてプールを終えた後は必ずシャワーで皮膚に付いている塩素を流してあげることが大切です。

Q.習い事を決めるにあたって、一番重要なことは何だと思いますか?

子どもが楽しんでできることが一番重要だと思います。自分のやりたいことに関しては、人の能力は必ず上がる傾向にあります。子どもの自主性を尊重してあげられるといいですね。

また、習い事は何かを習得するだけでなく、人間関係を広げ、築き、社会性を育む練習ができる場所でもあります。親子でさまざまな人たちに出会い、コミュニケーションを取ることも大切にしてもらえたらと思います。

竹中美恵子先生

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会、日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会に所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。