決算会見に臨むNTTドコモの吉澤和弘社長

NTTドコモが26日公表した2017年度第2四半期連結決算(4-9月)は、営業利益が5,488億円で前年同期比6.3%減となった。数値上は不調に映るが、償却方法の変更等による影響が主因で計画どおりのようだ。

決算の中身は?

営業収益は2兆3001億円で前年同期比0.5%増だった。セグメント別の営業収益では通信事業が1兆8708億円で前年同期比142億円増、スマートライフ領域が4454億円で同16億円増と、ともに増収を達成。営業利益では通信事業が4,744億円で同504億円減、スマートライフ領域で744億円で135億円増となる。

スマートライフ事業において営業収入が減っているのは、子会社の取引形態の変更に伴う計上方法の変化によるもの。このあたりは、第1四半期にも同様の説明がなされており、決算数値を見る限り、大きな変化はないようだ。

通信事業の営業利益減少は償却方法の見直し、スマートライフ領域で減少しているのは子会社の取引形態の変更に伴う計上方法の変化によるものだという

順調に成長

今回の決算も前回に引き続き、特殊要因により、不調に見えるというのがドコモの説明。それ以外において、ドコモが公表する各種指標においては、順調に生長していることが伺える。

通信事業は、携帯電話契約数の増加を図りつつ、1契約当たり売上のARPUを伸ばすことが基本となる。携帯電話契約数(MVNO契約数や通信モジュール等を含む)は7536万契約で前年同期比3%増。スマホ・タブ利用数は3709万契約で前年同期比9%増となっている。ARPUは前年同期比290円増の4,710円。ARPR上昇のために近年は固定回線の「ドコモ光」の契約数増加に力を入れており、今回の決算でも前年同期比約1.7倍の418万契約になったことが明かされた。

スマホ・タブ利用数およびドコモ光も順調に伸びている

結果としてARPUは増加

スマートライフ領域も公表されたデータからは、dカード契約数、dポイントクラブ会員数など各種指標が伸びていることを示す。説明を受けての印象はすべてが当初計画どおりであり、面白みに欠ける決算だったとしか言えない。

dカード契約数など金融・決済サービスも順調な成長を遂げているという

依然として経営環境は厳しい

ただし、取り巻く環境は厳しいことに変わりはない。実質ゼロ円でのスマートフォンの販売の禁止、MVNOの台頭により、以前にも増していかに長期利用者を増やすかが重要になっている。実質ゼロ円販売の禁止に少し踏み込めば、かつてスマホの購入補助として充てられた予算は、お客さま還元の予算に振り分けられ、ドコモが長く付き合いたい顧客への還元策として使われている。たとえば対象端末の購入で永年月額1500円を割引く「docomo with」もその一環となる。

ドコモのお客さま還元の具体例

決算数値に驚きはなくとも、これまでの施策を見るに知恵を絞り、対策を講じてきた結果であり、それがなればまた別の数字になっていただろう。そう考えることで、ドコモの決算は少しだけ見方が変わるのではないだろうか。