実は、ギリギリまでSurface Proを購入するか否か悩んでいた。それはSurface Laptopの存在だ。新Surface Proなど、2in1 PCの大きな弱点は、机上でないと使いにくい点である。

新Surface Pro ロードテスト

【第1回】どれだけ使える? 気になるバッテリーの持ち具合
【第2回】SurfaceペンとSurface Arc Mouseは必須か?
【第3回】漂う高級感! 満足度高し! Surface Pro Signatureタイプカバー
【第4回】机が欠かせないのが唯一の欠点!?
【第5回】3:2のディスプレイを並べて作業効率アップ!

第1回で筆者が新Surface Proを使う主なシーンを述べたが、発表会の類いは、開催場所によって机がないケースも珍しくはない。そこではひざを並べて閉じ、新Surface Proのヒンジ角度を調整しながらキーボードを叩くのだが、これがなかなか厳しい状況なのだ。さらに、登壇者やスライドの撮影という動作も加わるため、訪れて机がない会場だとガッカリしてしまう。このような理由から、Surface Laptopにも食指を動かしていたわけだ。

日本でも発売済みのクラムシェル型「Surface Laptop」

当時、Surface Proの発売日は2017年6月15日、Surface Laptopは7月20日と、1カ月以上の開きがあった。Microsoftが5月上旬に米国で開催した発表会で悩み出し、5月26日の日本マイクロソフトによる発表会の帰り道、スマートフォンでSurface Proを注文し、現在にいたる。今のこの瞬間も、2in1 PCの欠点である「ホールド感のなさ」は悩みの種だ。

改めて整理すると、2in1 PCはSurfaceシリーズのように、タブレットPC本体とカバーキーボードを組み合わせた「ピュアタブレット型」(*)と、Lenovo YOGAシリーズのようにヒンジ部分が回転/スライドする「コンバーチブル型」に大別される。

(*)タブレットPC本体とキーボード部分が分離合体するタイプは、デタッチャブル型とも呼ばれる。

新Surface Proは机上であれば、快適にキーボードを叩ける優れたデバイスだ。Surface Proシリーズとタイプカバーに触れたことがあればピンと来るかもしれないが、キーを強めに叩くと打鍵音が鳴り、場面によっては迷惑になってしまうことも。その際はマグネットの折りたたみ部分を倒せば(キーボード面の傾斜をなくせば)、キーストロークは浅くなるが打鍵音は静かになる。

Surface Pro Signatureタイプカバーの、ディスプレイ部分にくっつくマグネット部分を外すことで、打鍵音を抑えられる。静かな会場ではタイプカバーの打鍵音はけっこう目立つのだ

ひざ上で使う場合、そのような余裕は生まれない。このあたりは新Surface Proというよりも、ピュアタブレット型に共通するものだ。ひざ上での利用時は、空間が許せば、キックスタンドで組んだ足を挟むようにすればある程度安定する。

つまるところ、新Surface ProはPCとしての完成度は高まったが、ピュアタブレット型のデメリットは残ったままという結論だ。タブレット的な用途が必要ないのであれば、2in1 PCではなく「クラムシェル型」を選択すべきという、既存の声を覆すことはできないのではないだろうか。

では、新Surface Proを購入して後悔しているかと問われれば、決してそうではない。Surface Proには「Microsoftの公式PC」という安心感があるし、クラウド経由のOSリカバリーや、ファームウェアとOSの相性など利点が多い。他社製の2in1 PCもいくつか検証してきているが、価格設定を無視すれば、2in1 PCというカテゴリーでは新Surface Proに軍配が上がる。

こちらはSurface Pro 4時代にキャプチャーした画像だが、クラウド経由でOSを復活できるのは大きなアドバンテージ

筆者の新Surface Proは第7世代Intel Core(Kaby Lake)モデルだが、仮にMicrosoftが第8世代Intel Core搭載のPCをリリースするとしたら、やはりSurface ProかSurface Laptopのセカンドモデルで悩むだろう。ただ"今"本気で狙っているのは、日本マイクロソフトが2017年秋に詳細を発表するLTE対応モデルだ。

阿久津良和(Cactus)