多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『"スマートフォンの電源はハイブリッド"ってどういうこと?』という質問に答えます。

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現在のスマートフォンは、その多くがリチウムイオン(ポリマー)二次バッテリーを主要電源として利用しています。リチウムイオンバッテリーに充電し、そこから電力を取り出しSoCやディスプレイ、通信機器を駆動しているのです。少なくとも2017年の時点では、スマートフォンの電源といえばリチウムイオン電池、そう考えてほぼ間違いありません。

しかし、リチウムイオンバッテリーだけではうまくいきません。アプリの起動など急激に負荷が上昇する処理、言い換えれば”瞬発力を必要とする処理"を行う場合、瞬時に放出できる電荷の量が少ないリチウムイオンバッテリーだけでは無理があります。充放電サイクルが一定でなくなるため、バッテリーの寿命にも悪影響が生じます。

そこで多くのスマートフォンに採用されているのが、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor)です。蓄電池の一種であるキャパシタには用途に応じたさまざまな種類が存在しますが、急速充放電が可能で充放電サイクルが長く、他のコンデンサに比べ容量が大きいEDLCをスマートフォンではアシスト役として活用しています。

EDLCを含むキャパシタは電気の蓄積と放出の効率に優れ、繰り返し利用してもほとんど劣化しません。質量あたりの蓄電容量はリチウムイオンバッテリーと比べ大きく劣るため主要電源にはなりえませんが、高負荷/低負荷の処理を繰り返すスマートフォンでは、リチウムイオンバッテリーとEDLCを組み合わせることで、出力を安定させるとともに急激な負荷の変化にも対応できるようにしています。異なる性質/材質の電源を使うという意味では、まさにハイブリッド電源といえるでしょう。

EDLCは用途に応じたさまざまな種類が存在します