ランボルギーニが日本に輸入され始めてから今年で50周年を迎える。10月20日に東京プリンスホテルで開催された記念行事「Lamborghini Day 2017」には、「カウンタック」や「ミウラ」など往年の名車が大集合し、日本におけるランボルギーニ人気の高さを示した。ランボルギーニにとっても、日本は重要な市場だ。

「Lamborghini Day 2017」には「カウンタック」や「ミウラ」、「エスパーダ」などが集結

日本50周年の特別仕様車は完成前に完売

ここ最近、日本ではランボルギーニの販売台数が伸び続けている。日本自動車輸入組合の統計によると、ランボルギーニ新規登録台数は2013年の190台が2016年には382台と倍増。「Lamborghini Day 2017」に登壇したアウトモビリ・ランボルギーニのフェデリコ・フォスキーニCOOによると、2017年は400台を超えて過去最高を達成できそうな情勢だという。販売台数で日本は、米国に次ぐ世界2位の規模となっている。

イベントでは先日のフランクフルトモーターショーで世界初公開となった「アヴェンタドール S ロードスター」のアジア初披露が行われた。このクルマは最大出力740馬力の6.5リッターV12自然吸気エンジンを搭載。時速0キロから100キロまではわずか3.0秒で加速するという。

ランボルギーニでは日本50周年を記念し、「火」「水」「地」「風」「空」の5大元素をテーマにした世界に5台という特別仕様のアヴェンタドール S ロードスターを製造。イベントで発表となった時点ですでに完売しているという状況から見ても、日本に熱量の高いランボルギーニファンが存在することがうかがえる。

展示されたのは「水」をテーマとする「アヴェンタドール S ロードスター」だった

アウトモビリ・ランボルギーニでアジア・太平洋地区の代表を務めるアンドレア・バルディ氏に聞いた話によれば、この5台は完成前に買い手が決まっていたとのこと。これら5台のクルマを手に入れる日本のオーナーは全員、写真を見ただけで購入を決断したそうだ。

色味の異なる青のグラデーションが印象的。バルディ氏によると複数のレイヤーで表現した独特な塗装だそうで、「修復するのが難しいので引っ掻き傷はつけないで(笑)」とのことだった

SUV「ウルス」がゲームチェンジャーに

スーパーカーブームがあった日本のことだから、現在のランボルギーニ所有者の中には、昔は「消しゴム」の形で持っていた憧れのクルマを、大人になってから購入したという人も一定数はいると思われる。ただ、憧れから購入への流れが今後も続くかどうかを考えると、若者のクルマ離れという言葉をよく耳にする状況から見れば難しそうな気もする。

ただ、ランボルギーニも時代の変化に対応する姿勢を見せている。それを端的に物語るのが、同社が2017年12月に発表を予定するSUV「ウルス」だ。イベントに登壇したアウトモビリ・ランボルギーニのステファノ・ドメニカリCEOによれば、同社ではウルスを「ゲームチェンジャー」と呼んでいるそう。このクルマの生産に向け、ランボルギーニでは工場の生産能力を倍増させる投資を行った。

画像左端(とスクリーン上)がドメニカリCEO、右から2人目がバルディ氏

スーパーカーの世界には、SUV生産に否定的な見解を示すメーカーもあれば、ランボルギーニのように未知のセグメントに踏み込むメーカーもいる。クルマの需要がセダンからSUVへとシフトしていると言われる中、ランボルギーニが「スーパーSUV」と表現し、「不可能を可能にする」をスローガンに世に問うこのクルマが、市場にどんな反響を呼び起こすかは興味深いところだ。SUVは競争が激しいセグメントだが、ドメニカリCEOは「他とは違いニッチな“上”の部分に参画」するとして、差別化を望むユーザーにウルスをアピールしていく姿勢を見せていた。