【インタビュー】

渡辺信一郎監督が語る『ブレードランナー』の革新性とアニメ表現への影響 - もはや現代の神話、とにかく一度見るべき

現在でもカルト的な人気を誇り、"SF映画の金字塔"と言われる映画『ブレードランナー』(1982年)の続編『ブレードランナー 2049』が、10月27日より公開される。その公開を前に、『ブレードランナー 2049』へ至る"空白の30年間"を描く3つの短編が発表された。

『ブレードランナー ブラックアウト2022』を手掛けた渡辺信一郎監督

その中で、第1作として2022年(『ブレードランナー』舞台の3年後)に起きた大停電を描いた『ブレードランナー ブラックアウト2022』を手がけたのは、『カウボーイビバップ』『サムライ・チャンプルー』で知られる渡辺信一郎監督。CygamesPictures制作のもと、キャラクターデザイン・作画監督に『機動戦士ガンダムF91』『新機動戦記ガンダムW』の村瀬修功氏、原画には沖浦啓之氏、大平晋也氏ら日本を代表するスタッフとともに原点『ブレードランナー』直後の世界を作り上げている。

『ブレードランナー』は一見とっつきにくく思われるところもあり、さらに『ブレードランナー 2049』はその世界観を前提とされているものなので、渡辺監督がその世界への橋渡し役を務めていることは日本の視聴者にとっては心強い。そして新作を楽しみにしている『ブレードランナー』のファンにとっては、3作の短編を見ることで、より『2049』を楽しめる仕掛けになっている。自身の作品作りにおいても同作から多大な影響を受けているという渡辺監督に、『ブレードランナー』の魅力と、監督作『2022』の見どころについて訊いた。

――監督は以前より作品作りにおいて『ブレードランナー』からの影響について言及されています。1982年の映画で、監督がクリエイターとしてアニメに携わるよりも前の作品だと思うのですが、ご自身が初めて作品を見たときの感想はどのようなものでしたか。

それまでのSF作品がどこか現実離れしていたのと違って、まるで未来の出来事を現実にあったことのように描いていて、"未来のドキュメンタリー"のようだと感銘を受けました。

――今回は制作にあたり、豪華なスタッフが参加していますが、スタッフィングはどのような形で決まったのでしょうか。

アニメ界には多くの『ブレードランナー』ファンがいますので、そのメリットをフル活用してスタッフ集めをしました(笑)。

――実際にアニメ作品制作の上で、「ストーリーテリング」「演出」「撮影」「音響」など影響を受けている点はどんなところでしょう。

いろいろありますが、ひとつ挙げるなら音楽の使い方、とくに"アクションシーンでも感情的なムード優先の音楽がかかっている"ところは新しかったし、影響を受けたと思います。

――今回は、『ブレードランナー』後の物語であり、『2049』の前日譚を描くショートストーリー3作の1作目という位置づけでしたが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とは何かやりとり、話し合いはあったのでしょうか。

ドゥニ監督にはブダペストでの撮影中に会いました。リドリー・スコット監督からいろいろあーしろこーしろと言われてるのかなと思って聞いてみたら、ほどんど任せてもらっていると言っていました。なんかリドリーは『エイリアン・コヴェナント』の撮影が忙しくてこっちにあんまり来れない、という理由もあるみたいだけど(笑)。それと同じように、アニメ版のほうもあーしろこーしろ言わず君に任せるから、と言ってもらえたんで、けっこう自由にやらせてもらいました。

――今回、『2049』の背景となる「ブラックアウト事件」と、「タイレル社製レプリカントの全滅」がストーリーに盛り込まれていたのですが、それ以外に『2049』へ至る設定として描くべき課題はあったのでしょうか。

最後のテロップにある「ウォレス社が新たなレプリカントを作り始める」というくだりは、短編『2036: NEXUS DAWN』につながっていくものです。またレプリカントのデータ画面にチラッと映っているサッパー・モートンというキャラは、もうひとつの短編『2038: NOWHERE TO RUN』に出てきて、『2049』にも登場するキャラなのでそのあたりを意識して見てもらうと面白いと思います。

――「カランサの戦場」の描写では荒々しい手描き風の描写や、激しいアクションシーンなど、ほか短編2作とは異なる演出が目を引きました。そういった点はあえて意識して取り入れられたのでしょうか。

世界のアニメーションがどんどん手描きから3Dに取って代わられる中、日本のアニメーションの持つ最大のアドバンテージは手描きの凄腕のアニメーターが現存するということなので、彼らの持つ国宝級の技術を最大限に生かすように意識して作りました。

――『ブレードランナー』を見たことのない世代に向けて、『ブレードランナー』の魅力、そして『2022』の見どころをお教えください。

最初の『ブレードランナー』はもはや現代の神話、聖書のようなものなので、時間がないだのレンタル代がないだのケチな事はいわずとにかく一度見るべきだと思いますね。そして『2022』を見て準備したあと『2049』を見ると、きっと人生が豊かになると思いますよ。なんか怪しい宗教の勧誘みたいですが(笑)。

(C)2017 ALCON ENTERTAINMENT

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