キャリアの戦略を変える力も?

ところで、ドコモにとって自社企画のスマホはロイヤリティ収入にとどまらない大きな意味を持つ。ドコモを初め大手キャリアが抱える課題として、格安通信のMVNOにいかにユーザーが奪われないようにするかがある。その対策のひとつが「M」となるように思われるからだ。

通信事業者を選ぶ際、かつては大手キャリアを選ぶべき理由があった。Xperiaを使いたいならドコモがいい、iPhoneを使いたいならソフトバンクがいい、と人によって様々だったはずだ。しかし、どのキャリアも同じような端末を扱うようになり、選ぶ理由はほぼなくなった。

さらに、総務省のガイドラインにより、端末の実質負担額をゼロにすることは許されなくなり、SIMロック解除までの期間も短くなった。つまり大手キャリアを選ぶ理由が年々薄れているのが現状である。通信料金の安いMVNOに乗換えが進むのは自然なことだ。

「M」の登場はこうした現状を少しでも変えるための戦略と考えられそうだ。尖ったコンセプトを持ち、万人ウケすることはないだろうが、響く人には響く端末となるだろう。そうした選択肢はドコモを選ぶ理由にもなるわけだ。とはいえその効果がわかるのは、発売予定日となっている2018年1月以降となる。「M」のような尖った存在は、ドコモにとって新たな戦略となりうるだろうか。