【レポート】

河森正治監督が最新作『重神機パンドーラ』に込めたテーマともう一つの挑戦

河森正治監督

昨年「Anime Expo 2016」にて始動が発表されていた河森正治監督の最新プロジェクト「THE NEXT」が、17日に行われた「河森正治 NEW PROJECT BRIEFING」でついにそのヴェールを脱いだ。その名も、『重神機パンドーラ』。「マクロス」や「アクエリオン」で知られる河森監督の完全オリジナル作品となる。

イベントで河森監督は、時代の変化の速度と技術革新の速さ、特に「人工知能(AI)」について言及。『パンドーラ』では、いままでは謎とされてきた、"パンドラの箱"ともいうべきテクノロジーの謎が明かされた時代において、人類はその社会の進歩の驚異的な速度に対して何ができるのか、そして残された希望は何かがテーマになっているという。作家としても、現実がSFに追いつき、AIも物語を生み出すことができる時代において、オリジナルSF作品を世に送り出すこと自体が一つの挑戦。河森氏は、「昨年の発表から今までで、作品が技術に追い越されないか心配でした」とはにかんだ。

『パンドーラ』は、次世代エネルギー装置「量子リアクター」が暴走し、未知なるエネルギーをまき散らし爆発した「翔龍クライシス」によって環境が激変した世界を舞台に、絶対防衛都市ネオ翔龍のはずれで暮らす、追放された天才科学者レオンとレオンを支えるクロエを中心にして物語が展開される。レオンは「翔龍クライシス」で生まれた特異進化生物「B.R.A.I」に対抗するべく独自の研究を行っている。作品では、レオン役を前野智昭、クロエ役を東山奈央が担当。人口が激減し、血縁関係だけでは家族を構成することが難しくなった世界で、"家族契約"を結んで一緒に暮らす二人の関係も、今作ではテーマの一つになっているようだ。

制作には、アニメーション制作にサテライト、監督に佐藤英一氏、シリーズ構成に根元歳三氏、キャラクター原案に江端里沙氏の名前が並ぶ。佐藤氏について河森監督は「ディープな内容かつエンターテインメントなものが得意」と紹介。一方で、根元氏については、「とにかく怪獣映画が大好きで、ロボットものなのだけど怪獣映画のテイストを入れている」と、その好みが作品にも影響を与えていることを明かした。江端氏が描くキャラクターは、『マクロスプラス』並みの大人の年齢設定で物語を展開する狙いがあるという。

河森監督といえば、劇中に登場するメカニックにも注目が集まるが、『パンドーラ』では戦闘機ではなく車両をモチーフにした多目的可変型ビークル「MOEV(モーヴ)」が登場。公開されたPVでは、その変形を一瞬目にすることができる。さらに、「マクロス」でおなじみとなっていた「歌」は、今回は登場しないという。河森監督は、「歌を使わない戦闘シーンが久々なので、どうやって盛り上げるんだろう?と。こちらも一つの挑戦ですね」と笑顔を見せていた。さらに「アニメより特撮テイストで、ロボットものとヒーローもののあいだを意識しています」と、その表現にも新たな挑戦が込められているようだ。

「翔龍クライシス」の発生はそう遠くない未来の2031年。それから7年後の世界で物語は展開されている。舞台のモチーフになっているのは中国大陸で、河森監督は「中国のいろんな都市をまわって、その激変ぶりに驚きました。"変化の速度に追い立てられている"ということを表現できるのではと思った」と、その構想について語った。

最後に河森監督は、「時代に追いつかれないようにスタッフも進化して頑張っている」とコメント。さらに会見後、関係者に向けて「アニメだけが原作で、玩具やコミックが派生としてあるのではなく、みんなの心の中に原作があって、玩具やコミックもそれぞれのメディアにおけるオリジナルなのだと思っています」と語りかけた。

TVアニメ『重神機パンドーラ』は2018年春より放送される。

(C)2017 Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

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