インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月7日(大阪)と14日(東京)、MVNOや格安スマホについてのトークイベント「IIJmio meeting 17」を開催した。日本のインターネットの礎であり、MVNOの中でも特に「濃い」ことで知られる同社のイベントではどのようなことが語られるのか、レポートしよう。

技術者の生トークが魅力のイベント

IIJmio meetingは、IIJが開催するユーザー参加型のトークイベントだ。IIJは1992年に創立し、日本で初めて商用インターネットサービスを開始した企業であり、技術力の高さにおいても非常に高く評価されている。このミーティングは、そんなIIJの「中の人」の赤裸々なトークが聞けたり、直接話すこともできるというイベントで、開催はすでに5年目・17回目となっている。IIJmioのユーザーに限らず参加可能、また参加費が無料ということもあって、毎回多くの人を集める人気イベントだ。今回も百数十名もの参加者が集まった(事前登録制)。

「緊急地震速報」「Jアラート」などへの対応は?

最初はIIJの堂前清隆技術広報担当課長より「IIJmio Update」と題して最新情報が提供された。この中では、昨今の災害や危機的状況により提供される「緊急地震速報」「防災情報」「Jアラート」といった警報について、格安スマホ(SIMフリースマホ)側の対応が紹介された。

IIJの公式ブログ「てくろぐ」の執筆者でもある堂前氏。ユーザーの前に出る機会が多いこともあり、流れるようなトークと進行技術はすでに玄人の域に達しているという声も

これらの警報は通常の通話やSMSではなく「ETWS」(Earthquake and Tsunami Warning System)というシステムで配信される。これはドコモでは「エリアメール」、auやソフトバンクでは「緊急速報メール」と呼ばれている。

気になるのは、これが格安スマホでも受信できるのか、という点だ。実際、過日「Jアラートが格安スマホで受信できず」といった報道がなされたこともある。これについて堂前氏は「iPhoneや、各キャリアが販売している端末を使っている場合はすべて鳴るが、SIMフリースマホでは一部鳴らないことがある」とした。

もう少し細かく掘り下げると、緊急地震速報はすべての端末で鳴るが、台風・水害や防災訓練、避難所情報といった「自治体防災情報」と、他国からのミサイル攻撃やテロの発生時に発令される「Jアラート」については鳴らない機種が多いということになる。

これはMVNOに原因があるのではなく、端末側にその情報を受け取る仕組みがないために発生する。ETWSは地震や津波についての情報に使用するIDは明確に決まっているものの、自治体防災情報やJアラートは、キャリア独自定義の領域に割り当てられているのだ。キャリアから販売される端末は独自IDの設定が行われているが、グローバルな端末であるSIMフリー端末は独自領域までカバーしていないことが多く、鳴らないというわけなのだ。また対応端末でも、警報はエリアごとに配信されているので、対象エリア外であれば受信されない。

iPhoneの場合「キャリア設定」を使うことで自動的にIDの設定も行われる。またSIMフリー端末の「P10」(ファーウェイ製)シリーズなどは、独自領域もサポートしているとのことなので、今後はJアラートなどにも対応した端末が出てきそうだ。なお、ETWSを使わず「通信」としてこうした情報をサーバーから受信するアプリも存在するので、格安スマホではこうしたアプリを利用するのもいいだろう。