ソリッドワークス・ジャパンは10月13日、日本国内での「SOLIDWORKS 2018」の販売を、11月1日から開始すると発表した。本稿では、発表同日に行われた記者発表会の様子をお届けする。

アップデート内容のトピック一覧

ソリッドワークス・ジャパン 執行役員 山崎究氏

ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部 吉田聡氏

「SOLIDWORKS 2018」における最大のトピックとしては、CAMツール「SOLIDWORKS CAM」が新たに搭載されるという点にある。同ツールは2軸加工を主としたNCデータ作成の自動化に特化したCAMツールとなっている。

3D CADツールであるSOLIDWORKSだが、昨今はワークフロー統合の潮流に沿ってシミュレーション、PDMなどマルチアプリケーションとして展開されており、そこにCAMツールを本格導入する格好だ。それに加えて既存製品のアップデートを行うことにより、設計から製造まで一気通貫型のソリューションを提供可能になったとしている。

赤の点線で囲まれた工程に特に注力したアップデート内容となっている

「CAM」に関して、内部エンジンはSOLIDWORKSアドインCAMの「CAMWORKS」と同じものとなっている。形状の自動認識とナレッジの蓄積が強みということで、過去の作業データを記憶し、類似形状の場合はそれを転用しステップを減らしたり、ドリルでの穴開け工程であれば精度の設定値に応じて仕上げ工程などもソフト側が提案するなど、効率化が行えるという。

この新製品について、SOLIDWORKS CAD製品のSS(サブスクリプション)加入ユーザーは、Standard版を無償で使用できる。

「SOLIDWORKS CAM」価格表

3次元図面の本格導入、いよいよ加速か

ソリッドワークス・ジャパン マーケティング部 吉田聡氏は、「SOLIDWORKS 2018」のアップデートのポイントは「設計部門以外とのやりとり」だと語る。背景には、同社が毎年夏に行っている市場調査において、「3次元図面の運用を予定している」と回答した企業の割合が、今年になって急激に上昇したことがある。また、そう答えた企業の24%は、従業員1000人以上の製造業であったという。

3次元図面のやりとりが加速していく中で、それを活用したプロセスの効率化を支援する機能を提供することで、やり直しなどにかかる作業時間を削減し、多忙な設計者が新しい挑戦を行えるような環境構築を促進していきたいと語った。

3次元図面の導入予定を尋ねる定例調査において、2017年の回答数の伸びが大きかったのだという

製造ソリューション「SOLIDWORKS MBD」をアップデート

こうした狙いを実現するためのアップデートのひとつが、PMI(製造情報)を3Dモデルに直接盛り込むことができる製造ソリューション「SOLIDWORKS MBD」のアップデート。「SOLIDWORKS 2018」において、NXやCreoなど他社の3D CADツール、そして中間ファイル「STEP AP242」についても、PMIをインポート可能になった。

データ管理ツール「SOLIDWORKS Manage」をリリース

そのほか、従来の「SOLIDWORKS PDM」を拡張したデータ管理ツール「SOLIDWORKS Manage」がリリースされ、プロジェクト管理などの追加機能を、既存のPDM製品と同一のDB上で運用可能とした。

なお、ここで紹介しきれなかった機能も非常に多いと言うことで、例えば今年2月に米国で行われた「SOLIDWORKS WORLD 2017」にて先行公開された2018バージョンの新機能「トポロジー最適化」についても同バージョンで実装するとコメントされた。なお、「SOLIDWORKS 2018」のアップデート詳細については、同社の年次ユーザー会「SOLIDWORKS WORLD Japan 2017」(大阪:11月7日・東京:10日開催)において紹介されるという。