楽天とローソンは共同で、福島県南相馬市において、移動販売車とドローンによる商品配送の連携について、実証実験を開始する。未来のロジスティクスを担うと期待されるドローン配送だが、事業化に向けてはまだまだ障壁も多いようだ。

写真左から、楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏、福島県南相馬市長の桜井勝延氏、ローソン代表取締役社長の竹増貞信氏

揚げ物が空を飛んでやってくる

福島県南相馬市は、2011年3月の東日本大震災による津波で大きな被害を被っただけでなく、続く福島第一原発事故で一部が避難区域に指定された。今回実証実験が行われる小高地区はまさに避難区域に指定され、2016年7月に避難指示が解除され、徐々に人が戻りつつあるが、店舗などはほとんどが閉店したままで、買い物が困難な地域になっている。そんな中、2016年10月にローソン南相馬小高店がオープンし、地域の貴重な購買手段として作用している。

今回の実験は、この南相馬小高店で行われている移動販売車と並行して、楽天のドローンによる配送も行うというもの。楽天はこれまでにも南相馬市でドローンによる長距離貨物配送の実証実験を行なっているが、今回の実証実験では移動販売車の設備では温かいまま運べない「からあげクン」などのホットフードを、注文から10分程度で移動販売車が訪れるスペースまで届ける。購入者は事前に店舗へ電話で注文をしておき、移動販売車が販売と決算を行う(現金のみ)。実験は週1回のペースで半年をめどに行われる予定だ。

ローソンが使用する移動販売車。冷凍・冷蔵品を扱える4温度帯対応車両はあるのだが、暖かい品物のほうはこれまで扱えなかった

実験に使われるのは楽天の「天空」ドローンで、あらかじめ設定されたルートを自律飛行で配送する。ドローンは飛行ルートなどの制限が大きいが、今回の実験では主に河川の上を飛ぶことで安全性を確保しているという。

実験で利用する楽天の「天空」ドローン。約2kgまでの搭載能力がある。「からあげクン」にすると約10箱ぶんだが、実際には容積が足りず、5つ程度が限界ではないかとのこと

ローソンはすでに、全国でおよそ70台の移動販売車を所有しており、過疎地や郊外、工事現場、高齢者施設などを中心に展開している。まだまだ社会貢献という意味合いが大きいとのことだが、要望はかなり大きく、今後は台数をさらに増やすとともに、都市部など採算が見込める地域にも展開を進めていくという。移動販売というと「昭和」なイメージが強いのだが、たとえばオフィス街の弁当の移動販売にコンビニ業界も参入すると考えれば、確かに需要は大きそうだ。

小高地区以外の地域でも、移動販売車が地域の交流のための貴重な機会になっているとのこと。買い物で近所の人たちと顔をあわせるのを楽しみにしているお年寄りも多いという