電気自動車(EV)への注目が集まる中、技術的に長足の進化を遂げて登場した日産の二代目「リーフ」。2010年に登場した初代に比べ、クルマ選びの選択肢に入る機会は格段に増えそうだが、購入検討者が気にするのは、そもそもリーフは買いやすいクルマなのか、そして、買ったとして便利に使えるのかといったポイントなのではないだろうか。その辺りを含め、リーフのマーケティングを担当する日産の寺西章氏に話を聞いた。

日産の日本EV事業部でマーケティングマネージャーを務める寺西章氏

航続距離への不安は解消、EVシフトが追い風に

日産リーフが2010年に発売された当時、同社CEOだったカルロス・ゴーン氏は2016年までの目標として、日産とルノーを合わせて150万台のEVを販売すると宣言した。だが、2017年時点で日産とルノーを合わせた販売台数は40万台を超えたにとどまっている。

とはいえ、ここへきて世界の自動車メーカーが電動化へ意欲を示し、逆にハイブリッド車(HV)は環境車と認められなくなる事態も起きている。そうした時代の追い風が吹き始めたところに登場した日産リーフの二代目は、JC08モードで400キロという、今日のEVの一充電走行距離では最先端に並ぶ性能を持つに至った。これまで、消費者の多くが心配していた走行距離への不安は、解消したと言っていい。

航続距離でEV最先端の水準を実現する新型「リーフ」

ガソリン車との勝負に向け条件は整った

技術的進化が進む一方、日産のEV販売戦略はどのような状況にあるのか。日産の寺西氏は次のように語る。

「EVのマイナス要因は、開発側が大幅に改善してくれました。これで、ガソリンエンジン車などと同じ条件で勝負できるようになったと思います。その上、先進装備として『プロパイロット』や『e-Pedal』、また新型リーフからの新装備となる『プロパイロット・パーキング』などが加わったこともプラスの方向へ作用し、お客様に魅力を感じていただける商品になりました」

「販売面では、従来の『エコカーとして』とか、電気代の安さという経済性の側面だけでなく、それ以上の魅力がEVにはあることを伝えていきたいと考えています。新車カタログでは“新次元”という言葉を使って表現しています」

新型リーフは日産が初めて「プロパイロット・パーキング」を導入したクルマとなった

「媒体を通じた取り組みでは、EVのリーダーであるという自負や姿勢を訴え続けるとともに、より多くの方に乗ってみたいと思っていただけるようなイメージづくりをしていきたいと思います」

「その上で、やはり実際に乗って体験していただくことが、ご購入いただくうえで最も重要な点と考えています。弊社の調査によれば、EVに乗った経験のある方は、まだ免許人口の2~3%にも届かないほどです。経験者が少ないことから、古い印象のまま、馬力が無いのではないかとか、排気音がしないのでつまらないクルマなのではないかと思われているところがあります。しかし、一度乗ってみていただければ印象が変わり、まさに目から鱗が落ちるといった体験をしていただけるでしょう。販売店で試乗をしていただき、戻ってきたところで最新のプロパイロット・パーキングの自動駐車を試していただければ、未来感覚を感じていただけるのではないでしょうか」

百聞は一見に如かずと言うが、まさにEVの本当の魅力を知るには体験に勝るものはない。とはいえ、まだ購入するかどうかを決めかねている段階で、販売店を訪ねるのは気が引けるという人も多いだろう。