会社員の8割以上が副業に興味を持ち、3割以上が経験者という時代。ダブルワークは珍しいことではなくなっています。収入アップはうれしいことですが、注意しなくてはいけないことがあります。それは「税金」です。

会社員は税金や社会保険料を会社が天引きで代わりに支払ってくれるため納税をしている意識が薄いようですが、一定の収入があったら正しく税金を支払わないと思わぬトラブルが起こるかもしれません。

副業をしたら必ず税金を払う必要があるわけではない

「副業といってもほんのお小遣い程度、それでも税金を払うの?」と思う人もいるでしょう。確定申告をして税金を支払う必要があるのは、収入から必要経費を引いた所得金額が20万円を超えた場合。20万円以内なら、確定申告をする必要はありません。

ここで注意したいのは、20万円は収入ではなく所得だということ。例えばFX取引の場合「収入(売却価格)」から「経費(取得価格など)」を引いた額が「所得」となります。税金は、この所得に対してかかるものなのです。

副業の種類によって税金の計算方法が違う

次に確認しておきたいのが、自分の副業がどの所得区分に属するかということです。アルバイトで従業員として働くなら「給与所得」、アフィリエイトやユーチューバ―などで得た収入は「雑所得」となり、本業の給与所得と合算して総合課税されます。これに対してFX取引や不動産売買で得た収入は、ほかの所得と合計せずそれぞれ分離して税額を計算(申告分離課税)します。それを、まとめたのが下図です。

副業の種類によって税金の計算方法は違う

ユーチューバーやアフィリエイトなどを副業にする場合も設備などをそろえて本格的に取り組み、継続的に収益を見込める場合は「事業所得」となり、赤字の場合は給与所得と損益通算して所得税額を減らすこともできます。

会社にバレないためには、確定申告時に住民税は「普通徴収」を選択!

副業に対して寛容な企業が増えているとはいえ、就業規則で認めているのはまだまだ少数派。社内では秘密にしている人も多いでしょう。そんな人が確定申告書を作成するとき、絶対に見落としてはいけないのが住民税の支払い方法です。

確定申告書第二表の下の方の「住民税・事業税に関する事項」の中に「給与・公的年金に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という項目があります。ここに「給与から差引き」「自分で納付」という欄がありますから、必ず「自分で納付」に○をつけましょう。そうしないと副業収入を含めた住民税額が市区町村から会社へ届き、副業をしていることが会社にバレてしまうのです。

マイナンバー制度のスタートで、個人の収入やお金が捕捉されやすくなっています。大した所得ではないから、申告をして逆に会社にバレたら面倒などといって申告をしないと、発覚した場合は無申告加算税、延滞税、重加算税といったペナルティ(追徴課税)を支払うことになります。副業で一定以上の所得があったら、正しく申告し納税することを忘れずに。


鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。