説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『どうしてiPhone Xはあんなに高いの?』という質問に答えます。

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iPhone Xの価格は、64GBモデルで112,800円、256GBは129,800円(いずれもApple Storeの価格/税別)と、歴代のiPhoneではもっとも高価な値付けが行われています。日本で発売を予定しているいわゆる三大キャリアは、10月10日現在ドコモしか販売価格を公表していないものの、Apple Storeとの価格差は大きくありません。

約1カ月ちがいで発売されたiPhone 8は、64GBモデルが78,800円、256GBモデルが95,800円ですから、約3割の価格差があることがわかります。一方、搭載されるプロセッサは同じ「A11 Bionic」、メモリ容量も3GBと差がありませんから、処理能力は互角と考えてよさそうです。

決定的な違いのひとつが、ディスプレイです。iPhone 8は液晶パネルを用いた「Retina HDディスプレイ」ですが、iPhone Xは有機ELパネルを用いた「Super Retina HDディスプレイ」を採用、画質が大きく異なります。自発光型の有機ELディスプレイはコントラスト比に優れ、"黒らしい黒"を描けます。画面サイズはiPhone 8が5.5インチ、iPhone Xが5.8インチと差はわずかですが、画素密度はiPhone Xのほうが高く、iPhone 8が207万画素のところiPhone Xは274万画素です。

フロントカメラも大きく異なります。顔認証機能「Face ID」を搭載するiPhone Xは、赤外線カメラ、投光イルミネータ、ドットプロジェクタを組み合わせた「TrueDepthカメラ」を採用、顔による生体認証システムを実現します。

ほかにも、デュアルカメラレンズを採用し望遠側のカメラに光学式手ぶれ補正機能を搭載したこと、ディスプレイ周囲に余白のない(ベゼルレス)デザインを採用したことなど、コスト上昇要因をいくつか挙げることができます。ここに納得することができれば、iPhone Xに対する印象は変わってくるのではないでしょうか。

確かにiPhone Xは高く感じますが、高いなりの理由があります