【レポート】

ATR、2025年までに日本国内に100機導入を展望--地方間路線の就航に向け強化

大手ターボプロップ航空機メーカーであるATRは10月10日、東京にて記者会見を開催し、今後の日本市場における戦略を発表。現在、ATRの機材は日本国内では主に離島路線で運用されているが、地方間路線や政府専用機としても利便性・快適性・経済性の高い機材であることを踏まえ、2025年までに100機導入を視野に展開を拡大するとしている。

ATR42-600は2012年に運航を開始した機材であり、現在、2020年導入を見据えたATR42-600Sを開発している。ATR42-600Sは最短800mの滑走路で離着陸が可能

JACは2019年までに全9機を受領予定

ATRは1981年に設立された、座席数90以下のリージョナル航空機マーケットにおける大手航空機メーカー。設立以来、1,500機以上を納入しており、ATR機は世界約100カ国、200 以上の航空会社に採用され、2,800万回以上の飛行実績を有している。ATRはエアバス・グループとレオナルドという欧州航空業界大手 2社が共同パートナーシップを結んだ事業体であり、フランスのトゥールーズに本拠地を構えている。

現在、日本の航空界の中でATRの機材を導入しているのは、熊本県を拠点とする天草エアライン(2016年2月から)と、JALグループで鹿児島県を拠点とする日本エアコミューター(JAC、2017年4月から)の2社で、ともに1クラス48席のATR42-600を運用している。天草エアラインで1機である一方、JACは2019年までに全9機を受領する予定で、現在は2機を運航している。

JACは2017年4月からATR42-600を導入。現在、鹿児島県内の離島路線で運航されている

ATRシリーズの最新機材であるATR-600は最短1,000mの滑走路で離着陸可能であり、機内の快適性が高く評価されている。ジェット機の巡航高度が1万m超であるのに対しATR機の場合6,100mと低いため、より快適な客室気圧環境を提供する。ジェット機による飛行では客室内の気圧は高度2,200mに相当するが、ATR42-600では高度1,160mとなる。巡航高度が低いことにより、搭乗者は飛行中に美しい風景を楽しめるほか、頭痛や耳詰まり、疲労感という健康面でのリスクを低減することができる。

ATR-600シリーズのコックピット

ATR-600には、イタリアのデザイン会社ジウジアーロが設計したアルモニアキャビンが装備されている。座席の横幅は、ターボプロップ機市場では最も広い18インチと、ゆったり空間を確保する。飛行中にキャビン内の雰囲気を変えられるLEDライトが設置されている他、広くとられた頭上の荷物棚により、3分の2の乗客が標準的なトローリーケースを収納できる。

ATR-600シリーズの機内

日本市場に対しても投資を継続

ATRのCEOであるクリスチャン・シェーラー氏は、競合するターボプロップ機と比較して、ATRは消費燃料が40%、1フライトあたりのコストが20%、1座席あたりのコストが10%、1機あたりの年間コストが100万ドル、それぞれ削減可能であることを紹介。仮に日本国内の地方間路線で最大70路線をATR機で運航した場合、燃料削減は5万3,000t、燃料費削減は5,400万ドル、CO2排出削減は16万8,000t、運航コスト削減は7,800万ドルと算出している。

ATRのクリスチャン・シェーラーCEO

その上でクリスチャン氏は、「日本には現在、100機超のリージョナル航空機があり、うち50機は平均機齢10年を超えるターボプロップ機ですが、今後も運航を継続していくためには、順次機材の刷新やアップグレードが必要となってきます。また、日本は2020年までに訪日外国人数を4,000万人に増加することを掲げるなど観光業の拡大も予想され、モダンで燃費効率が良く、環境に優しいターボプロップ機を使用した新規ルートの開拓といった機会も期待できます」とコメントした。

現在アジアでは、東京(営業拠点)と北京(営業拠点)、シンガポール(営業拠点、トレーニングセンター、カスタマーサービスセンター、スペアパーツセンター)などに拠点があり、東京支社も人材を確保した上で、今後の日本市場への拡大展開を展望している。また、日本市場に対するシミュレーターやスペアパーツ配備などの投資も、継続して展開していく。

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