万一のときに備えて家族のためによかれと思って加入している保険でも、保険料が高いと毎月の保険料が家計を圧迫することもあるでしょう。特に子供が中高生で塾代など教育費がかさむ時期には保険料負担が重くのしかかることも。だからといって、保険料を支払わないわけにはいきません。そこで、今回は保険料が払えなくなったときにどんなことが起きるか、また対処法はあるのかをご紹介します。

保険料が未払いになってしまったら、すぐに保険は解約になるの?

保険料が未払いになったらすぐ保険が解約されてしまうのではないかと不安になる方もいるかもしれませんが、それは大丈夫です。保険には「払込猶予期間」というものがあり、もし期日までに保険料の支払いができなかったとしても、その後の一定期間内に支払いを済ませれば保険契約に影響しないようになっています。残高不足で保険料の口座引き落としができなかったとしても、すぐに失効してしまうわけではありません。

ただし、この払込猶予期間は、保険料の払込方法によって違ってきます。一般に、月払いの場合は払込期日の翌月の1日から末日まで、半年払いや年払いの場合は払込期日の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日までとなります。いずれにせよ、保険料の未払い期間が2カ月を超えてしまうようであれば、保険の契約が失効となってしまうので注意が必要です。

払込猶予期間

この払込猶予期間も過ぎてしまうと、解約返戻金がある保険の場合は「自動振替貸付」に移行します。自動振替貸付とは、解約返戻金の範囲内で保険料を立て替えしてくれるという制度で、自動的に保険料が振り替えられ、自動振替貸付制度を適用して保険の契約が継続される仕組みとなっています。

払込猶予期間が過ぎたあとの流れ

ただし、掛け捨ての保険などで解約返戻金がない場合には払込猶予期間を経過した時点で保険の契約は失効となり、保障対象外となります。自動振替貸付に移行した場合でも、貸付分と保険料の振替分の合計額が解約返戻金を上回ると保険の契約は失効するということや、自動振替貸付で立て替えられた保険料には所定の利息が発生することも覚えておきましょう。

保険料が未払いのときに死亡したら保険金はもらえる?

保険料が未払いでも、上記のように払込猶予期間内に相続人が未払い金を納めれば、保険が失効とならずに保険金を受け取ることができます。ただし、払込猶予期間を過ぎてしまい、保険契約が失効になってしまった場合には、保険は解約となるので、どんなに長く保険料を払っていたとしても保険金は受け取れません。

保険金を受け取る場合には、亡くなった人が契約者、被保険者、受取人のどれかにより、所得税、贈与税、相続税とかかる税金が変わってくるので注意しましょう。

払うのが厳しいけど、保障がなくなるのは困るというとき

保険料を払うのは厳しいけど、保険がなくなるのは心配、という人も多いでしょう。いくつか解決策をご紹介します。

まずは、毎月の資金繰りが厳しい場合、1年の支払い回数を変えるという方法があります。月払いから半年払いや年払いなど、ボーナスなどを利用して、自分にあった支払い回数を探してみましょう。

次に保険料自体の負担が大きい場合は、保障額を減額したり、保障内容の一部を解約したりすることで、月々の保険料を減額するということもできます。逆に、保険の保障内容は変えずに保険期間を短縮することによって保険料を下げることもできます。この場合は元の保険との差額が発生するので解約返戻金の一部が戻ってくる場合もあります。ただし、戻そうと思っても被保険者の健康状態によっては元の保障内容には戻せないことがあるので注意しましょう。

保険料の払込を中止して、その時点での解約返戻金をもとに、保険期間をそのままにした保障額の少ない保険(同じ種類の保険、または養老保険など)に変更する「払済保険」の変更も可能です。解約返戻金が少ない場合は変更できないこともありますが、1度保険会社に相談することで、保障が残せるかもしれません。

また、保険の内容を見直して、保険料がもっと安い保険に切り替えるという方法もあります。保険はライフステージや家族構成によって必要保障額が変わるため、定期的に見直すことが必要です。今の保険は解約して、新規で安い保険に加入するという案もありますが、やみくもに保険料だけを見て保険選びをするというよりは、自分のライフプランに合った保障を保険ショップの窓口などで保険のプロに提案してもらうといいでしょう。

いずれにせよ保険料が未払いでもすぐには保険の解約とはなりませんが、保険が失効してしまうと保険に加入していないことと同じになってしまいます。今までの保険料がすべて無駄になったり、自分が困ったりする前に、何とか解決策を探してみましょう。

株式会社回遊舎


"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。