SUBARU(スバル)が10月の「第45回東京モーターショー2017」(TMS2017)に出展する車両が明らかになった。「WRX STI」をベースとする「S208」など気になるクルマも登場するが、何と言っても注目したいのが、スバルの「将来のビジョンを具現化する」というコンセプトカー「SUBARU VIZIV(ヴィジヴ)」だ。

現時点で明らかにされている「ヴィジヴ」のヴィジュアル

「ヴィジヴ」など7車種を展示

東京モーターショーは、2017年の10月27日から東京ビッグサイトで開催される。一般公開日は10月28日から11月5日まで。スバルは富士重工業からの社名変更後としては初めての出展となる。ブースのコンセプトは「New SUBARU STORY」だ。展示する車両は「ヴィジヴ」「S208」「SUBARU BRZ STI Sport」など計7種。

「S208」(左)は450台、「SUBARU BRZ STI Sport」は100台の限定販売。2017年10月25日に車両仕様詳細と抽選販売方法を発表する

参考出品となる「IMPREZA FUTURE SPORT CONCEPT」(左)と「SUBARU XV FUN ADVENTURE CONCEPT」

クルマのコモディティ化に対抗する手段は

ヴィジヴは「Vision for Innovation」を語源とするスバルの造語。実はヴィジヴという名のコンセプトカーが登場したのは2013年の「ジュネーブモーターショー」が最初だ。スバルはグローバルショーの開催に合わせて、その都度テーマを決めて「ヴィジヴ」というコンセプトカーを作って展示し、将来の方向性を示してきた経緯がある。東京モーターショーにヴィジヴが登場するのも今回で3回目だ。

TMS2017で展示するヴィジヴのテーマは「パフォーマンス」。スバルが目指すハイパフォーマンスを具現化したスポーツセダンのボディと、「アイサイト」を核とする高度な運転支援技術を融合し、スバルらしい安心で“愉しい”ドライビングの世界観を表現するという。スバルは「安心と愉しさ」を掲げるメーカーだが、今回の展示では、どちらかというと“愉しさ”の方に力点を置いているようだ。

スバルが“愉しさ”を打ち出すのも、おそらく変革期を迎える自動車業界の現状を考慮してのことだろう。水平対向エンジンや低重心などを特徴とし、走りがよいイメージがあるスバルだけに、電動化と自動化が進展することにより、クルマが単なる移動手段としてコモディティ化することに対しての危機感は当然持っているはず。こういう状況下でスバルが「走る愉しみ」を打ち出すのはもっともな話だ。

トヨタ自動車は先頃、ピックアップトラック「ハイラックス」の復活スポーツカーの新ブランド「GR」の設立を立て続けに発表し、クルマの技術革新が進んでも、クルマの個性や走る楽しさを追求していく姿勢を鮮明にした。スバルもトヨタも、コモディティ化しない「クルマの魅力」を訴求したいという思いは同じのようだ。スバルの岡田貴浩広報部長は、TMSで「変わらないもの、普遍的なスバルらしさ、スバルの“愉しさ”とは何か」を提案したいと話していた。